自然保護団体などが

 清水環境庁長官の

 人工干潟肯定発言で申し入れ





 清水嘉与子環境庁長官は(1999年)10月21日、大臣就任後初めて三番瀬を視察し、県が計画している人工干潟について、「(ヘドロなどの)今の状況を考えると、ある程度はやらざるを得ない」と述べ、これまで環境庁が否定的だった三番瀬での人工干潟の造成に肯定的な姿勢を示しました。
 これに対し、多数の自然保護団体や自然保護愛好家などが環境庁長官に抗議や申し入れの文などを送りました。このうち、千葉県野鳥の会の要請書と、船橋市在住の荒木勉さんの申し入れ書を紹介します。


 

千葉県野鳥の会が環境庁長官に提出した要請書



平成11年10月22日

 環境庁長官 清水嘉与子 様

千葉県野鳥の会
会長 富谷健三


三番瀬保全のお願い

 このたびは、環境庁長官にご就任なられ、誠におめでとうございます。
 また、就任後早速三番瀬保全のため、現地に赴かれ、ご視察いただき誠にありがとうございました。
 さて、新聞報道によりますと、このたびの三番瀬視察の際、人工干潟を容認されるような発言をなされておられますが、たとえ小面積であれ、人工干潟のもたらす弊害はこれまでの環境庁の見解でも重視されているところで、名古屋港の藤前干潟でもそのことが明確に示されております。
 長官もご存知のとおり、船橋梅浜公園海岸は外観上人工干潟が効果的に作られたようにみられますが、人工干潟の作られた場所はもともとの干潟及び浅海域で、隣接地の幕張の浜や稲毛の浜では、人工海浜が作られたもののその維持に毎年多大な労力と経費がそそがれております。
 これからの地球環境を守っていくためには、すでに埋め立ててしまった海をできるだけもとの海、生命の源である海にもどし、人間と野生生物が共存できる環境を作っていくことが重要であると主張され、すでに諸外国では埋立地をもとの海にもどす作業が進められております。
 日本でも、環境庁の強い信念により、その一歩が進み始めてきたところであります。どうかこの信念を強く持たれ、埋立地の改造によりもとの海を取り戻すことができるような英知を集め、安易な人工干潟の造成は認めないよう、関係機関への適切なご指導ご助言をお願いいたします。
 そして、東京湾最奥部の貴重な干潟及び浅海域である三番瀬が、世界の宝物として末永く有効に利用されますよう、ご尽力くださいませ。
 よろしくお願いいたします。





荒木勉さんが環境庁長官に提出した申し入れ書



平成11年10月22日

 清水環境庁長官 殿


荒 木  勉
(船橋市在住)


 昨日、三番瀬について、人工干潟を容認する発言をされましたが、大きな事実誤認が有ります。
  1. 三番瀬の市川側は確かに汚いように見えますが、貴重な生物の生息の場であり、食物連鎖の一環を担っている。従って、東京湾の浄化に大いに役立っている。見かけだけで判断されては困ります。

  2. 汚れの原因は猫実川をはじめとする近隣の汚れが流入することが原因であり、これを改善しない限り、どれだけ立派な人工干潟を作成しても、決してきれいにはならない。

  3. 人工干潟は今まで何力所でも実験されてきたが、成功例はない。近くの稲毛の浜の例をあげるまでもなく、ことごとく失敗している。しかも、比較的条件が良いとされているところでも失敗しており、三番瀬のような場所で挑戦しても成功の可能性はないと断言できる。
     それとも今回、人工干潟を成功させる新しい技術を環境庁が発案したのなら、それを発表してもらいたい。

  4. 千葉県が計画している人工干潟の面積は大きすぎて環境に与える影響があまりにも大きく話にならない。実験するなら、ごく、ごく小さな面積から始めるべきであり、今回の容認発言は明らかに行き過ぎである。

  5. 今までの環境庁の方針と180度変更したことを言うにしては時間的な余裕がなさすぎ、人工干潟が今まで無理と言っていたのに、急に変更した技術的な根拠が見えない。

 環境を良くすることは環境庁のみならず、我々庶民の大きな目標でも有ります。
 その意味で、環境庁は我々の牽引役でありますので、今後は庶民の側に立った発言を希望します。
 特に、三番瀬は東京湾に残された最後と言って良い貴重な干潟です。そこでの営みが今の東京湾を守っていますので、保全を前提に考えていただくよう切にお願いいたします。
 三番瀬は東京湾奥に残された最後の干潟です。





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