〜春木川と国分川の水質は全国ワースト1、3〜
千葉県自然保護連合事務局
(2006年)7月19日の『東京新聞』(千葉版)は、三番瀬の流入河川である市川市の「春木川」を写真入りで大きくとりあげています。見出しは「『汚い川』市民の手で浄化へ」です。
■市川市内の河川水質は悪化の一途をたどっている
こう記しています。
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《環境省が実施した2004年度の「公共用水域水質測定」で、市川市内を流れる春木川が全国ワーストの水質とされた。春木川と並行するように流れる国分川も3番目に悪かった。合流する真間川や大柏川も含め、人口の急増で家庭の生活排水が大量に流入するようになり、市内の河川の水質は悪化の一途をたどっている。
市は、川を汚さないために家庭でできるちょっとした工夫を市民に広める第7期市川市生活排水対策推進員「みずアドバイザー」を募集している。
11月の市民まつり、6月の環境フェア、各地の公民館の文化祭などに参加し、洗剤を減らすアクリルたわしの使用や食べ残しを流さない工夫などをアピールする。小学生を対象にした環境学習も行う。
子どもだけでなく、市民の足が遠のき、死に絶えたような都市の河川。市民自らの努力で再び豊かな流れを取り戻せるか、試みが注目される。》
■県や市は、河川の汚れを放置し、人工海浜造成に躍起
とすれば、三番瀬再生事業で第一にやらなければならないのは、こうした“汚れた川”の水質浄化でしょう。
しかし、市川市も千葉県も、それはやる気がありません。完全に“市民まかせ”です。
一方で、市川市や県は三番瀬海域の一部(猫実川河口域)をシャカリキになって埋め立てようとしています。覆砂による人工海浜(人工干潟)造成です。
そのうたい文句のひとつは、「かつての埋め立て前のようなきれいな海をとりもどす」です。
冗談じゃありません。
海域の大半を千葉県や市川市などに埋め立てられた三番瀬は、いまでも、13万人分の下水道処理能力に匹敵するほどの水質浄化能力をもっています。「日本一汚れた川」から流れ込む大量の汚濁物も浄化しています。
そんな海域をつぶし、人工海浜などをつくるのは環境破壊であり、犯罪行為です。
人工海浜や人工干潟の浄化能力や生物多様性は、自然の干潟・浅瀬に比べてはるかに劣ります。これは、全国各地の事例が示しています。
■三番瀬流入河川はすべて“汚れのひどい川”
〜千葉県の『環境白書』〜
千葉県が最近刊行した『平成17年版 環境白書』でも、三番瀬に流入する川はすべて“汚れのひどい川”とされています。
・とても汚れている……春木川(市川市)
・汚れている……………国分川、真間川、大柏川(以上、市川市)
海老川(船橋市)
千葉県内の河川で「とても汚れている」とされているのは春木川だけです。
ちなみに、三番瀬再生会議では、こんなことはほとんど議論されません。
(2006年7月)
★関連ページ
- 「全国一汚れた川」を見学〜三番瀬に流入する春木川(2007/7/28)
- 東京湾は有明海の二の舞になる恐れも〜宇野木早苗『有明海の自然と再生』を読んで(鈴木良雄、2006/5)
- 三番瀬をめぐる対立点(県自然保護連合事務局、2006/5)
- 三番瀬再生の目的は猫実川河口域の人工海浜化?〜県と市川市の考えは同じ(高木信行、2006/3)
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