県主催シンポジウムに参加して

〜シンポジウム「自然と地域と人との共生をめざして 〜

三番瀬を守る署名ネットワーク  牛野くみ子



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 千葉県主催による三番瀬埋め立て問題に関するシンポジウム「自然と地域と人との共生をめざして」が(1999年)3月6日、市川市の塩浜体育館で行われた。
 報道によれば、傍聴者も含めて600人ほどが集まったそうだ。
 市民の関心の高さを示すものだ。が、不愉快なこともあった。それは、私たちは一人ひとりの意思で参加したのだが、漁協の人は動員をされていたということである。
 
 
 最初に、三番瀬埋め立て計画は県西地域の都市環境整備のために行う重要な事業であり、土地利用と環境保全との調和をはかっていくのだ、というあいさつがあった。
 補足調査専門委員会委員長の望月賢二さんは、「猫実川は泥質化している。が、生物はその種が生息できる条件の所に対応していることが分かった。740ヘクタールの埋め立ては、自然に対する影響が大きい。補足調査は一つの土台であり、将来に渡り調査をしていく」と話した。
 つづいて、県企業庁臨海建設課の佐藤健課長は、流域下水道終末処理場、京葉港2期、第二湾岸道路の必要性を説いた。
 大阪産業大学の今野修平さんは、サンフランシスコ湾と東京湾とを比較しながら、「港湾空港、道路は造った方がいい」と語った。
 続くパネルディスカッションでは、第一勧銀総合研究所の石沢卓志さんが、「利便性や立地性から、市川、船橋には住宅用地のニーズがあり、それは今後も続く。現計画は環境に影響が大というのであれば、計画を見直し、守るための管理がほしい」と話した。
 「行徳の自然に親しむ会」の町田恵美子さんは、「流域下水道は都市計画決定しているところ(陸地)に戻してほしい。そこが駄目だから三番瀬というのはおかしい。また、浦安や塩浜周辺には未利用地がある。計画を縮小すべき」と。
 日本野鳥の会千葉県支部の田中利彦さんは、「県は埋め立ての代償として、人工干潟を検討しているが、環境への影響を回避し、低減してからミチゲーションということを考えるべき」と。
 町田さんと田中さんからは、「必要性の根拠をみせてほしい」「今後も話し合いの場をもってほしい」と提言があり、これに対し佐藤課長は、「計画策定懇談会(2回目)に示した見直し案は不十分であった。3回目は検討中である。今後もシンポを開くかどうかは即答できない。持ち帰って検討する」にとどめた。
 地元の市川市行徳漁協専務理事の落合一郎さんは、「アオサが大発生している。管理型の漁場を造成したい」。船橋市漁協代表理事組合長の滝口嘉一さんは、「冬季はアサリが急減する。アサリ、トリ、人間の共生はむずかしい」と発言した。
 三番瀬フォーラムの小埜尾精一さんは、「県は埋め立ての必要性を示せなかった。策定懇談会が来年度にずれ込むということは、この計画は破綻したのでないか」と批判した。
 
 
 私の感想についていえば、わけのわからないシンポジウムであった。というのは、「市川・船橋には、住宅用地としてのニーズはある。東京湾はほっとくと消滅する。また、鳥が大事だということは分かる。しかし、その鳥は川から流れてくるビニールを食って死んでいる。環境庁にも言いたいが、川に網を張るのが先決だ」というような笑いをさそう発言がパネラーからあったからである。
 そのような人たちは三番瀬の干潟・浅瀬を自分の目で見て理解しているのか。県ともあろうものが、自分たちの必要性を納得させたいのなら、もう少し人選を考慮すべきでなかったか。歯ごたえのあるシンポジウムを望む私たちには、わけがわからなかった。県は、シンポジウムをやったということだけを言いたかったのか。
 ともあれ、3年間かけてまとめられた補足調査の資料はすごい価値があり、今後、皆で勉強していく必要性を感じた。

(1999年3月)






コアジサシ






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