市川市塩浜護岸改修事業計画(案)
に寄せられた意見(全22人)
〜パブリックコメント(意見公募)の結果〜
千葉県が実施した「市川市塩浜護岸改修事業に係る事業計画(案)」のパブリックコメント(意見公募。2005年11月30日〜12月20日)に22人から意見が寄せられました。
以下はその全文です。
【1】
- 三番瀬再生問題を護岸工事に矮小化している!
現在塩浜の護岸問題では、その形状や材質・長さなどが主な争点となっており、まるで道路や橋梁などの単なる土木工事と見まごうような論議が繰り広げられており、再生の本論である生物多様性の維持・保全についてはまったく触れられていない。
- 三番瀬再生会議の役割は?
三番瀬再生会議で再生計画を策定するというが、現実には再生会議に先行する勢いで、護岸検討委員会や漁場再生検討委員会で着々と工事の予算化やスケジュールが進められている。
- 再生計画案の答申は?
再生会議では今年6月30日に大西会長から堂本知事に基本計画案を答申している。
-
(1) 生物多様性の回復
(2) 海と陸との連続性の回復
(3) 環境の持続性および回復力の確保
(4) 漁場の生産力の回復
(5) 人と自然とのふれあいの確保
以上5つの目標に向けて、再生の進め方、施策、推進方法が定められている。
しかし現実には、さきに述べたごとく、会議・具体策とも一部の問題に限定、矮小化されてしまっている。
そして、生物多様性の確保という三番瀬の保全・再生に最も重きを成す項目については、まったく議論もされないという異常さを指摘せねばならない。
- 円卓会議はどこへ行った?
円卓会議は2年の歳月と3億円の経費を費やして三番瀬再生計画案を答申して解散した。
そして、後継組織たる三番瀬再生会議が「円卓会議の答申をもととして」具体的再生計画を策定することとなった。
然るに円卓会議の結論を重視するといいながら、さきに述べたごとく護岸のように、三番瀬の自然回復とはまったくかかわりのない部分に論議が集中し、「これ以上海域を狭めない。」を無視する護岸計画が着々と進められている。
また、「ラムサール条約については関係者の合意を早急に得る。」となされたにもかかわらず、関係者に対する具体行動もなく、再生会議で論議されることすらない。
さらには、同じく円卓会議で示された「猫実川流域の湿地化」等はどこかへ消し飛んでしまっているのが現状である。
- 原点に返れ!
三番瀬問題の出発点は、「東京湾に僅かに残された干潟・三番瀬に大きなダメージを与えることになる埋め立てを止めよう。」「三番瀬が担っている多様な生物相の良好な循環を守るため、自然の回復力を尊重し、人間が与える負荷を極力排除しよう。」という県民の意志を重視して、堂本知事が公約となし、知事就任後に「円卓会議」を招集したのである。
この原点を忘れることなく、もう一度スタートし直す必要がある。
少なくとも「防災のための護岸」「人が海に親しめる海岸作り」や、「漁港の移転新設」などに問題をすり替えてはならない。
【2】
自然を保存するという施策については大いに賛成いたしますが、工事中の環境への影響を最小とするよう工事に対するしっかりとしたモニタリングシステムを設立。実施する必要があると思います。
また工事業者の選定についても工事仕様書をしっかりと作成した上での公開入札として余分な費用をかけた工事としないようお願いしたい。
【3】
市川塩浜護岸計画について、市民サイドで都市は先住民、後住民、未来民により、住み引き継がれていく。故に発展(良い環境)を望む。それには、この住民の意志が最重要。
ついては、計画には造るが先で、護るが後であるが、それがいつでも市も県も護るが最初に議論される。楽しく利用できる方法の次に護ることを論ずることを心がけてもらいたい。創る話、議論がない。
海のない都市が多くある中で、恵まれているのに、護りで固め、見えず、遊べず、海の中に入れない。どういうことでしょうか。
具体的方法はもっともっと公論を聴くべきと思います。遊びを考えてもらいたい。
【4】
人が行きたくなるような海にする事は、自分の目で海を見て興味を持ち、海を大切にしようと市民が思うことで、三番瀬の保全に市民全体で築いていけるチャンスを増やす事が出来るかもしれませんが。
しかし、結局護岸を作る事で、埋め立てをする事に変わりはないと思います。ほんの少しだといっても、そこに住む生物は死にます。これ以上土地を狭めない事を再生計画案に組み込んでいたのなら、その言葉のとおり埋め立てをしてまでして護岸を作らないで欲しい。
前回の意見募集でも私と同じ意見の人がたくさんいたと思います。お願いします。
【5】
三番瀬の自然を守るのは大切であれば、もう一段護岸を別途に設けることで、海岸の自然を壊さないものが出来るのではないのですか。無理に、一段海岸で全部を守るのは無理ではないのですか?
