もう海を埋めないで! 三番瀬は“地域の宝”

〜市民による三番瀬近隣住民アンケート調査結果〜

千葉の干潟を守る会 竹川未喜男



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 三番瀬の保全をめざしてさまざまな活動をおこなっているメンバーが3市(浦安、市川、船橋)の住民アンケート調査を実施しました。これは、三番瀬円卓会議の議論に住民意見を反映させるためにおこなったものです。以下は、その結果報告です。







(2003年)4月1日、市川塩浜海岸から浦安日の出方面を眺めた三番瀬は、景観を妨げていたプレジャ−ボ−トの群れも姿を消し、まったくおだやかで、美しい春の海でした。
 先月8日のラムサ−ル条約学習会で、藤前干潟を守る会の辻 淳夫さんは、「三番瀬は広々としており、のびやかな開放感がある。三番瀬が死んでいるわけがない! 藤前と比べてみてくださいよ」と言われましたが、まさにその通りの海でした。
 「臭い、ヘドロの海」「漁にとって価値のない海」「埋め残された瀕死の海」とつけられた形容詞など、今や海面をわたる春風に吹かれて、どこかへ飛んでいってしまったようでした。

アンケート調査は、 「本当に臭いのか。近くに住んでいる人はどう思っているのだろう。直接聞いて見よう」というのが動機でした。
 ちょうど1年前の3月です。当日お話ができたのは浦安側、河口近くの住民33人だけでしたが、人々の海に寄せる思いに接し、あらためて本格的な調査が必要だと話し合ってきました。

 昨年の12月、2回目の「市民による三番瀬近隣地域聞き取り調査」が浮上してきました。円卓会議の中間とりまとめの時期でもあり、アンケートの設問も慎重に練り、規模も、地域も広げることにしました。
 定住世帯を対象として、福栄、塩浜、美浜、日の出、入船など船橋、市川、浦安3市の沿岸地区において、暮れの15日(土)から23日(火)にかけ、3市の環境保護グル−プのボランティアの皆さんの協力のもと、2回目の市民調査を実施しました。


 対象の450戸から184戸(回収率40.9%)の回答を得ました。 回答者も、女性が35.9%、若い世代(40代以下が47.3%)が多いというすばらしい結果でした。集計結果は調査全戸に配布し、円卓会議でも発表しました。




■埋め立ての白紙撤回 「よかった」が78%

 埋め立て計画の白紙撤回にについては、当然ながら「よかった」が78.0%。「大切な自然環境が守られたから」というのがその理由です。ほかは、「残念だ」が3.9%。「わからない」は15.5%です。
 

■三番瀬との日頃の関わりは予想以上

 三番瀬との日ごろの関わりについての問いでは、「居住」という答え以外では、「散歩」41.9%、「野鳥観察」25.2%、「潮干狩り」21.9%、「日の出を見る」20.6%、「釣り」12.2%、「クリーンアップ」7.1%、「サイクリング」7.7%など。予想以上の関係がわかりました。


■6割の人が見かけた豊富な生き物

 三番瀬の生き物については、「見た」58.1%、「知らない」2.6%、無回答39.3%。あげられた野鳥は、スズガモ、カワウなど25種。魚はハゼ、スズキなど12種、貝類、カニ、ゴカイなど21種。船橋から浦安全域、とくに船橋から塩浜、猫実川河口域に多く見られていました。


■“いやな海の臭い”25%、猫実川の工場・家庭排水も臭い

 「海のにおい」については、無回答が52.2%に及びました。“におい”がしたと答えた人は45.2%。“海のにおい”を除き、“いやな臭い”と答えた人が25.0%いました。その中の15.8%が夏場の「生臭いにおい」や「ドブ臭いにおい」をあげ、場所としては猫実川周辺が半分をしめました。
 このほか、「家庭・工場廃水のにおい」が4.9%あり、両方合わせると“いやな臭い”の8割以上となり、発生源がしぼられるように思われます。


■「危険なし」40.6%、護岸老朽化、台風・津波の危険が9%

 「海岸域の危険性」については、「危険は感じない」40.6%、「危険だ」26.4%、無回答など33.0%。
 危険の中でもっとも多かったのは、垂直護岸、廃棄物など、子どもの遊びにとっての危険です。「護岸のひび割れ、陥没などの危険」と「台風・津波の危険」をあげる人は、それぞれ4.5%でした。

■緊急対策のトップは海岸周辺の清掃と自然の保全

 緊急対策の必要性については、49.0%の人が「あり」と答えました。そのトップは「海岸周辺のゴミの清掃」で12.9%、ついで「海と生き物の保全」9.0%、「自由に海に入れるように」が7.1%、「直立護岸の修復・整備」が5.8%などでした。


■長期的対策の1位は「海と生き物の保全」

 「長期的対策として考えて欲しいこと」の問いには、41.3%の人が回答してくれました。1位は「海の自然を残し、生き物を守る」で13.5%、ついで「海や河川の水の浄化」7.7%、「親しめる憩いの海に」7.1%、「きれいな海、ゴミの清掃」3.9%、「海と陸の連続性の確保」2.6%などとなっています。


■三番瀬再生は、「海をそのままにして」が54.8%

 三番瀬再生のあり方については、「海はそのままに、遊休地などを利用して湿地や干潟をつくる」が54.8%とトップです。以下は、「海に土砂を入れ干潟や人工の海浜をつくる」18.1%。「上記の両方を行う」4.5%とつづいています。「わからない」と無回答はあわせて22.5%でした。


■まちづくりは、「自然を残し、汚さず、作らず」

 「三番瀬を活かしたまちづくりのアイデア」については39.4%の人が回答。上位の3つは「自然を残す。汚さず、作らず」16.7%。「磯あそびのできる浜辺」14.1%。「博物館、観察センターなど」11.5%となっています。


■「ラムサ−ル条約を知っている」は54%

 ラムサール条約については、「知っている」が54.2%、「聞いたことがある」16.8%と、認知度は高いけれど、谷津干潟がラムサール湿地と答えられた人は36.2%でした。

 最後に、「自由な意見・要望欄」には30%もの方々が思い思いの意見を書いています。    

(2003年4月) 





カワウ




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