ラムサール条約登録などについて議論

〜第14回三番瀬円卓会議〜




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 (2003年)6月23日の夜、浦安市内(東京ディズニーランド近くの会場)で三番瀬再生計画検討会議(円卓会議)の第14回会合が開かれました。議題は次のとおりです。
(1)小委員会の検討状況
 ・海域小委員会からの報告
 ・護岸・陸域小委員会からの報告
 ・再生制度検討小委員会からの報告
(2)市川塩浜護岸の強度の現状確認結果
(3)今後の進め方
 ・目次作成グループからの報告
(4)その他


 今回の会議では、「再生制度検討小委員会」から制度的担保が提起され、ラムサール条約の登録問題が議論されました。
 ラムサール条約について議論らしき議論をしたのは、円卓会議(親会議)では今回がはじめてです。やりとりの一部を紹介します。


◇後藤隆委員(公募)
 「三番瀬のラムサール条約登録については、行徳内陸性湿地(行徳鳥獣保護区)との一体的登録も検討してほしい」


◇蓮尾純子委員(日本野鳥の会評議員)
 「行徳内陸性湿地については『行徳湿地検討ワーキンググループ』で検討している。そこでは、三番瀬と行徳内陸性湿地を一体でラムサール条約に登録すべきということも話し合われている」


◇落合一郎委員(市川市行徳漁業協同組合組合長)
 「三番瀬がラムサール条約に登録されると護岸の問題はどうなるのか」


◇大西 隆委員(東京大学教授)
 「ラムサール条約に登録される場合、登録条件として『鳥獣保護及び狩猟の適正化に関する法律』(略称:鳥獣保護法)にもとづいて国設鳥獣保護区に指定される。この保護区に指定されると、鳥獣の捕獲が禁止になる。また、許可申請が必要となるものもある。(1)水面の埋め立て・干拓、(2)立木竹の伐採、(3)工作物の設置、の3つだ。護岸の補修や築造は工作物の設置にあてはまる」


◇環境省職員(オブザーバー)
 「鳥獣保護法にもとづき、どの範囲を国設鳥獣保護区に指定するかが問題になる。しかし、保護区に指定されても、工作物の設置などは許可申請が必要ということであって、禁止ということではない」


◇大野一敏委員(NPO法人ベイプランアソシェイターズ理事長)
 「ラムサール条約と漁業権の関係はどうか」


◇水産庁職員(オブザーバー)
 「水面下の行為は規制がないので、漁業は問題ない。漁港を移動させるという話が出ているが、これは工作物の設置にあたるので、許可申請が必要となる。その場合、環境に影響を与えないことが必要となる。したがって、通常の場合よりは、きびしい条件が課されることになる」


◇落合一郎委員
 「きびしい条件が課されるということだが、我々は使いやすい漁港にしたいと考えている。それができないのならラムサール条約登録には反対せざるをえない」


◇水産庁職員
 「それは誤解である。自然環境との調和ということできびしい条件が課されるということだ。三番瀬がラムサール条約に登録されれば、自然と調和する漁港という点でモデルケースになると思う」


◇清野聡子委員(東京大学大学院助手)
 「ラムサール条約の概念の中には『賢い利用』ということが含まれている。したがって、ラムサール条約の登録は漁業とつりあう(調和する)。水産物にとっても、ラムサール登録が大きな付加価値となるようにしてほしい」


◇望月賢二委員(千葉県立中央博物館副館長)
 「谷津干潟などとの一体的なラムサール登録の話がでたが、この点では調査を深めることが必要と感じる。三番瀬と谷津干潟を行ったり来たりしている鳥もいる。だから、広い範囲で実態把握を深めていきたい。現時点では三番瀬に飛来する鳥の7割しか把握していないので、残り3割の把握をすすめたい」


◇大浜清委員(千葉の干潟を守る会代表)
 「ラムサール登録については、陸域を含めた視点とバッファゾーン(緩衝地帯)の存在を考えて欲しい」


◇吉田正人委員(日本自然保護協会常務理事)
 「ラムサール登録になれば、鳥獣の捕獲が禁止されるということであって、魚介類の捕獲が禁止されるということではない。ラムサール条約はけっして鳥だけを守るものではなく、貝や魚なども重要視している。漁業と対立するものではない」


◇佐藤フジエ委員(市川商工会議所会頭)
 「行徳内陸性湿地や谷津干潟と一体的に登録すべきということが言われているが、こういう話を聞いていると、陸域もラムサール条約に登録されるのではないかと懸念している。この点はどうなのか」


◇岡島成行会長(大妻女子大学教授)
 「佐藤委員は、ラムサール条約に登録されると人間が住みにくくなるのではないか心配されている。この点はどうなのか」


◇吉田正人委員
 「ゾーニング(範囲)については、今後議論していく。ただ、ラムサール登録によって人が住みにくくなるということはない。そういう心配は必要ない」


◇岡島成行会長
 「ラムサール条約に登録すること自体はいいことだと思う。ただし、そのことによって人間が住みにくくなるのではないかと心配する声もあるので、今後、みなさんが納得するまで議論していただきたい」


◇佐藤フジエ委員
 「鳥類だけ生きればいいというものではない。人間が生きていかなければいけない」


◇岡島成行会長
 「吉田委員は、ラムサール登録は鳥のことだけを考慮するものではないと言っている」


◇佐藤フジエ委員
 「円卓会議は議論がかなり進んできているが、抜けているところもあるように思うので検討してほしい。たとえば、私がいま述べたような点だ」


◇倉阪秀史委員(千葉大学助教授)
 「そうした点は、次回の再生制度検討小委員会で議論したい」


(文責・千葉の干潟を守る会)   






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