盤洲干潟から三番瀬への砂搬入は中止に

〜三番瀬円卓会議の第2回「海域小委員会」〜




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 5月15日、市川市勤労福祉センターで「三番瀬再生計画検討会議」(三番瀬円卓会議)の第2回「海域小委員会」が開かれました。

 円卓会議や小委員会では、小櫃川河口・盤洲干潟(木更津市)の砂を三番瀬に搬入して撒くという覆砂事業が問題にされています。
 この搬入について船橋漁協(船橋市漁業協同組合)の滝口嘉一組合長は、「断腸の思いで断念する」と述べ、搬入の中止を表明しました。あわせて、代替事業として、「アサリの生息環境を改善するために、漁場内を耕耘し、その際に発生する余剰土砂を用いて覆砂をおこなう」と述べました。

 その経過について、県(事務局)は次のように説明しました。
 「覆砂事業については、4月17日開催の円卓会議において、砂といっしょにサキグロタマツメタガイが持ち込まれる危険性があると指摘がされた。そのため、県の水産研究センターで小櫃川河口干潟を調査した結果、サキグロタマツメタガイの分布が確認された。しかし、漁業への実害は出ていないと判断されたため、そのことを前回の海域小委員会へ報告したところ、専門家委員から『サキグロタマツメタガイの持ち込みを100%防ぐことは困難』『調査結果は不十分である』との指摘がされた。また、岡島会長からは『代替案も検討してみたらどうか』などの発言があった。それで、県の水産部や滝口委員に検討を依頼した」
 結局、小櫃川河口干潟の砂を三番瀬に搬入することを滝口委員が中止表明をしたことで、この問題は一応の決着となりました。
 代替案として三番瀬の漁場内を耕耘することについては、耕耘箇所が50センチぐらい深くなることなどについて質問などがだされましたが、反対意見はでませんでした。



《コメント》

 盤洲干潟(小櫃川河口干潟)の砂を三番瀬に搬入することについては、次の点が問題にされていました。
  1. “アサリの天敵”である外来種「サキグロタマツメタガイ」を三番瀬に持ち込む危険性がある
  2. 盤洲干潟の砂を干潟の外へ持ち出すことは、干潟をやせ細らせることになる
 これに対し、県の水産研究センターは、「小櫃川河口干潟を調査した結果、サキグロタマツメタガイは6個体しか発見されなかった。また、アサリ食害はほとんど確認されず、漁業への実害は出ていないと判断される」という調査結果を海域小委員会へ報告しました。

 そのため、市民が独自に同干潟でサキグロタマツメタガイを調査した結果、わずか1時間余で205個体も発見しました。その2割ぐらいはアサリやシオフキなどを捕食中でした。
 それで、県水産研究センターの調査結果のいい加減さが浮き彫りになり、円卓会議で緊急調査を実施することも検討されました。
 こうした動きのなかで、盤洲干潟からの砂搬入は中止になったのです。

 なお、第2回海域小委員会では、望月賢二委員(千葉県立中央博物館副館長)が、「覆砂がアサリ漁獲の回復に効果があるという検証は、どこでもされていない。多額の金をつぎこんでいろいろな事業がおこなわれているが、それらが本当に効果があるのかどうかがまったく検証されていないというのは問題だ」と指摘しました。





第2回三番瀬「海域小委員会」








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