【6】
護岸改修は三番瀬再生に必要であると言った様な、意義付けは得心しがたい。
千葉県に於ける護岸改修事業は、地震や津波から県民などを護ると言う観点から中長期的に検討し、緊急を要する場合は早急におこない、万全を期して戴きたい。
先の関東大震災や過去の被害調査から、千葉県は甚大な津波被害が有ったとされている様ですが、近未来に予想されている津波対策は、どのようにおこなわれているのでしょうか、三番瀬再生を唱えて護岸改修と言うのには反対です。
【7】
地震対策等の一環として「市川市塩浜護岸改修事業(100m、平成18年度完成予定)」及び後発の「5ケ年整備(約900m、平成22年度完成予定)」並びに「長期全体事業(1700m、5ケ年整備完了後着手)」については、最近テレビ、新聞等で近い将来関東地区に巨大地震の発生を予測していることや、平成16年12 月26日発生した「スマトラ島沖巨大地震(M9.0)」などを勘案すると、市川海岸塩浜地区検討委員会は、地震の発生時期、規模、高潮の高さを含め、どのような地震を想定したのか、又、一方で緊急性を強調しながら事業全体が、長期にわたる工期などを考え合わせると、最優先であるべき人命財産の安全性が、適切に反映された事業計画であったか良くわかりませんが、今後は、三番瀬の再生目標である生物多様性の回復などを含め5目標も重要であるが、人命財産の安全性が二の次になることのないよう再生事業計画の策定に取り組んでいただきたいと思います。
【8】
モニタリングには基本的に賛成ですが、近接した区域である稲毛浜から菊田川にかけて、被覆石で護岸された区域があり、この区域の詳細調査を行い、それを踏まえ、ワンランクアップしたモニタリングを行う事が重要であると思います。
私の考えとしては、この海域は南西に向き、台風や、低気圧による南西風の吹送距離が長く非常に大きな波が打ち寄せてきます。
このため1.0t程度の被覆石では能力不足であると思います。(幕張の浜左側の堤防先端の、石の状況を調査してみて下さい)
また将来的には、この被覆石で覆ったこの場所に、住民が自由に入って散策を楽しめるのでしょうか?
人が歩く事を考えているとすれば、藻類の石への付着により1:3勾配では非常に危険であると思います。
この場合、石を階段状にする方が良いと思います。 よろしくお願いします。
【9】
「市川塩浜2丁目護岸」は、粗朶沈工法にてやって下さい。鋼板をぶちこむのはやめて下さい。海と陸との連続性を失うからです。
なお、できるだけ陸部分を海側に張り出さないとうお願いします。
少しずつでも海域面積をせばめないようにして欲しいのです。
【10】
- 現段階での「事業計画」の策定には反対です。
(理由)
塩浜護岸は高潮・高波に対する防御であると同時に、三番瀬を再生する目的に沿ったものだと理解しています。三番瀬再生のための千葉県の再生基本計画は、現在、再生会議の答申と県民のパブリックコメントをうけ、県において策定中で、まだ、発表されておりません。
再生の基本方針となる基本計画が固まらない段階で、具体的な事業計画や実施計画を策定することはできないはずです。国の予算との関係で急ぐ気持ちは判りますが、国の予算を1年見送ってでも、合意形成の手順を正しくすすめ、県民の合意をつくりあげることを重視すべきだと考えます。
- 三番瀬再生会議の評価委員会の設置まで工事に着手しないでください。事業計画のなかの事業内容の箇所に「再生会議の意見をきく」の一語を加えてください。
(理由)
三番瀬再生事業の一環である以上、モニタリングや順応的管理など三番瀬の生物環境の保全については充分な配慮を払うべきであり、その保証として、再生会議のなかに設置される「評価委員会」(その設置と役割は再生会議設置要綱第7条参照)は大切です。第1回の再生会議で決めた「評価委員会」の設置を待たずに事業を見切り発車することは、再生事業にたいしての不信感を高めてしまいます。再生事業(例えば護岸造成事業)の具体的な工事の、環境・生物への影響を考慮しての適否を「評価委員会」が判断し、問題があれば再生会議に報告し、再生会議が意見をあげる、そして事業者である県がその意見を尊重する・・・というシステムができあがれば、いろいろな不安感を払拭する要素になると思います。
- どこかで、埋立地を海に戻すことを追求してください。
(理由)
傾斜の石積護岸の造成は、「三番瀬をせばめない」原則に反していることは明白です。「住民の安全のためにすこしくらいいいや」でなく、浦安から習志野までのどこかで、埋立地を海に戻してバランスをとることを、ねばりづよく(容易でないことは承知しています)追求していくことを要望します。それが実現すれば、川をつぶして建設した高速道路を川に復元したソウル市のように、世界に誇れる「千葉県・三番瀬」になると確信します。
【11】
今回の「市川市塩浜護岸改修事業」に対し、私の意見を述べます。
- 「三番瀬再生検討会議」では、再生に当たっての基本原則として、現在の海域をこれ以上狭めないことを3ヶ所にわたって述べている。この原則は、三番瀬再生・保全の基本をなすものであり極めて重要である。「円卓会議」でこの海域を狭めないと言うことを述べている三ヶ所のうちの一つは、市川市塩浜2丁目の「護岸整備」実施に当たって、次の様に述べている。「現状の利用状況から、歩道・道路・管理用スペースのそれぞれの幅を狭め、海域をこれ以上狭めないような護岸整備を検討すべきである。」
