千葉県自然保護連合、市川緑の市民フォーラム

見直し案について意見書を提出




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 千葉県自然保護連合と市川緑の市民フォーラムは1999年6月16日、三番瀬埋め立て計画の見直し案を発表した県に対し、計画を白紙撤回するよう求める意見書を提出しました。
 意見書の内容は次のとおりです。


 


1999年6月16日
 千葉県知事  沼 田  武 様

千葉県自然保護連合
市川緑の市民フォーラム


三番瀬埋め立て計画に関する縮小案について

 千葉県が6月9日に発表した三番瀬の埋め立てに関する見直し案は、当初の計画の埋立て面積を7分の1以下の101ヘクタールに縮小するものであることを新聞報道等で知りました。
 しかし、千葉県環境会議の設置、補足調査の実施等、三番瀬の埋め立て問題に関して貴職が行ってきた今までの手続きについては、多くの方々を納得させるものであり、これまでのアセスメントを越えた先見性のある取り組みとして高く評価されたにもかかわらず、この縮小案は、なお三番瀬の自然環境の保全を十分に達成できる計画になっておりません。さらに検討を加えられまして、埋立ての全面的な中止を決断されますことを、ここに強く要望致します。それは、貴職をはじめとする千葉県行政にたずさわる皆さんの、環境保全の立場から慎重に検討を進められてきた今までの精神を具現化する最良の方法であると考えます。補足調査結果報告を主たる根拠として、以下にその理由を述べます。

1.当初計画の7分の1以下に縮小したとはいえ、100ヘクタールをこえる面積の干潟・浅瀬等が消失することは、奇跡的に残された東京湾奥部の自然環境に重大な損傷を与えることになります。地球的規模で干潟・湿地を保全し、次代に残していこうという気運が高まっている中で、すでに干潟の90%以上が失われてしまった東京湾については、残された干潟・浅瀬をすべて保全していくことを基本におくべきです。

2.特に市川側の90ヘクタールの埋立て計画には多くの問題があります。

(1) これによって同地域の干潟・浅瀬の水質浄化機能が失われることになり、そこに流入してきた汚濁物は三番瀬の他の海域に負担をかけることになります。そのことが原因となって、三番瀬の他の海域の水質悪化のみならず三番瀬全体の水質を悪化させる要因になる恐れがあります。

(2) 同海域は三番瀬全体の中では、稚魚・幼魚の良好な生育場として重要な意味を持っていることが認められています。したがって、この埋立て計画により東京湾漁業に重大な影響を与えることになります。

(3) 90ヘクタールのうち、25ヘクタールが街づくり支援用地として確保されていますが、これまで埋立てによって造成されながら利用されることなく遊休地となっている地域の利用や、既存埋立地に進出してから80年以上も経過した企業の中には移転を検討しているところもあり、そのような土地の再利用でまかなうべきであって、三番瀬の貴重な海域を埋立てることによって不足分を補うという発想は、千葉県の「三番瀬の環境を保全したい」とする立場と大きく矛盾します。

(4) 今回の縮小案では、90ヘクタールの埋立てのほかに60〜70ヘクタールの人工干潟の造成が盛り込まれており、それによって自然の干潟・浅瀬がさらに大きく消失することになります。これは、人工干潟が質的には自然干潟にかなわないという指摘や、人工干潟の維持・管理に莫大な費用がかかるという実態を無視しており、無謀な計画と言わざるを得ません。

3.埋立地の一部は第2湾岸道路の敷設用地として確保しているようですが、現在の交通政策ではこの道路の建設によって京葉地区の道路事情が好転することはありません。また、京葉地区の文化的な発展、あるいは産業的な発展も望めません。したがって、大型道路の建設を目的とした埋立ては断念すべきと考えます。

4.江戸川左岸流域下水道の第1終末処理場用地20ヘクタールについては、すでに指摘されている江戸川左岸流域下水道計画そのものの見直しや、第2終末処理場の処理能力の向上、そして都市計画決定されている第1終末処理場予定地の買収の可能性等を十分に検討すれば、用地の確保を埋立てにたよる必要はありません。可能性も追求せずに貴重な自然を犠牲にすべきではありません。

5.JR塩浜駅周辺の街づくりや公園・緑地の造成については、市川市民と市川市行政当局の強い要望であり、今後積極的に計画を進める必要があります。しかし、埋立てを前提とするのではなく、既存の陸域の範囲内で検討し実現すべき課題です。

6.千葉県の財政赤字は1兆8千億円に上ります。その危機的な財政を立て直すためには、県単独の大型公共事業を見直すことがまず必要です。したがって、三番瀬埋立て計画についても一時凍結し、まず財政再建を千葉県の当面の最重要課題とすべきです。


 最後に、我々は埋め立てによらない親水空間の創出、つまり、三番瀬の貴重な自然を保護し、その上で三番瀬が今以上に市民が海に親しめる空間となるような将来像をできるだけ早い時期に提言していきたいと考えております。



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