中池見湿地内の北陸新幹線計画変更を求める要請書

ラムサール条約登録湿地「中池見湿地」内の

北陸新幹線通過計画の変更を求める要請書

　千葉県自然保護連合と三番瀬を守る会、千葉の干潟を守る会は2013年１月25日、ラムサール条約登録湿地「中池見湿地」（福井県敦賀市）を通過する予定の北陸新幹線建設計画に関する要請書を環境大臣、国土交通大臣、福井県知事、敦賀市長、鉄道建設・運輸施設整備支援機構理事長に提出しました。

環境大臣への要請書

２０１３年１月２５日

　環境大臣　　石原伸晃　様

千葉県自然保護連合　代表　牛野くみ子

三番瀬を守る会　　　　会長　田久保晴孝

千葉の干潟を守る会　　　代表　近藤　弘

　　　ラムサール条約登録地「中池見湿地」内の北陸新幹線建設計画
　　　に関する要請書の提出について

　私たちは、房総の自然や東京湾の干潟の保全を中心に、各地の自然や湿地に生きる動植物の生態系を守るために、各地の市民団体とともに自然保護運動を続けています。私たちの求めた谷津干潟がラムサール条約登録湿地になって20年。東京湾岸道による水循環の制限や淡水流入の欠乏等による環境悪化と不断のたたかいを余儀なくされるなど、多くの課題が明らかになっています。
　そのような状況下で、「中池見湿地」（福井県敦賀市）の将来は私たちにとって重大な関心事です。
　昨2012年７月、「中池見湿地」は、ラムサール条約登録湿地となりましたが、その登録直後に、当該「中池見湿地」内を貫通する北陸新幹線建設計画の認可が公表されました。しかしこの計画は湿地の保全にきわめて重大な悪影響を与えるものと、私たちは憂慮しています。
　貴職に対して、私たちは、ラムサール条約登録の意義を尊重し、またその国際的約束を果たすよう、この建設計画の根本的な再検討を別紙の通り要請します。

要　請　書

２０１３年１月２５日

　環境大臣　　石原伸晃　様
　国土交通大臣　太田　昭宏様
　福井県知事　　西川　一誠様
　敦賀市長　　河瀬　一治様
　鉄道建設・運輸施設整備支援機構
　　　　　　　理事長　石川　裕己様

千葉県自然保護連合　代表　牛野くみ子

三番瀬を守る会　　　　会長　田久保晴孝

千葉の干潟を守る会　　　代表　近藤　弘

　　　ラムサール条約登録湿地「中池見湿地」（福井県敦賀市）内の
　　　北陸新幹線通過計画の変更を求める要請書

　中池見湿地は、昨年7月、国際的に重要な湿地を保全するラムサール条約の登録湿地に認定されました。ところがこの湿地の条約登録直後の８月、その中を横切る北陸新幹線建設計画が認可され、以前に発表されたものよりもさらに湿地の内側に変更されていることが明らかになりました。これはきわめて不適切な計画であり、私たちは計画の変更を要請します。
　この中池見湿地は深山、天筒山、中山の3つの山に囲まれ、湿地の水は雨水と山からの水脈による数多の湧水のみで満たされ、流入河川は一本もありません。その湧水は各々水質が微妙に異なり、これら成分豊かな水に育まれた生態系や生物多様性は他では見られない非常に豊かな様相を示しています。そこには約3000種もの動植物が生息、生育しており、中でもトンボ類は70種を数えます。それらの中には絶滅危惧種が多く含まれるだけでなく、新種も発見され続けています。さらに「袋状埋積谷」という地形と、その底部にある厚さ数十メートルもの泥炭層には、十数万年にも及ぶ環境変遷の歴史が記録されている、といわれます。北陸新幹線計画は、これら湿地全体の保全と生態系の維持にきわめて大きな悪影響を与えるものと私たちは憂慮しています。
　計画によれば、湿地をとりまく山々のうち、湿地への地下水の供給量がいちばん多いとされる深山の下にトンネルが貫通することになります。周辺からの湧水や雨水のみに頼る中池見湿地に近接してトンネルを掘ることは、地下水脈や水系を分断し、湿地の生命線ともいうべき水環境を破壊する危険性がきわめて高く、湿地の保全に重大な影響を与えることは明らかです。
　ラムサール条約への湿地登録は、中池見湿地の保全と湿地喪失の阻止を将来にわたって国際社会に約束したものであり、その登録湿地に脅威を与える行為は、この約束に違背するものです。この貴重な自然遺産を守るために、北陸新幹線通過ルートの変更、あるいはその建設計画そのものの中止を含む再検討を強く要請します。

ラムサール条約に登録された中池見湿地

中池見湿地

2012年11月16日の「公共事業徹底見直しを実現する集会」で新幹線の
ルート変更を訴えたＮＰＯ法人ウエットランド中池見の笹木千恵子さん。

★関連ページ

ラムサール条約ＣＯＰ11へ向けて～日本湿地ネットワークが敦賀市でシンポ（2012/4/21）

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