「円卓会議」のこの原則・申し合わせを無視した、今回の再生計画に基づく工事は直ちに中止して、護岸工事の位置を陸側・市川市所有地側にセットバックした計画に改めるべきである。
- これも「三番瀬再生計画検討会議」及び、「再生計画」(基本計画)でも強調されているところであるが、「事業計画」にモニタリング・順応的管理を早急に取り入れる「具体的な計画案」を策定し、再生会議で慎重な検討を開始すべきである。
- さらに、工事に伴う海域、底性生物・その他今いる生物への影響を調査・評価する「評価委員会」も早急に立ち上げるべきである。
- 石積み護岸の下に防砂シートを引くことは、生き残れる可能性のある生物を全滅させる可能性が大きいので止めるべきである。
- 私は、8月に実施した「三番瀬再生計画(基本計画)」へのパブリックコメントでも指摘したところであるが、「三番瀬漁場再生検討委員会」の存在自身が、「円卓会議」及び、「三番瀬再生計画会議(基本計画)」の基本的方針と矛盾するものであり、直ちに今の委員会を廃止して、漁業関係者は、「三番瀬再生計画検討会議」の後継組織である、「再生会議」に参加して、漁業再生・振興も一体のものとして検討すべきである。
【12】
この事業計画案は、次の理由により、環境配慮の視点から検討し直すことを強く求めます。
- 海に張り出す形でおこなわれる石積み護岸改修は、三番瀬の生態系に大きな影響を与えることが予想されるのに、この点の検討がほとんどされていない。
市川塩浜2、3丁目の地先に広がる浅海域は、多種多様な生き物が生息している。県の補足調査で明らかにされたように、この海域にはドロクダムシ、ミズゴマツボ、ニホンドロソコエビなど、三番瀬の他の環境条件には存在しない底生生物が多く発見されている。
県が護岸改修にともなって実施した環境基礎調査でも、動物197 種、植物15 種が確認されている。そのなかには、千葉県レッドデータブックに掲載されている絶滅危ぐ種12 種類も含まれている。
護岸改修はそんな貴重な海域の一部をつぶす事業なのに、三番瀬再生会議では環境問題がまったく議論されていない。これは環境重視の流れに逆行するものである。
- 護岸改修予定地の海底に生息する生物は全滅するが、その代償措置がまったく考慮されていない。
護岸改修予定地に生息しているさまざまな生物は改修工事によって全滅する。とくに、千葉県のレッドデータブックの絶滅危ぐ種Bランクにあげられているウネナシトマヤガイなどは死んでしまう。
また、県は「改修後の護岸形状が周辺域の地形、地質(底質)に影響を与えた場合、その場所に生育・生息する生物に影響が及ぶ」と報告している。
土木工事によって貴重な生き物を殺すことは問題である。しかも、代償措置もいっさい考えられていない。
- 「石積み傾斜堤上の潮間帯に置き換わる」は根拠がない
県は、護岸改修によって「ハビタット」(生物の生育・生育場)が喪失しても、「石積み傾斜堤上の潮間帯に置き換わる」と説明している。しかし、どうしてそんなことがいえるのかという根拠はいっさい示していない。
また、県は、「石積み護岸をつくったあとに、ウネナシトマヤガイなどが再定着するかどうかが今後の検討課題になる」と書かれている。しかし、たとえば習志野市茜浜の石積み護岸には、ウネナシトマヤガイはいない。ウネナシトマヤガイが再定着するなどというのは、まったく根拠のないものである。自然は人間の思いどおりにはならないということを知るべきである。
- 崩壊の危険性がより高い塩浜1丁目の護岸を先に改修すべきである。
事業計画案では基本計画書案が引用され、「安全性が保たれていない護岸については、必要な安全性を早急に確保することが必要です」と書かれている。そうであれば、崩壊の危険性が高く、早急な手だてが求められてる塩浜1丁目の護岸を先に改修すべきである。そういう危険性の高い護岸は放置し、数年前に補修したばかりの2丁目護岸を何年もかけて改修するというのは、「必要な安全性を早急に確保」とまったく矛盾している。
また、2丁目の護岸も、崩壊の危険性があるというのなら、三番瀬の環境に影響を与えないように直立護岸のまま短期間で改修(補修)すべきである。
【13】
「同事業計画案」は、下記の理由により中止し、「直立護岸による改修」とするか、「傾斜護岸」とする場合は、埋立地(陸側)を埋め戻して実施すべきと考えます。
- 「同事業案」により底地となる「捨石工事」敷地面積は、42,160 u(『4+20.8m』×1,700m)となり、さらに法先、人工干潟を加えると広大な面積となる。
現直立護岸直下には、カキ群集があり、絶滅危惧種であるウネナシトマヤガイ外多数の貴重な生物が生息するハビタットを形成し、そこには、ハゼ等稚魚群が生育箇所にしていることも観察されている。
「同事業計画案」が施行されれば、これらのハビタットは、捨石の下に埋没し、生物はすべて死滅し、事実上海域が狭められることになる。
