〜「リサイクルの優等生」はウソ〜
千葉県自然保護連合事務局
先の「人工干潟造成に鉄鋼スラグを使用」でお知らせしたように、三河湾では人工干潟造成に鉄鋼スラグを使う実験が12月に始まります。
■全国各地で環境汚染をひきおこしている
しかし、鉄鋼スラグは全国各地で環境汚染をひきおこしています。新聞や雑誌ではこんな報道がされています。
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《愛知県がリサイクル資材「あいくる」と認定した鉄鋼スラグなどが、同県と三重県に野積みにされ、化学物質が検出された問題で、愛知県は13日、鉄鋼スラグを加工販売している産業廃棄物中間処理会社「共同建設」(同県蟹江町)に対し、環境基準を超える化学物質が検出された3カ所の鉄鋼スラグの撤去を命じた。三重県も同日、県内の1カ所から環境基準を超える化学物質が検出されたと発表した。撤去させる方針。》
(『朝日新聞』名古屋版、2007年9月14日)
《愛知県の産業廃棄物処理業者が野積みしていた鉄鋼スラグから、環境基準を超えるホウ素や鉛などが検出された。鉄鋼スラグは砕かれ、路盤材として販売されていた。鉄鋼スラグをめぐって、各地で問題が起きている。(中略)
愛媛県では昨年6月、湿地に埋め立てられた約5万5千トンの鉄鋼スラグ近くの水たまりから、環境基準の3.4倍の鉛と3倍のヒ素が検出された。住民は健康被害を訴え、造成した業者は撤去を余儀なくされた。》
(『朝日新聞』名古屋版、2007年10月6日)
《製鉄の過程で発生する鉄鋼スラグは、その99%以上が再利用される「リサイクルの優等生」と喧伝されてきた。だが、実際には、鉄鋼各社は高額な産業廃棄物処理費用を節約するため、「リサイクル」の名を借りた事実上の不法投棄を続けている。全国各地で後を絶たない健康被害、環境破壊の実例を通じて、鉄鋼業界が抱える「公然の秘密」を暴露する。(中略)
愛媛県今治市では、2005年11月下旬から産廃業者・東武開発(松山市)が町内の塩田跡地に鉄鋼スラグの保管場を建設するといって約5万5000トンを運び込んだ。出所は日新製鋼と神戸製鋼所である。06年3月以降、周辺の海ではカキや魚が次々と死に、塩田跡地付近からはメダカやエビなどが姿を消した。スラグからアルカリ成分が溶出し、現場周辺の水が生物も棲めない強アルカリになっていたのだ。さらに住民のあいだに、スラグからの粉じんと臭いが原因と見られる目、鼻、のどの異常が多数発生。後に疫学調査でスラグとの強い因果関係が示された。(中略)
かたや、千葉市のJFEスチール東日本製鉄所千葉地区では、05年2月、鉄鋼スラグによる強アルカリ廃水などを十数年間、垂れ流していたことが発覚。水質汚濁防止法違反に問われている。(中略)
リサイクルの名を借りた不法投棄、あるいは不適正な廃棄物処理は、いまや鉄鋼業界では公然の秘密である。国内で“利用先”の見つからないスラグが行き着く先は「海外」しかない。すでにスラグ輸出は、全体の15%以上、年間600万トンを超えている。今後はもっと増えるだろう。かくして、日本のスラグ公害は海外にまきちらされる。これ以上、「臭いものにフタをする」のは許されない。》
(井部正之「リサイクルの名を借りた環境破壊 鉄鋼スラグ『不法投棄』のからくり」『週刊ダイヤモンド』2007年9月15日号)
(2007年11月)
★関連ページ
- 「エコ商品」は名ばかりの鉄鋼スラグ〜「残土・産廃問題ネットワーク・ちば」が学習会(2008/2/17)
- 人工干潟造成に鉄鋼スラグを使用三河湾で実験開始(県自然保護連合事務局、2007/11)
- 人工干潟造成論の批判
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