東京湾干潟考

〜貝類のコドラート調査(2008)より〜

田久保晴孝


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 25cm×25cm×10cmの砂泥をとり、2〜3mm)のふるい(金ザル)で砂泥を流し、そこにいる貝類を調べた。コドラート法(枠取り法)による調査である。


1.猫実川河口域

   調査日:8月2日
   底 質:砂泥質(粒=小)
   貝類数:約300個/m2

 【特徴】アナジャコの穴が多い。シオフキガイの稚貝が多い。シオフキガイ90%、
     アサリ5%、マテガイ2%、サルボウ1%、ソトオリガイ1%だった。


2.ふなばし三番瀬海浜公園前の干潟

   調査日:8月3日
   場 所:東側、防泥堤南50m 南側
   底 質:砂質(粒=中)
   貝類数:約300個/m2

 【特徴】シオフキガイ約200個、アサリ約100個、ホンビノスガイ2個


3.小櫃川河口干潟(盤洲干潟)

  調査日:8月9日
  場 所:岸より南へ100m
  底 質:砂質(粒=大)
  貝類数:約300個/m2

 【特徴】巻き貝のホソウミニナが多い。ソトオリガイがわりと多い。コメツキガニ
     が多い。
     ホソウミニナ197個/m2、シオフキガイ63個/m2、ソトオリガイ13個/m2、
     アサリ12個/m2、コメツキガニ1匹


◇        ◇

 3ヵ所とも、シオフキガイの稚貝(8mm、2cm)が多く見られた。
 粒の大きさによって生物相が異なるが、3ヵ所とも生物豊かな海域であることがわかった。

 なお、横浜市の人工海浜「海の公園」の砂粒は、小櫃川河口干潟の粒と同じであった。今年は、三番瀬や小櫃川ではあまりみられなかったが、「海の公園」にはたくさんあり、ダンプで改修していた(8月25日)
 「海の公園」は、上記の3ヵ所の干潟に比べると生物相が貧弱に感じた。

(2008年8月30日)




《付記》
 昨年9月上旬は、大雨のために、江戸川放水路の泥水放流によって貝類が多数死滅し、やっと増えた。
 しかし今年8月下旬の青潮により、ふなばし三番瀬海浜公園沖では、1m2あたり300個の貝類の中の97%が死滅した。生きていた貝は、1m2あたりで、ホンビノスガイ4個、シオフキガイ3個、アサリ1個だった。8月30日の同公園沖の干潟は、シオフキガイやマテガイの貝殻だらけという感じだった。
 これから飛来するスズガモやミヤコドリの餌が心配である。





コドラート調査




右からシオフキガイ、アサリ、ホンビノスガイ(上)、 マテガイ(下)、サルボウ(三番瀬の猫実川河口域)




シオフキガイとアサリ(ふなばし三番瀬海浜公園前)




ソトオリガイ(右)とホソウミニナ(左)(小櫃川河口干潟)




横浜市の人工海浜「海の公園」




青潮によるシオフキの死骸(2008年8月30日、ふなばし三番瀬海浜公園前)







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