新行徳野鳥観察舎「あいねすと」がオープン

裏に「市川三番瀬を守る会」の尽力あり




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 新しい行徳野鳥観察舎「あいねすと」が2020年10月11日に全面オープンした。オープンの裏には「市川三番瀬を守る会」の貢献がある。「守る会」の尽力によって観察舎が再建された。これは歴史的事実である。新聞などはこの点にまったくふれない。


カフェも併設

 新しい行徳野鳥観察舎(愛称・あいねすと)は市川市が建設した。同市福栄にある。建物は木造2階建て、延べ面積は約370uだ。入館は無料。2階には観察スペースや多目的スペースがある。休憩スペースと授乳室もある。1階にはカフェがある。2階と中2階の観察スペースからは多くの渡り鳥が飛来する行徳湿地(行徳近郊緑地)を一望できる。望遠鏡は2階に22台、中2階に7台が設置されている。
 建物は、丸い建物を2つつなげたかたちになっている。無限を表す数学記号「∞」をイメージしたという。
 愛称の「あいねすと」は、市が実施した公募と人気投票によって決まった。投票数1574票のうち、「あいねすと」は約半数の714票を得た。Ichikawa(市川)の頭文字「I」と「愛」を合わせ、巣を意味する英語「ネスト」を組み合わせたネーミングである。


市川市が再建

 新しい観察舎は県営観察舎の跡地に建設された。1976年1月、鉄筋プレハブの建物が野鳥観察施設として使われるようになった。1979年12月には、鉄筋コンクリート3階建ての野鳥観察舎が県営施設としてオープンする。しかし県は、老朽化と行政改革を理由に県営の観察舎を2016年に廃止した。取り壊しは昨年である。
 旧観察舎の跡地を市川市が国と県から借り受けて観察舎を再建し、市営施設として運営するようになった。建設費は約2億6000万円だ。


観察舎再建のいきさつ

 観察舎再建の裏には「市川三番瀬を守る会」の尽力がある。
 県が旧観察舎の廃止を打ちだしたさい、行徳野鳥観察舎友の会のメンバーや県野鳥の会が観察舎存続を求める署名を数多く集め、県に提出した。三番瀬保全団体も県と4回交渉した。だが県は廃止の方針を変えない。
 そこで、2018年4月の市川市長選で、「市川三番瀬を守る会」が村越祐民候補を旧行徳野鳥観察舎や行徳湿地、三番瀬に案内し、観察舎の再建・存続や三番瀬の保全を選挙公約に盛りこむよう要望した。その結果、村越候補が観察舎再建と三番瀬保全を選挙公約に掲げた。
 村越さんは「市民にやさしい市長を選ぶ会」の政策骨子をかかげる市民の共同候補だ。政党では、立憲民主党、民進党、共産党、社民党、自由党、市民ネットワーク千葉県、新社会党、緑の党の8党が推薦した。幅広い市民と野党が一体となって村越さん当選のために奮闘した。その結果、村越さんが当選した。
 三番瀬保全7団体は、就任したばかりの村越市長と面談し、行徳野鳥観察舎の再建・存続を要望した。こうしたいきさつがあって村越市長が野鳥観察舎を再建した。新観察舎のオープンを新聞各紙が報じた。しかし、再建のいきさつはふれない。
 市川三番瀬を守る会の谷藤利子会長は話す。
    「新しい観察舎は眺望がよくなった。行徳湿地に飛来する野鳥や自然を楽しむことができる。1階にカフェができたため、付近を散歩する人たちの利用も増えた。授乳室もあり、赤ちゃん連れでも安心して利用できる。立派な施設ができた」








「あいねすと」の外観イメージ



「あいねすと」の入り口



2階の観察スペース



2階の観察スペース



中2階の観察スペース



村越祐民市川市長(左奥)に行徳野鳥観察舎の存続を要望する
三番瀬保全7団体のメンバー=2018年5月24日、市川市役所仮本庁舎



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