漁業問題を話し合う場をつくって

〜三番瀬円卓会議会長に竹川さんが要請〜




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 「千葉の干潟を守る会」の竹川未喜男さんが、三番瀬円卓会議会長に以下の要望書を提出しました。
 竹川さんは、「円卓会議での漁業問題の論議は決定的に不十分」とし、漁業問題だけを話し合う場の企画や実施などを要望しています。

 

要望書




2003年10月4日

 三番瀬円卓会議 会長 岡島成行 様
 三番瀬プロジェクトチーム事務局 御中

竹川未喜男


  「漁業から見た三番瀬再生と展望」についての話し合いの実施と
  漁業関係資料の提供についての要望

一、要望の主旨について

1.漁業再生・振興には「社会的合意」が不可欠

 近隣市民だけでなく千葉県民は、埋立て計画から免れた三番瀬の貴重な自然を後世に残し、地元の暮らしと深く関わってきた漁業も発展して欲しいという、共通の願いを持っていると思います。
 しかし、この事業を成就することは目先の発想で右から左というわけにはいかないと思います。国家財政の破綻という状況の中にあって、早期実現を図るには、何よりも先ず、強力で積極的な市民と漁業者の連帯と熱意が原動力となって、広範な県民や行政を納得させること、いわゆる「社会的合意」の形或が不可欠だと思います。

 そのためには、広い視野、長期の展望、社会的公正さ、財政的裏付けなどしっかりとした「三番瀬再生の計画」と「漁業振興の計画」がなくてはなりません。しかし現状では残念なことに、私たち近隣の市民ですら地元漁業について殆ど知らないというのが実態です。今回「三番瀬再生計画案」をまとめねばならないという、またとない機会に恵まれ、おそまきながら三番瀬・東京湾北部の漁業について、私たちは公式の会議では話されなかった問題を含め、より掘り下げた認識を持ちたいという強い考えに達しました。漁業者や、行政の側からも市民に対して積極的な働きかけを起こす必要があると思うのです。


2.円卓会議での漁業問題の論議は決定的に不十分

 今までことあるごとに、漁業関係の委員の方から「われわれには生活がかかっている」「あなた方は分かっていない」と云われ、一般市民は沈黙するだけでした。しかし漁業代表からは殆ど護岸や、アサリの調査等に終始していたように思われるのです。
 埋立て政策の犠牲となって、漁場を荒廃させ、漁業権を奪われ、転業を余儀なくされた漁師仲間の皆さんの過去と、埋立て中止を受け、今漁業の再興を掲げられている現在、そして1O年2O年後の東京湾、三番瀬の漁業の姿について 漁師の方が描かれている思いを語って欲しいのです。私たちにとっても知らないでは済まされない問題だと思います。

 こうした円卓会議で漁師の方が出された市民への「不信感」とか「一般住民と気を許して話せない」という話は本当にお互いにとって不幸なことです。「円卓会議」の主催者からも再三、この状態で素通りしてはいけないという考えが述べられています。


二、漁業問題だけを話合う場の企画、実施を要望します

1.最低の共通認識を得る話し合いが緊急の課題

 いま円卓会議は素案作成の最終段階にきて、「漁業者の話を聞かなければ先に進めない」状況があちこちに見られます。同じ漁業者の立場でもさまざまな意見もあります。漁業の種類・階層の違いなどもあるからでしょう。立場上、当然、組織の代表としての意見や要求もあります。「漁場振興策」として、潮流回復のための「猫実川河口の埋立て」「大規模な人工海浜・干潟づくり」、この構想による「漁港の拡張移転と水産用地の海側での確保」等も一貫しで述べられてきました。


2. 残されている大切な問題

 「漁業とラムサール湿地登録」「塩浜養貝場の利用問題」「長期的対策としての市川航路・江戸川放水路対策」「河川、水循環対策」等々も漁業振興にとって大切な問題点です。しかし今まで殆ど議論されていません。
 たしかに漁業組合の運営問題は簡単ではなさそうです。「三番瀬の8O%は私たちの漁場である。何らかの規制下に置くことは漁業代表者として容認できない」との発言にもそうした事情が窺(うかがえ)えます。
 私たちはごうした考え方の真意を図りかねています。円卓会議会長をはじめ、小委員会、専門家会議などでも「話せば意志疎通は図れるのではないだろうか」「漁業問題については話し合いの場をつくります」といった意見が幾度も出されています。ぜひ市民を含め、漁業者の方々と、さまざまな場で話し合いが進められたらと願うものです。


三、漁業について行政からの積極的な資料提供が必要です

1. 漁業問題での市民参加と情報公開のために

 これまで直接、漁業関係について行政サイドから得られた情報は極めて少なったと思われます。アサリ、ノリの漁場の謂査データ(県)、漁港施設関係資料(市川市)などが県、市から出されました。
 しかし漁業者の生活、生の漁業の実態となりますと、私たちはもう掴(つかみ)どころをなくします。三番瀬の漁業の変遷、漁場、漁師の生活や、経営の過去、現在、未来と問題点など、三番瀬周辺の漁業について行政側の客観的な資料(下記)の提供をお願いしたいと思います。残された時間は少ないのですが、話し合いをより深め、多面的な相互理解を得る上で、市民にとって大きな助けになるものと思います。


2.東京湾奥部・三番瀬の漁業の変遷と現況についての資料


 (1)経営体数
   年次……(1968〈最盛期〉、1981、2000)
    漁業協同組合別……(船橋、 行徳、南行徳)
    経営体……総数と内訳(専業、兼業−漁業が主、)
           (漁獲金額別経営体数)
           (漁船規模別経営体数−1トン未満から)
          (のり養殖経営体数)、

 (2)魚類別漁獲量
   年次(1968、1981、2OO0)
    漁業湯同組合別……(船橋、行徳、南行徳〉
    漁獲量〈トン〉……(魚類漁獲量)、(アサリ漁獲量)、
              (ノリ生産量枚数)
 (3)漁業補償
   漁業組合別……
   補償年次別……
    対象組合員数(対象組合員総数、転業組合員数)
    対象漁場区画
    補償金額(金額、補償の条件)、

 (4)漁業権の現況と将来
   漁業協同組合別
    漁業権の内容
    漁業権の条件





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