三番瀬貸付金をめぐる裁判で県企業庁長に申し入れ

〜県民全体の利益となるよう裁判に臨んでほしい〜



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 千葉県(企業庁)が県信用漁業協同組合連合会(信漁連)に5億5000万円の貸付金を返済するよう求めた裁判で(2012年)6月8日、「三番瀬公金違法支出判決を活かす会」が企業庁と話しあいました。
 テーマは、千葉地裁における5月8日の第4回口頭弁論において、裁判長から和解の話がだされたことです。「活かす会」は、裁判長による和解話の内容と企業庁の姿勢をただしました。
 担当課(地域整備部事業調整推進課)の課長らこう答えました。
 「5月8日は、口頭弁論をいったん終結し、非公開で進行協議にはいった。進行協議の中で、和解に関する話も裁判長からあった。和解についてどういうふうに考えているか、というものだった。したがって、裁判長から和解を勧告されたものではない」
 「企業庁としては、(貸付金未済の問題を)法的に明確な形で解決するために提訴したものである。その趣旨にもとづいて、今後も裁判を進めていきたい」
 「我々は勝つためにやっている」
 以上です。  「活かす会」は、同課の姿勢を評価し、和解に応じることなく裁判で決着することを申し入れました。また、6月12日に申入書を企業庁長あてに提出しました。



〔県企業庁による信漁連提訴とは〕
 市川市行徳・南行徳両漁協が1982年から86年にかけて実施した人工干潟「養貝場」造成事業(市川地区漁場改善事業)に係る貸付金(5億5000万円)を信漁連が返済しないため、企業庁が返済を求めて提訴したものです。
 企業庁は、三番瀬の新たな埋め立て計画の円滑な推進のため、1993(平成5)年に5億5000万円を信漁連に無利子で貸し付けました。5億5000万円の内容は、両漁協が信漁連から借りた3億8900万円とその利息分の一部でした。
 ちなみに人工干潟「養貝場」は失敗に終わりました。アサリを撒いても育たなかったのです。



申 入 書



2012年6月12日


 千葉県企業庁長 高梨国雄 様


三番瀬公金違法支出判決を活かす会
共同代表 牛野くみ子
中丸 素明


市川地区漁場改善事業貸付金をめぐる裁判についての申入書

 私たちは、千葉県企業庁が1982(昭和57)年に市川市行徳漁協に対して行った「転業準備資金」融資措置の違法性に関し、2000年6月、沼田武知事と中野英昭企業庁長(共に当時)を相手に損害賠償等を求める行政訴訟を起こしました。そして、5年間にわたる裁判の判決で、「転業準備資金」融資には「瑕疵(かし)」(違法性)があるという判決を得ました。
 企業庁は2011年8月、市川地区漁場改善事業に係る資金として県信用漁業協同組合連合会(信漁連)に無利子で貸し付けた5億5千万円の返済を求め、千葉地裁に提訴しました。私たちは、従来の裏取り引きによる不明朗なやり方から決別する意思を示したものとして、この提訴を高く評価しています。
 企業庁を原告とし、信漁連を被告とする裁判は、市川市行徳漁協と南行徳漁協も補助参加として後者に加わって口頭弁論が続いています。私たちもこの裁判に大きな関心を抱き、口頭弁論を毎回傍聴しています。
 民事訴訟においては和解勧告がしばしばなされます。しかし、企業庁においては、公共の福祉の増進とともに経済性の発揮が求められていることを念頭に置き、県民全体の利益となるよう裁判に臨むべきと考えます。法律的に明確な形で解決するという提訴の趣旨にもとづき、安易に和解に応じることのないよう申し入れます。
以上




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