「重要種の生息状況への予測」では、「改修後の石積護岸にマガキ群集とともに、定着が期待できる」(5 頁)としているが、定着まで数年かかる、傾斜護岸では現況より着生しにくく、着生しても人に採取される恐れがある、着生面積が現況よりも相当減少する等のことから、やってみなければわからないことが多く、万一「順応的管理」の結果、中止しても捨石の下は、原状に戻らない。
このことは、「海域をこれ以上狭めないことを原則とし、多様な水・底質環境の回復、流入河川等の汚濁負荷の低減による水質改善等を進め、生物多様性の回復及び環境の回復力の確保を図ることが重要です。」(「千葉県三番瀬再生計画(基本計画)案」19頁)に反するものである。
- 「捨石工事」箇所では、直立護岸直下のハビタットが埋没し、膨大な生物の死滅によって生態系や生物多様性が破壊され、浄化作用が減少し、環境影響が悪化することは、「三番瀬の保全・再生」に相反するものである。
- 「同事業計画」は、いわば土木工事であり、「三番瀬の保全・再生」に寄与しない。
- 地球の生物史は、一面では、人は自然環境を破壊し、他の生物は自然環境に適合して生存を継続してきた。人と生物の命は、共存によって成り立っており、人の手で他の生物をこれ以上死滅に追いやることは、地球の自然環境保全にも逆行し、許されるものではない。
- 現直立護岸は、現状からみて早急に改修が求められており、工期、資材、工法、費用等からみて、堅固な直立護岸に改修することが合理的である。
- 現直立護岸を傾斜護岸に改修する場合は、埋立地(陸側)を埋め戻して、計画することがのぞましい。
- 「同事業計画案」には、「順応的管理」「モニタリング」の記述が欠落している。今後予定されている諸「計画」との共通事項として少なくとも、次のことが必要である。
- 「同事業計画案」開始前に「評価委員会」を発足させ、委員、モニタリング等の項目、方法等を決め、「同事業計画案」と平行して活動すべきである。
- 「モニタリングの体制確立」については、「初期の段階から〜仕組みを作る必要がある。」(「三番瀬再生計画案」141頁)とされている。
「同事業計画案」に、実施内容等を明記すべきである。
- 「同事業計画案」開始前に「評価委員会」を発足させ、委員、モニタリング等の項目、方法等を決め、「同事業計画案」と平行して活動すべきである。
【14】
- 三番瀬の再生は「海域を狭めない」ことが基本原則です。
今回、海に30m張り出す石積み護岸改修は、この基本原則を考慮しないものです。これ以上海域を狭めず、なおかつ、市民が海にふれあえることを考えるのであれば、市川市所有地側にセットバックしてほしい。
- 石積み護岸により,海底に生息する生物は全滅する建設予定地に生息している様々な生物は全滅する
対象区域にはマガキ、ケフサイソガニ、タマキビガイ等が生息している。特に千葉県のレッドデータブックの絶滅危惧種Bランクのウネナシトマヤガイは、護岸改修により死んでしまう。
また、県は「改修後の護岸形状が周辺域の地形、地質(底質)に影響を与えた場合、その場所に生育、生息する生物に影響が及ぶ」と報告している。
三番瀬は、東京湾に残された貴重な干潟、浅瀬であり、生き物のゆりかごとなっている。そんな大切な海域は残すべきである。
- 「石積み傾斜堤上の潮間帯に置き換わる」は根拠がない
県は、護岸改修によって『ハビタット』が喪失しても、「石積み傾斜堤上の潮間帯に置き換わる」と説明している。しかし、どうしてそんなことがいえるのかという根拠はいっさい示していない。
また、再生計画案のなかに、再生に当たっては「湿地復原の原則とガイドライン」に沿ったものでなくてはなりませんと謳っている(P42)。ガイドラインの中には「復元するという約束とひきかえに価値の高い自然の湿地を売ることは回避されなければならない」とある。根拠のないことをもって、再生をうたってはいけない。
- 評価委員会が発足していないのに事業がどんどん進んでいる
三番瀬再生会議の下部組織として専門家による「評価委員会」が作られることになっているのに、未だに発足していない。
評価委員会を早急に発足させ、護岸改修をきちんと評価できる体制を整えるべきである。
- 崩壊の危険性がある護岸を早急に改修すべき
再生会議、護岸検討委員会では何回も「崩壊の危険性のある護岸を改修して欲しい」の声が出ている。人命に関わるというのであれば、三番瀬の環境に影響を与えないよう、直立護岸のまま短期間で改修(補修)されることを求めます。
【15】
標記事業計画案について下記の通り意見を申し述べます。
- 護岸改修事業の実施計画について
護岸のうち鋼矢板の腐食、老朽化などにより、危険な個所が生じているのは塩浜1丁目の護岸であり、2、3丁目の護岸から改修事業に着手するということは理解に苦しみます。改修事業を実施するのであれば、市民の利用頻度も高い1丁目の護岸から着手すべきであると思います。
- 海と陸との連続性・護岸事業計画について
この護岸改修事業の実施にあたって、海と陸との連続性を徐々に取り戻すとのことですが、連続性を取り戻すにあたっては海域を狭めないとの原則に基づいて事業計画を立案すべきです。計画案では、今回の改修事業は海側に張り出す形で緩傾斜の石積み護岸を作ることになっており、三番瀬の再生の原則に背く計画案となっています。
