干潟(三番瀬)の小さな仲間たち
文・写真:三番瀬を守る署名ネットワーク 川西清子
一見、何もないようにみえる干潟の水や砂ですが、そのほんの一滴の中にも、すばらしい豊饒(ほうじょう)の世界が息づいています。
彼らこそが、干潟の生態系を支える主役なのかもしれません。
そして、私たち「ヒト」もまた、このような小さな仲間たちによって支えられ、共に生きているのです。
(2000年8月)

海藻(オオシオグサ)に付着しているところ。干潟の海藻には、
しばしば、ケイソウがびっしりとはりついています。周りにはさ
まざまな原生動物たちが群がり、まるで小さな牧場のようです。

潮が引いたあとの干潟で、砂の色が茶褐色になっているのをしばしば見か
けます。このようなミクロの植物が増殖し、活発に働いているしるしです。

左右対称の模様が美しく、ブローチにしたいようなケイソウ。泥の上を、しずしず
と這い回って生活しています。ちょうど、静かな湖に浮かぶボートのような動きです。

これは、浮遊性のケイソウの殻だけが残って、泥の中に埋も
れていたものと思われます。Cosmodiscus という種類です。

海藻(オゴノリ)に付着しているところ。分裂しても端がつながりあって、
神社で使う「ぬさ」に似た群体をつくります。これも、よく見かける普通種です。

春の干潟には、宝石のようなミクロの植物たちが無数に漂って、
盛んに光合成をおこなっています。水の抵抗を大きくして沈みに
くくするため、それぞれが工夫を凝らした美しい形をしています。

波間に漂い、ちかちかと青白い光を放ちます。透き通った
ビニール風船のような形。単細胞ですが、肉眼でも見える
大きさです。しばしば大量発生し、赤潮を引き起こします。

海の動物性プランクトンの代表格。小さいけれど、エビや
カニと同じ仲間です。植物性プランクトンを食べ、自らは
魚の餌となります。食物連鎖上、重要なプランクトンです。

ゴカイの赤ちゃんは、体長1ミリたらずです。活発に泳ぎ回りながら、
まるで掃除機のように、水の汚れを吸い取っています。ゴカイは、こ
んな、けしつぶのような頃から、水質浄化に立派に貢献しているのです。

生まれたばかりのカニの赤ちゃんは、ゾエア幼生と呼ばれ、浮遊生活を
おこなっています。このあと、メガロパ幼生の段階を経て成体となります。
★関連ページ
- 三番瀬の微生物が教えてくれたこと〜顕微鏡でのぞく三番瀬の世界〜(川西清子、2001/9)
- センチュウをとりまく生き物たち〜干潟と生物多様性(田久保晴孝、2010/10)
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