「三番瀬円卓会議」会長に要望と意見
〜猫実川河口域の緊急調査などを求める〜
三番瀬の「再生計画」を検討している「三番瀬再生計画検討会議」(通称・三番瀬円卓会議)の会長に、三番瀬を守る会が要望・意見書を提出しました。
意見書では、円卓会議で議論の焦点となっている三番瀬市川側(猫実川河口域)の緊急調査などを求めています。
2002年2月15日
三番瀬再生計画検討会議>
会長 岡 島 成 行 様
三番瀬を守る会 会長 田久保晴孝
円卓会議及び専門家会議への要望と意見
1.円卓会議の目的に非常に関係深いので、再生についての議論を充分に行い、
三番瀬の再生に生かしてほしい。
意見:私たちはラムサール条約〈注〉が提案する「湿地復原の原則と指針」
に基づいて三番瀬の再生を行うことが、世界に通用する円卓会議にな
ると考えている。
2.ヘドロの意味とでき方について専門家の方から学習をして、共通の認識をも
って市川市の猫実川河口域の議論をして欲しい。
意見:ヘドロ(浮泥)とは屁と泥の造語で、とてもイメージの汚いものとし
て使われているので、委員会としてはヘドロの認識をもったうえで、
慎重に使ってほしい。
私たちは、猫実川河口域には現在、一部の澪(みお)跡を除いてヘ
ドロはないと明言している。
ヘドロと泥干潟(有明海など)は違う。ヘドロは、有機を多量に含
む泥。硫黄細菌やメタン菌が、酸素がない還元状態で有機物を分解す
るため、硫化水素やメタンガスなど、いやな有臭を出す。泥干潟は酸
素が多く、生物生産性が非常に高い。藤前干潟も泥干潟である。
猫実川には以前、江戸川左岸流域下水道の処理水が流れていたため
ひどかったが、処理水の放流先を旧江戸川に変えたことや、市川市お
よび浦安市の下水道が整ったため、私たちは、補足調査(1996〜98年)
のときよりも底質が良くなっていると主張している。
3.民間で行われた調査報告や論文などをそろえ、いつでも誰でも見られるよう
にしてほしい。委員の方には別紙船橋市自然誌関係文献目録の一部(三番瀬
関係)に配布をお願いしたい。
4.緊急に市川市猫実川河口域の底質、水質、ベントス、魚類、鳥類などの調査
を行ってほしい。なお、鳥類においては、干潟が干出する大潮の夜間にも行
ってほしい。
再生事業のモニタリング調査のためにも、今から事業終了後(事前、工事
中、事後)まで、補足調査をふまえて行い、結果の公表をお願いしたい。
5.円卓会議の委員の方で、現地見学会を公開で行ってほしい。
なお、猫実川河口域をヘドロといって埋め立てようとしている行徳漁協の
船は使わないでいただきたい。
6.スズガモの減少について
意見:1998年の8月、9月は、6年ぶりの江戸川放水路からの放流(多量の
淡水と泥)で、アサリ、シオフキガイなどの貝類が大量死した。その
ため、餌不足による減少が見られた。しかし、1998、99年以後、急に
減少している状況は見られていない。むしろ、今冬は少し増えてきて
いると考えている。
(参考:千葉県野烏の会、NPO法人行徳野鳥観察舎友の会水鳥調査
──別紙3)
補足調査(1996〜98)の結果では、この海域に平均6万羽生息(最
高羽数9万5千羽)。また、桑原和之さん(千葉中央博物館)や田久
保らの調査(1992〜99年 約200回)でも最高で12万羽であり、20万羽
いたという公式な記録はありません。
スズガモの餌は、貝類での主なものはアサリ、シオフキガイ、ホト
トギスガイで、アサリだけを選んで食べているわけではない。
なぜか、シオフキガイの割合が補足調査と国立環境研究所のデータ
が違う。
今冬は、魚京湾でのスズカモ以外のカモ類の個体数は、どこでも例
年に比べて少ないようです。
7.アサリの減少について
スズカモと同様に、1998年8月、9月の江戸川放水路の泥水放流による大量
死(1立方メートルで1000個の貝)が最大の原因と考えられる。
これ以後、貝類の回復が思わしくない。しかし、今冬はシオフキガイの稚貝
がよく見られた。(2001.12.1)
また、大量死により、砂泥中に貝殻が大量にあり、これが貝の生息を妨げて
いる可能性もある。
アサリがとれないことによるアサリ漁の回数が減り、海底を貝カゴで掻くこ
とが少なくなったことも原因の1つと考える。(したがって、漁獲量=資源量
にはならない)
なお、全国的なアサリの減少があるとすれば、水質など別の原因も考えられ
る。
スズガキもアサリも20年間(1980年〜 )東京湾の千葉県側では大規模な埋
立工事は行われていないため、三番瀬そのものが原因で減ったのではなく、外
部から(放流、青潮、下水)の圧力(原因)で減ったのは明らかである。
以上
〈注〉ラムサール条約の提案する「湿地復元の原則と指針」では、政策に組み込
まれることを意図している。
原則は次のとおりである。
1.立案は流域レベルで行われるべきである。
2.立案は水資源の配分原則を考慮しなければならない。
3.計画の作成には、地域住民の参加がなければならない。
4.復元するという約束と、価値の高い自然の湿地を引き替えにすることは
回避されなければならない。
5.復元のためには長期間の管理が必要とされる。
6.復元が成功するには、湿地復原計画の目標、目的および達成基準が明確
に理解されていることが不可欠。
などと述べられている。
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