杉田史朗
■冷夏、異常気象の中で
今年は冷夏となり、日本国内でもイネの不作、また、海外でもヨーロッパの熱波など、異常気象の夏でした。
三番瀬でも、今年の夏は、例年と違うさまざまな表情を見せてくれました。
■タマシキゴカイが大発生
今年の夏は、タマシキゴカイの大発生にはじまりました。7月12日にあるポイントでは、5メートル四方内に、ゴカイの卵塊が68個、モンブラン状の糞(ふん)が149個ありました。例年にない大発生です。
■アサリの大発生 シオフキ、マテガイは現象
今年は、アサリが大発生しました。新聞でもアサリの豊漁が報道されました。ふなばし三番瀬海浜公園でも、指先で少し掘れば、1センチ程度の小さなアサリがざくざく出てきました。20センチ四方内に19〜26個のアサリが出てきました。
一方、昨年たくさんいたシオフキガイとマテガイは数が少ない傾向にありました。とくにマテガイは、ほとんど見ることができず、昨年のようにマテガイ探りをする人は今年は見ませんでした。
■夜光虫の発生
谷津干潟で夜光虫が発生したことが新聞で報道されましたが、三番瀬でも夜光虫の発生が見られました。航路跡、東側突堤の付け根は、プランクトンの溜まり場になりますが、海水が薄いオレンジ色ににごるほど夜光虫が発生していました。
■深刻な青潮は発生せず
今年は冷夏であったせいか、青潮の発生は小規模なものが2、3回でした。貝や魚が大量死する自体にはなりませんでした。アサリも、ほとんど被害にあっていないようです。
■しっかりと記録、原因の調査を
円卓会議でも、「三番瀬の海は瀕死状態であるから、人工干潟をつくれ」という意見がいまだに出ています。しかし、今年のアサリの大発生は、決して三番瀬が瀕死の状態でないことを示しています。
今年は冷夏で、たしかに異常気象でした。その中で、さまざまなメッセージを三番瀬の生きものたちは出していました。今年はどのような生物がどれだけ発生したのかをしっかりと調査し、記録しておくことが、三番瀬の保全を考えるうえで大切です。市民の手による、きめの細かい生物の調査が、三番瀬の保全や賢明な利用をしてゆくうえで貴重な情報となります。
また、どのような理由でアサリが大量に発生したのか、原因を明らかにすることも必要です。不漁の時だけ大騒ぎするのではなく、大漁のときにこそしっかりと調査を行い、持続的に漁業が続けられるための条件を調査する必要があるのではないでしょうか。
(2003年10月)
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