港湾埠頭用地は本当に必要か
〜川崎港の二の舞にさせてはいけない〜
三番瀬を守る署名ネットワーク 牛野くみ子
●必要ないところは1ヘクタールだって埋め立てることはない
千葉県が三番瀬埋め立て計画を当初の7分の1にしたことで、「良かったですね」「みなさんの努力が報われましたね」と言われる。
700ヘクタール以上あったものが101ヘクタールになったということで、考えてみれば、これはすごいことなのかもしれない。しかし、必要がないところを1ヘクタールだって埋め立てることはない。縮小したからといって、喜べない。ましてや、101ヘクタールは藤前干潟埋め立て計画の2倍、谷津干潟の2.5倍の面積である。
「こんなに縮小されました」とか「あっちの計画よりこっちのほうがいいでしょ」ともちかけてくるのは、行政の常套手段だ。いつも、“あっちとこっち、どっちがいい”と。
なぜ、ゼロからの出発ができないのか。
●船橋側の埠頭用地は本当に必要か
見直し案では、船橋側に港湾埠頭用地として3ヘクタールが計画されている。これは本当に必要か。
船橋市は県に、干潟・浅海域に影響を与えない範囲内で既存施設の整備改良を含めて検討してほしい旨の要望書を提出している。しかし、港湾関係の業者団体は、「3万トン級の船が入れるように、水深12メートルの埠頭を造ってほしい」と言っている。
港湾従事者によれば、船橋港に入ってきた3万トン級の船は、昨年は2回だけ、一昨年は3、4回だけだったそうだ。大型用の埠頭がないから入ってこない、という声もあるが、そうだろうか。 3年前、水深14メートルの公共コンテナ埠頭を造った川崎港の場合をみてみよう。
東京や横浜につづけとばかりに、巨額の金をつぎこんで1日1隻をめざしてつくってはみたものの、週2隻程度にすぎず、それも1万6000トンという中型の船舶だったというのが実情だ。それなら、水深10メートルで間に合ったはずだ。そのうえ、スタートから3年で赤字が37億円に達している。そんなこともあってか、隣接地に計画されている第2バース(水深15メートル)は、国からの補助金が3年連続で見送られ、計画はストップしている。
これらはすべて国民の税金だ。埠頭なんて縁がないせいか関心がないが、1兆8000億円の大赤字の千葉県財政を、川崎港の二の舞にさせていいのか。
聞けば、船橋港では、現在8バースあるが、使用しているのは7バースで、1バースは空いているという。これをうまく使ったらどうか。ある本によれば、2港揚げとか、船底の浅い大型船を利用すれば対応は可能だと。かりに3万トン級の船が大量に荷物を運び込んだ場合、広大な野積場も必要だし、それの保管料もかさむだろう。中型船で2回に分けた場合との差はどうなのか。考えられる余地はたくさんある。
だいたい、これ以上、東京湾の船舶航行を過密にしてはいけない。東京湾は船舶航行のためにだけあるのではない。
(1999年7月)
このページの頭にもどります
「主張・報告」にもどります
トップページ | 概 要 | ニュース | 主張・報告 | 資 料 |
干潟を守る会 | 自然保護連合 | リンク集 |