今関一夫
「三番瀬再生計画第一次素案」について、今関一夫さんが以下の要望書を三番瀬円卓会議の会長に提出しました。今関さんは、三番瀬再生計画素案の「三番瀬の歴史」に保全運動をつけ加えることや、ラムサール条約登録の積極推進、海域への護岸の張り出しをやめることなどを求めています。
2003年10月20日
三番瀬円卓会議会長 岡島成行 様
東京都江戸川区 今関一夫
「三番瀬再生会議再生計画第一次素案」の作成は大変ご苦労さまです。
同「素案」を拝見させていただき、次のとおり意見等を提出しますので、「第二次素案」へぜひ反映してください。
1.「第一章 1.三番瀬の歴史」について
古い資料をもとに、三番瀬の歴史を人とのかかわりまで敷衍(ふえん)して、よくまとめられていると思います。
しかし、近年の埋立と保全運動の歴史が記述されてないことは、どういうことでしょうか。この歴史を抜きにしては、堂本知事の「埋立計画の白紙撤回」表明を語ることはできません。30万署名に寄せられた声を、何とか残してほしいものす。
かつて、三番瀬のあちこちで、巨大な浚渫の工事機械がうなりをあげて、海や干潟の砂を吸い上げ、押し流していたあの轟音は、忘れません。
1973年「東京湾埋め立て中止と干潟保全」請願の国会採択に始まる三番瀬の保全運動は、「埋立計画白紙撤回」を求める30万名署名達成に至り、堂本知事の「埋立計画白紙撤回」表明に結実しました(リーフレット「東京湾三番瀬」参照)。
これらの事実は、少しでもこの運動にかかわった人々にとって涙なしでは語れません。ぜひ三番瀬と保全の歴史を記述してください。
なお、「中間とりまとめ」でも、「2.現在までの経緯」に一部述べられています。
また別途資料を送付します。
2.「第二章5海と陸の連続性・護岸」の「アクションプラン─(2)市川−B」について
37頁下から3行目以降「また、この区域〜事業の進捗にあわせ施工することを検討すべきである。」とあり、42〜45頁に「イメージプラン(案)」及び「イメージ(案)」があります。
これらは、護岸の設置に伴い、護岸が海へ張り出すこと、「干出域・さらし場」をつくることで海域を狭めることになります。
三番瀬は、(1)東京湾はすでに干潟の90%が埋め立てられ、最後に残された貴重な干潟である (2)堂本知事が表明した「埋立計画の白紙撤回」は、もう「埋立はしないこと」である (3)ラムサール条約締結国会議でも「これ以上干潟・浅海域をせばめないこと」を決議していることから、「三番瀬再生計画」においても、干潟・浅海域を狭めることはできません。
よって、上記37頁下から3行目〜38頁上から3行目までは中止し、42〜45頁の「イメージプラン(案)」及び「イメージ(案)」で護岸の海域への張り出しは止めて陸地で行ない、「さらし場」及び「人工湿地」をつくることは中止してください。
なお、討議の過程で、「イメージ(案)」が一人歩きをしているようで、「もうイメージのように決まった」とか、「まだ張り出すとか埋めることは決まってない」とか、討議の結果が混乱しているのは残念です。討議の進行を強行せずに、きちんと進めてほしいです。
3.「第二章 10 制度担保、ラムサール条約」について
- ラムサール条約については、決定的に討議が不足しています。
円卓会議2回(8月26日、9月18日)、再生制度検討小委員会1回(7月11日)で、大西座長は「次回に取り上げる」と発言しながら、議題に取り上げませんでした、これでは、「合意に至らない」ことは当然です。集中的に時間をかけて討議してください。
- これまでの討議では、疑問がたくさん出されました。疑問に対して関係者から答が出されたが、断片的のため討議が進みませんでした。ラムサール条約及び鳥獣保護法の両制度全体(登録と指定の意義、登録や指定の手続法、同条約と同法との関係、登録や指定後の行為、登録の範囲、登録や指定の時期等)について、説明を受けて討議をすれば、疑問も解決し、討議が促進されるでしょう。ぜひ、いまからでも円卓会議において環境省から資料をもとに説明を受けてください。急がばまわれです。
- 「第一次素案」を「第二次素案」で次のように変更してください。
ア.目標
(ア)三番瀬は、国際的に重要な湿地であり、豊かな生態系を未来の世代にまで残すために、三番瀬がラムサール条約の登録地になること。
(イ)登録後は、三番瀬が国際的に重要な湿地として保全される状態となること。
イ.アクションプラン
(ア)両制度全体について、円卓会議で環境省から説明を受けて、理解を深め、登録の方向を決めること。
(イ)ラムサール条約の登録は、基本的には国の業務です。したがって、三番瀬がラムサール条約の登録地になるよう、県・関係市・市民などが国へ働きかけること。
(ウ)「登録」を国へ働きかけることについて、県・関係市・漁業関係者等との間で十分連絡・調整を行うこと。
(エ)両制度の手続上、国は地元の「同意」を必要としているので、県・関係市は、環境省からの照会(登録及び指定)に対して、「同意」を回答すること。
三番瀬円卓会議の議事録より
三番瀬円卓会議の議事録より
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