「再生」とは、人間の手によって破壊してしまった自然環境を原状に戻すということを目指すもののはずです。
今回の計画案は、過去に埋め立てて、埋め立てて、どんどん東京湾の沿岸部の自然環境を破壊してきた歴史を反省して、もう海域を狭めないという原則を打ち出したはずの再生会議の合意を反故にして、さらに数ヘクタールの海域を事実上埋め立てるものです。
真に「再生」を図るための改修事業であるならば、陸域側に向かって緩傾斜の護岸を形成すべきです。
- 絶滅危惧生物の保護対策について
塩浜2、3丁目の直立護岸には現在、潮間帯にマガキがびっしりと生息し、おもにマガキの群集の内部に千葉県のレッドデータに登載されているウネナシトマヤガイなどが生息しています。
この直立護岸を緩傾斜護岸に改修するにあたっては、絶滅危惧種の保護に配慮した計画案の立案が不可欠です。人の海岸に対する接近の確保も大事なことですが、直立護岸を単に直線的に一律に本来の「再生」とは到底言いがたい緩傾斜護岸にすればいいというものでしょうか。
本来、真に「再生」を目指すというのであれば、かつて海だったところはすべて海に戻すというのが「再生」のはずです。
そうした努力がいささかも見られないまま、形ばかりの直立護岸を緩傾斜護岸にするということを「人々と三番瀬とのふれあいを確保」「自然な連続性」などと美辞麗句で覆うことは欺瞞以外の何物でもありません。緩傾斜護岸にすることによって、ウネナシトマヤガイなどの絶滅危惧種が影響を受けることがない、あるいは再定着が可能であるとのきちんとした調査がなされた上で計画案は立案されていますか。
私は、以下のことを要望します。
- 護岸改修事業を実施するのであれば、現在以上に海域を狭めることなく、陸域側に形成する計画案とすること
- ウネナシトマヤガイなど絶滅危惧種の保護について、きちんとした保護策を策定したうえで改修計画を立案すること
地球上の各種資源が枯渇するのはそんなに遠い未来のことではありません。最後に日本人の生存を担保しうるものは、過去にそうであったように、農業と漁業、言い換えれば、田畑と沿岸の営みです。
真剣に豊かな沿岸部を再生する「再生計画」の立案と実施に取り組んでいただきたいと思います。
石油が枯渇すれば、基本的に現在の自動車中心社会も終焉します。工業中心社会も終焉します。そうした数十年後の社会をも見据えた事業計画を立案する覚悟で取り組んでいただくことをお願いいたします。
- 護岸改修事業を実施するのであれば、現在以上に海域を狭めることなく、陸域側に形成する計画案とすること
【16】
塩浜護岸工事の実施計画について意見を述べさせていただきます。
私は、これまで、市民が行っている猫実川口の先の浅海の生物調査に何度か参加させてもらいました。一昨年は護岸下の水の中に無数の小さな魚がひしめきあって泳いでいるのに圧倒されました。イカダ(?)で連れて行ってもらったカキ礁は、手前でアナアオサが群生し、その下は足を入れるとズボッと沈む柔らかな土で直径3〜4cmの大きな穴が無数にあってこわいくらいでした。この穴全てに生き物がいて、有機物を分解していると思うと、命の源泉を見たという感じがしました。
アナアオサの下にはハゼがヒョイヒョイと隠れ泳ぎ、船橋海浜公園先の海では見たことのないウナギやアナゴ、ギンポの仔、ニホンスナモグリ、その他、名の覚えられなかった貝類、うんと小さな、ピンセットでつまむとつぶれてしまうくらい小さな生き物達をたくさん見ました。大きめの穴を深く掘るとアナジャコがいました。
そして昨年は、カキ礁が大きくなって、アナアオサは少なくなって、柔らかな土はなくなっていました。そして大きなトリガイ、アカガイを見つけ、サルボウがたくさんいたのが印象的でした。その他、レッドデータブックにのっているというウネナシトマヤガイや新しい貝類を教えてもらいました。
今年は体調が悪く参加できませんでした。きっと一昨年、昨年以上の変化があったろうと思います。
ここは三番瀬(もしかすると東京湾奥で)唯一の泥質域と聞いています。かつて、ヘドロがすごいという噂がありましたが、それは全くの嘘で、正に生命の源泉でした。そして、ここは、この海に併せて年々変化し続けていることを痛烈に感じさせる所でもありました。
この変化は、誰もが予測できない変化であり、正に自然の営みそのものです。こういう自然の営みに触れることは四季折々の野山の自然に触れる以上に自然への畏敬の念を抱かせるものであり、ぜひとも近隣の子供達に体験させたいものです。一年に1〜2回、そして何年か続けて体験させることで、人の手の入らない自然の営みの偉大さ、ダイナミズムを知ることができます。
この塩浜護岸には、2億6000万円もかけて改修の計画があり、石積み護岸にするという計画もあると聞いています。
どうしても早急に改修する必要があるのでしょうか。補修ということはできないものでしょうか?また、石積み護岸も早急にしなければいけないものでしょうか。今、着々と変化し続けているカキ礁付近の生命の営みはこれらの改修工事が為されれば全滅もしくは多大な被害を受けます。元に戻すことは不可能です。
現在、市民の手で調査が続けられています。できれば、このままの自然を近隣の子供達の教育の場として利用することはできないものでしょうか?
