三番瀬保全の意見書を県に提出
千葉県を所在地とする花と自然と日本の文化を愛する「環境を考える花の会」(FACE)は6月24日、三番瀬における不要な埋め立ては一切すべきではないという立場から意見書を県知事に提出しました。
意見書の内容は、次のとおりです。
1999年6月24日
千葉県知事 沼 田 武 様
環境を考える花の会/FACE
市川二期・京葉港二期計画見直し案に対する意見書
市川二期・京葉港二期計画(東京湾三番瀬埋立計画)における6月9日の千葉県の見直し案について、千葉県を所在地とする花と自然と日本の文化を愛するNGOである私達は、三番瀬の埋立計画を東京湾の豊かな自然環境を脅かす問題として多大なる関心をもって注目して参りました。私達は、県が6月19日の計画策定懇談会を前に、当初計画から7分の1という縮小計画に尽力されたことについては、高く評価したいと思います。しかし、まだ幾つかの疑問があり、私達としては三番瀬における不要な埋立は一切すべきではないという立場から、以下に述べるこれらの疑問点並びに意見について、今後ともご検討いただけますよう何卒宜しくお願い申し上げます。
1.猫実川河口を中心とした埋立および人工干潟造成について
猫実川河口域(区分1)は、波浪の流れが停滞しシルト・粘土分が多い地域であることを承知しております。しかしながら、補足調査によれば川からのCODに対する水質浄化能力が高く、稚魚のナーサリーとしても重要であることも報告されています。
また、この埋立・人工干潟造成案では漁場回復や海の再生には繋がらない可能性が高いとされ、特に人工干潟については、環境庁のみならず広く一般に否定的な見解が出されております。
三番瀬は、既にその9割を失った東京湾に残る貴重な干潟です。21世紀の都市開発は、人間の英知で、そこにある自然をそのままに、いかに経済的価値のある土地とするかをプライオリティとすべきではないでしょうか。「直立護岸の解消・親水性のある空間の創出」という発想は誠に素晴らしいものと考えます。しかしながら、直立護岸の解消や親水性のある空間のために、水のある土地(干潟)を埋め、新たに人工的に模した土地(干潟もどき)を造成することに、私達は拭い切れない疑問を抱かざるを得ません。
2.下水道終末処理場について
見直し案では、下水道終末処理場も規模を縮小しました。しかし、江戸川左岸流域下水道計画のために廃止される三つの単独処理場を存続させれば、三番瀬の埋立をせずに処理量確保は可能と思われます。
従って、この下水道終末処理場を貴重な干潟を埋め立ててまで作る必要性はないと考えます。
3.第2湾岸道路計画、街づくり支援用地・公園緑地用地について
想像力の乏しい人でも、見直し案から想像できる「高速道路の橋梁のたもとにある人工的な緑地公園と干潟」では都会生活の疲れを癒せないことは明らかです。私達はその土地固有の緑と干潟に集う季節の野鳥や野生生物と波の音と海の風の中で過ごす静かな時間にこそ癒され、レクリエーションを求めて集うのです。
埋立による街づくりではなく、今ある街と自然をどう住みやすく利用するかが求められているのではないでしょうか。
4.港湾施設について
現状では東京湾の大型船舶の更なる受け入れは、ダイアモンドグレース号事件でも明らかなように新たな船舶事故の要因となることが懸念されます。
また、新たな港湾施設設置の必要性に疑問があります。
5.情報の公開と市民参加について
市川二期地区・京葉港二期地区計画策定懇談会の場で、有識者の間で徹底した議論をするのはもちろんのことですが、情報と資料を市民に公開して、広い立場の意見を集め討論し、事業の是非を問うべきです。
千葉県が全国に先がけて環境会議を設置し、計画段階での事業の検討をされてきたことを多大に評価しております。今後とも時間的余裕を持たせた情報の公開と十分な議論の場の設置、ひいては計画策定懇談会の傍聴や公聴会、議事録や討議資料の全公開などを充実させ、行政と市民がお互いに納得のいくまで議論を積み重ねることが必要と考えます。
最後になりましたが、以上をもちまして三番瀬見直し計画が、私達の意見を含めて十分議論されるよう何卒宜しくお願い申し上げます。
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