人工干潟造成に鉄鋼スラグを使用

〜三河湾で実験開始〜

千葉県自然保護連合事務局



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 国交省や愛知県は、三河湾で人工干潟造成をどんどん進めています。千葉県もこれをモデルの一つとし、三番瀬の猫実川河口域(市川側海域)で人工干潟を造成しようとしています。


■浚渫土に製鋼スラグを混ぜる

 その三河湾ですが、人工干潟造成に鉄鋼スラグやダム浚渫(しゅんせつ)砂を使うことを実験するそうです。
 11月 7日の『中日新聞』(夕刊)はこう記しています。
    《国土交通省三河港湾事務所(愛知県豊橋市)は12月から、同県蒲郡市沖の三河湾で、名古屋港でしゅんせつした土などを使い、人工干潟を造成する試験を開始する。》

    《人工干潟が計画されているのは、蒲郡市三谷町の沖合約200メートル付近。名古屋港の土は粘土質のため、製鉄時に生じたスラグ(かす)などを混ぜてアサリやトリガイなどの貝類が生息できるよう粒を粗くする。水質や貝類の生息などの効果を調べるため4種類の干潟を造成。しゅんせつ土にそれぞれ、製鋼スラグ10%、同20%、水砕スラグ20%、矢作ダムしゅんせつ砂40%──を混ぜる。》


■良質な砂の入手が困難となっている

 三河湾の人工干潟造成に鉄鋼スラグを使用することは、以前から検討されていました。たとえば、愛知県西三河農林水産事務所のホームページにはこう書かれています。
    《干潟造成に必要な良質な砂の入手が困難となっているため、造成材としての利用の可能性が高い鉄鋼スラグについて、浚渫土砂と効果的に混合する手法の開発と、鉄鋼スラグを活用した干潟造成の実証事業にも取り組みます。》

    《干潟造成材としての鉄鋼スラグを利用する手法の開発を進める。》


■砂の代わりとして鉄鋼スラグに目をつけた

 「エコキャンペーン GO!地球のおそうじ隊」のホームページにもこう書かれています。
    《(愛知県水産試験場の)石田さんたちは、失われた三河湾の浄化機能を取り戻そうと、人工干潟をつくって研究を進めてきました。しかし今、問題に直面しています。干潟に使う土砂が、来年以降確保できないのです。そこで、砂の代わりとして鉄鉱スラグに目をつけました。鉄を精製する際に生まれる残りかすです。成分は砂とほとんど変わらず、入手も簡単です。》

    《巨大な水槽に天然の砂と鉄鉱スラグを敷き詰め、違いを見ることにしました。》

    《実験開始から1ヶ月。鉄鋼スラグの干潟にも、天然の砂の干潟と同じように、アサリの赤ちゃんが住んでいました。成功です。》


■三番瀬でも人工干潟造成実験が始まる
  〜人工干潟は廃棄物の捨て場になる恐れも〜

 三番瀬でも人工干潟を造成し、それを維持しつづけるということになると、当然のことながら、三河湾と同様に鉄鋼スラグなどの使用が不可避となります。将来は建設残土などの捨て場となるかもしれません。
 人工干潟造成は、こういう面でもたいへんな環境破壊をもたらすのです。
 しかし、三番瀬での人工干潟造成実験を了承した「三番瀬再生会議」では、こういう問題がいっさい議論されません。次回の再生会議では、ぜひ三河湾での鉄鋼スラグ使用の問題も発言してほしいと思います。

(2007年11月)





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