また、石積み護岸が、地域の人々の親水性を考えて造られるものでしたら、日の出の先の海岸がこれも自然に砂がたまってきて、生き物も年々ふえて人々が充分に楽しめる場になってきています。こちらの利用を安全にできるようにする方が必要ではないかと思います。
どうか2億6000万円もの税金を使って、年々刻々と変わる壮大なドラマを創り続ける塩浜の海の自然をこわさないでください。
この生命の営みに影響を与えることは、どうか最小限にして、もうしばらく壮大なドラマを調査し、見続けることをさせてください。これは、私と一緒に市民調査に参加してきた我が家の子供達とその友達の願いでもあります。そして、たぶん塩浜の海、三番瀬の海の今生きている全ての生き物達の願いです。
【17】
事業計画案に対し意見を述べさせていただきます。
- 委員会の運営について
この事業計画案が決定された「市川海岸塩浜地区護岸検討委員会」の運営は、例えば、第4 回のように、具体的に何が決定される事項なのか委員がはっきりわかっていないうちに「合意」ということになってしまうとか、「時間がない」といいながら、県や市川市の提案する護岸形状の説明には時間をかけるなど、とにかく「海側にだけ張り出し、前面に砂をつける1:3の石積護岸」が当初から結論付けられ、それに向かって日程をこなしていくための運営のように思われました。
- 私案の扱いについて
委員からは「粗朶(そだ)沈床を使った工法」や「塩浜地区まちづくり私案」など出されていましたが、あまり検討されることもなかったようにおもいます。
- 予算措置について
委員会では、塩浜1丁目の護岸の一部が陥没、また7月の地震によりその護岸が「はらむ」という状況を受け、そこで仕事をする漁師さんが早急な対応」を訴えていました。しかし、「港湾区域である」とか、「海岸保全区域外」であるとかの理由で、「4 割国費の2 億6 千万円」は1丁目には全く投入されないことになりました。塩浜護岸全体の緊急改修事業が必要ならば、2001年度に2 億円近い税金を使った補修工事を活かし、3〜4年の短期計画で補強する選択肢もあるのではないでしょうか。
- パブリックコメントの扱いについて
円卓会議から過去何回かパブリックコメントを募ることがありましたが、付記されるだけの形式的なものとなっています。「住民参加」の会議であるならば、耳を傾けて頂きたいと思います。
【18】
- 「三番瀬再生検討会議」では再生にあたり「現在の海域をこれ以上狭めない」ことを基本原則と述べています。また、広く評価されました。この基本原則の原点に立ち返りきっちり検討しなおしてください。その意味で、今回の事業計画案(護岸改修事業)は円卓会議の合意申し合わせにそぐわないと思います。
- 魚類の調査を強く望みます。(産卵の場と、仔魚・稚魚の成育を含む魚類の調査)
千葉県の調査・環境基礎調査では、動物が197 種、植物が15 種確認されました。調査は低生生物が中心ですが、中には絶滅危惧種でもある魚「エドハゼ」が報告されています。
このように県の調査によっても、河口域が大変豊かな生態系を持っていることがわかります。魚についての意見ですが江戸川に遡上する魚類を考えますと東京湾で産卵や稚魚の時代をすごしますから重要なフィールドであることは歴然です。(例えば松戸の漁業でいえば、鮎が仔魚の時代を東京湾で生育します。)江戸川はじめ流域での漁業が痛手を負ってしまってから「調査はしなかった」ですむのでしょうか。この事業計画を進めるよりは護岸補修工事にとどめるべきではないでしょうか。次に現在の東京湾で流域の魚が豊かであることを機関紙により転載させていただきます。≪自然通信社による自然通信178 号3 ページより「江戸川野遊び道場『定置網漁』in 坂川」の記事:2005 年8 月20 日(網上げ8 月21 日)、場所はJR 松戸駅、徒歩5 分直線で300メートルほどの坂川。1 張り目・・・ウナギ3 匹(人の手首ほどもある太さ)、マハゼ、モツゴ 2 張り目・・・モクズガニ(大きなメス)、スズキ(稚魚)。カニ網(あらを仕掛ける)・・・ゲンゴロウブナ、テナガエビ、モクズガニ、モツゴ。(一部分転載)≫。
ちなみに、坂川は江戸川の支流なのでこれらの多くの魚介類は、東京湾から遡上したものと思われます。利根川江戸川流域をフィールドに活動しておられるNPOの代表T氏は江戸川には熟知しておられるが、江戸川の魚の種類を約70 種、確認しておられます。この中で東京湾〜江戸川を回遊する魚は鮎を代表として何種類か想定されます。(松戸漁業の鮎漁はすでに有名です)。ここ三番瀬が低生生物だけでなく、魚介類にとってまさに命のゆりかごになっているのは明らかでしょう。猫実川河口域、特に護岸直下、あるいは護岸沿いが産卵と共に、仔魚・稚魚の生育場所の可能性が濃厚であると思われるからです。
- 事業計画に「モニタリング」「順応的管理」を明記してください。
