三番瀬埋め立ては「谷津干潟に悪影響」とし、
習志野市が、「生態系の維持」を県に要望
〜三番瀬と谷津干潟の密接な関係を指摘〜
ラムサール条約に登録されている「谷津干潟」を抱える習志野市は2月26日、県が計画している三番瀬の埋め立て事業が、約2キロ離れた谷津干潟にも悪影響を与える可能性があるとして、三番瀬の生態系を維持し、埋め立て事業で谷津干潟が悪影響を受けないよう求める要望書を県に提出した。同市は、谷津干潟が三番瀬と密接不可分の関係にあると指摘している。同市が三番瀬問題で県に要望するのは初めて。
要望書は、荒木男市長が、県の土木部長と企業庁長に手渡した。要望にあたって、同市では昨年11月に環境部の職員を中心にプロジェクトチームをつくり、三番瀬と谷津干潟の関係などについて分析してきた。
その結果報告書によると、「水鳥は谷津干潟と三番瀬を一体のえさ場・休息場として利用している」とし、「それぞれが地形・えさ生物などの点で特徴を持ち、どちらかが他の代替えにはなれない」と、密接不可分の関係にあるとした。
このため、「三番瀬の埋め立て計画の見直しに当たっては、谷津干潟が水鳥たちにとって将来も良好な環境であり続ける」よう「谷津干潟に与える影響について正確な予測評価が必要」としている。
県は1月下旬、当初計画どおりに740ヘクタールを埋め立てると、シギ・チドリ類など多くの水鳥のえさ場と休憩場がほぼすべて消失するとの影響調査報告書をまとめた。このなかで、三番瀬に飛来する水鳥の一部は谷津干潟に移るため、谷津干潟の水鳥にも大きな影響をおよぼす可能性を認めている。ただ、その影響の内容や程度については「詳細なデータが必要であり、現段階では具体的に検討できない」と記していた。
荒木市長は「谷津干潟は市民にとっての財産だ。これに悪影響が出るのは絶対に避けてもらいたい。これまでは慎重に事態を見守ってきたが、埋め立て計画の見直しを県が本格化させてきたなかで、きちんと市としても意見を述べていくことが必要だと考えた」と話している。
谷津干潟は、周辺の埋め立てが進む前は三番瀬と一体の干潟だった。面積は約40ヘクタールで、現在は2本の水路で三番瀬とつながっている。1993年に、貴重な湿地を国際的に保護するラムサール条約に登録された。
三番瀬の問題をめぐっては、浦安市の松崎秀樹市長も1月下旬に「できる限り自然環境の保全に努める」ことを求めた要望書を県に提出している。
(朝日新聞・千葉版、1999年2月27日付け)
平成11年2月26日
千葉県知事 沼 田 武 様
習志野市長 荒 木 勇
習志野市は、ラムサール条約登録湿地として、かつ国設鳥獣保護区でもある「谷津干潟」を有し、この持続的な保全及び賢明な利用を重要な行政課題ととらえ、シギ・チドリネットワークへの参加、谷津干潟の日の制定及びオーストヲリア・ブリズベン市との湿地提携等に積極的に取組んでいるところであります。
谷津干潟が今日あるのは、保全に係る多くの問題を、千葉県・国及び関係機関の理解と協力を得て、また多くの自然を愛する人々の支援のもとに、解決することができた結果であります。そして今、習志野市はもとより国の内外に自然保護の大切さを語りかけております。
私たちは、三番瀬埋立計画の行方に大きな関心を寄せております。
先に千葉県において実施された補足調査結果では三番瀬の740ヘクタールの埋立計画は「三番瀬の自然に対する影響が大きいと考えられる。」と述べています。また、谷津干潟への影響につきましては「影響を及ぼす可能性がある。」と指摘しています。
現在、千葉県において事業計画の必要性及び環境への配慮の見地から、事業計画の見直しが進められていることに対し、習志野市はこれを評価し、歓迎するものであります。
習志野市は、谷津干潟の良好な環境を維持することにより人と環境との望ましい関係を築いていきたいと考えております。
従いまして、事業計画の見直しにあたっては、
1.三番瀬の機能を維持すること。
2.谷律干潟に悪影響を与えないこと。
以上の2点について、特段の配慮を賜りますようお願い申しあげます。
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