上記2の環境基礎調査結果がどのように生かされていくのか。どのような期間や気象現象など考慮しての影響を反映していくのか。それに伴う「評価」など順応的管理の徹底を強く望みます。
- 評価委員会が発足していないのに事業がどんどん進むのは事業そのものを不安定なものになります。専門家による評価委員会を早急に発足させてください。
【19】
- 三番瀬再生計画検討会議(円卓会議)で基本的理念として示されている「現在の海域をこれ以上狭めない」とする原則を厳守する。
今回提示された事業計画では、現在の護岸の位置より海に張り出す形で、石積みによる護岸を造成するとしているが、円卓会議で長期間検討してきた結果として示された「海域をこれ以上狭めないような護岸整備を検討すべきである。」とする原則を守る必要がある。この原則は野生鳥類はじめ魚類、貝類、底生生物など多くの野生生物の保護のために最優先される大原則である。そのためには、現在危険とされる鋼矢板護岸に代え、安全かつ生態系に配慮した護岸として、石積み護岸を採用する場合でも、現在の海岸線より陸地側において造成する計画にすべきである。
- 人々と三番瀬とのふれあいを確保するための施策として、市川市所有地及び市川市塩浜2丁目の一部の区域を元の海に戻し、かつての海岸線で見られた海と陸との自然な連続性を維持できる環境の再生を行う。
今回提示された事業計画では、市川市塩浜2丁目及び3丁目の護岸部全域を、海と陸との自然な連続性を取り戻すための護岸に改修するとしているが、自然な連続性を回復する護岸がどのようなものか不明である。三番瀬を訪れる人々と三番瀬とのふれあいを確保するための環境をつくるためであるなら、全域を対象にする必要はない。対象となる区域に建てられた工場等の施設については他地域へ移転してもらうことも視野に入れ、塩浜2丁目の市川市所有地及び三番瀬海域にいたる一部の区域を元の海に戻し、かつての陸地から浅海域に至る干潟環境の再生を図り、人と三番瀬とのふれあいを確保するための環境を整備する計画にすべきである。
- 高潮被害に遇う恐れのある地域に建てられた工場等の施設について、他の安全な区域への移転移設を最優先に行う。
今回提示された計画では、高潮防護のための護岸への改修を進めるとしているが、すでに周知のとおり、高潮対策は一部の護岸を改修するだけで防ぐことができるものではなく、広範囲の海岸や河川等を対象に総合的な対策を立てる必要がある。したがって、今回対象となる被害に遇う恐れのある区域に建てられている工場等の施設については、被害を回避するため、他の安全な区域への移転移設を最優先に行う計画にすべきである。
【20】
今回の計画案では、海に張り出す形で石積み護岸が建設されることになっています。
ここは、東京湾で残された貴重な干潟、浅瀬であるのに、さらにその場所を狭めなければいけないのでしょうか。また、県は、「改修後の護岸形状が周辺域の地形、地質に影響を与えた場合、その場所に生育・生息する生物に影響が及ぶ」報告していると聞きます。この海域には、マガキ、ケフサイソガニなど、レッドデータブックの絶滅危惧種に載っているウネナシトマヤガイもいます。ハゼもたくさん釣れ、稚魚の生育場にもなっています。観察会に何回か参加している子供達でさえ、「人間の勝手な行いで、生き物を生き埋めしてしまっていいのか」と言っています。これ以上海を埋めないで、直立護岸のままで補修する方法をとってもらうことを望みます。
【21】
- 基本計画
海と陸の連続性をはかるのであれば、世界(欧米)で行われているように、陸側を削って行うべきである。海に石積みで張り出すのには反対である。
- 事業計画
石積みではなく、直立護岸にすべきである。国土交通省でも行っているエコ直立護岸も検討すべきである。
(理由)
- 海をせばめない。
- 豊かな湿地は保全が原則(ラムサール条約湿地復元の原則)
- 海をせばめない。
【22】
- 海岸保全区域の新規設定について
- 円卓会議による再生計画案では、「現在の海岸線は基本的に動かさない」、「海岸保全区域を現在の海岸線の位置に幅をもった形で設定する」とされている。(P100)。
この条項に関しては、審議過程でも各条文に照らしても、保全区域を海側に設定することは原則として想定されていない。
- それにもかかわらず、海岸保全区域の大幅な海側設定を円卓会議終了後、再生会議発足前の空白期間に県が独自に決定したことは、円卓会議・再生会議を無視した背信行為である。また、これは、三番瀬再生計画がよりどころとする「住民参加、情報公開、科学的公正」の原則を破壊するものである。
- 円卓会議による再生計画案では、「現在の海岸線は基本的に動かさない」、「海岸保全区域を現在の海岸線の位置に幅をもった形で設定する」とされている。(P100)。
- 再生の視点について
- 本来「再生」とは、人為によって破壊され劣悪化した自然を修復し、原レベルに近づけようとすることである。2005年日韓国際環境賞は、ソウル市に授けられた。
それは、都市部の5.8Kmにわたる高速道路と暗渠の覆いを撤去して清渓川(チョンゲチョン)を復原した同市の事業が21世紀の環境再生のモデル事業と評価されたからである。
三番瀬再生事業もかくあるべきであった。再生計画案審議では、第2湾岸予定地(25年に及ぶ休閑地)における水路開削案や埋立地の一部の干潟乃至湿地復原が提案されていた。せめて塩浜護岸改修事業に関しては、再生計画案に記された「市川市所有地前面における現在の護岸の撤去・後方引下げと自然再生」(P101)を同時に審議すべきである。
- 「潮間帯の再生に関しては、現在残っている干潟・浅海域を保全するとともに、現在の護岸を整備しなおす際に、可能な場所では護岸の位置を引くなどして干潮時に干出する小規模な干潟を復活する試みを科学的知識に基づいて検討することが必要です。」(再生計画案P43三番瀬の再生の目標)。「構造上、海に張り出す必要がある場合には、海への影響が最小限となるようにする。(P100)
これらの文意からすれば、海への張り出しは例外的なものに限り、その構造に十二分な配慮をするとともに、それによって狭められる海域は(少なくとも同面積以上の)陸域の干潟化によって補償されるべきである。
- 本来「再生」とは、人為によって破壊され劣悪化した自然を修復し、原レベルに近づけようとすることである。2005年日韓国際環境賞は、ソウル市に授けられた。
- 生物への影響
- 石積護岸の前出しと傾斜によって埋没される海域面積は、延長1.7kmに展開された場合5ha砂入れによってははるかに大規模なものとなる。その海域に生息する生物は生き埋めとなるか、生息地を奪われる。これは大きな自然改変である。
- 石積護岸の比較対象モデルとして茜浜を挙げ、付着生物の再生を期待しているが、塩浜護岸の傾斜を1:3とすれば、潮間帯部分(AP2.1m以下)は幅6mに過ぎず、残る24mは潮上帯で水に触れないから、水生生物の再生は不可能である。
- 砂の下に防砂シートを敷けば底生生物は生息できない。谷津干潟北岸の失敗をくり返すのは愚かである。
- 特に泥質域への砂入れは、生物を殺すのみでなく、不自然な海の摂理をそむく行為である。谷津干潟の生物が減少した第一原因は泥質の消失、砂質化にあると考えられることを学ぶべきである。泥干潟保全(再生計画案P101)こそ優先すべきである。
- 対象域の生物調査は付着生物と底生生物のみで、魚類等の遊泳生物に及んでいない。
たとえば春、見明川から江戸川へと遡上するアユの大群は主として三番瀬で成長するものと思われるが、その仔魚は秋、護岸近くで観察されているのみであるのに(平成14年度県調査)追跡調査が行われていない。ハゼ類を含め、護岸付近を生息地とする他の魚類についても生活誌調査がなされていない。
- 石積護岸の前出しと傾斜によって埋没される海域面積は、延長1.7kmに展開された場合5ha砂入れによってははるかに大規模なものとなる。その海域に生息する生物は生き埋めとなるか、生息地を奪われる。これは大きな自然改変である。
- 構造上の疑問
- 浦安・行徳地先は元々極めて地盤軟弱地帯である。埋立地は一層地盤が弱い。構造物が重いほど圧密沈下(不等沈下)を免れず、一層巨大化せざるをえない。特に泥質域ほど大量の余分な捨て石または地盤強化が必要となるだろう。
一方、首都圏直下型地盤の恐れは大きいとされているが、この地は東京湾北部断層、東京湾北総断層から近い。1987年千葉県東方沖地震(M6.7)では、震源から離れているのに、湾岸埋立地では各地で液状化現象・噴砂現象が起こった。重量型の石積みはこの点でも不利ではないか。軽量・柔構造の方が好ましく、この点からも粗朶沈床工法を評価すべきではないか。
- 自然に対する柔軟な対応、すなわち順応的管理は、計画・工事・維持のすべての段階で必要であり、常に引き返す構えを用意すべきである。
- 浦安・行徳地先は元々極めて地盤軟弱地帯である。埋立地は一層地盤が弱い。構造物が重いほど圧密沈下(不等沈下)を免れず、一層巨大化せざるをえない。特に泥質域ほど大量の余分な捨て石または地盤強化が必要となるだろう。
- 地域防災の観点
地域防災の観点から見る時、最も危険度の高いのは地盤高のある塩浜地区よりも後背地の行徳・浦安の旧来からの低湿地である。総合地域防災計画こそ第一に必要である。
- 従前の海岸保全区域における防護態勢は極めて重要であり、その強化をまず図ること
- 内側の港湾区域における高潮防護態勢、高潮水門整備、河川下水管からの逆流、大雨時の排水・遊水等の状況を綿密にチェックすること
- 地域に応じて多重防護、嵩上げ、移転、その他、必要な対策を検討すること
- 従前の海岸保全区域における防護態勢は極めて重要であり、その強化をまず図ること
★関連ページ
- パブリックコメントも会場発言も無視!〜第9回「三番瀬再生会議」(2005/12/27)
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