千葉県(企業庁)は(2011年)8月10日、県信用漁業協同組合連合会(信漁連)に貸付金を返済するよう求める訴訟を起こしました。
これは、市川市行徳・南行徳両漁協が1982年から86年にかけて実施した人工干潟「養貝場」造成事業(市川地区漁場改善事業)に係る貸付金(5億5000万円)を信漁連が返済しないため、企業庁が返済を求めて提訴したものです。
企業庁は、三番瀬の新たな埋め立て計画を円滑に進めるため、1993(平成5)年に5億5000万円を信漁連に無利子で貸し付けました。5億5000万円の内容は、両漁協が信漁連から借りた3億8900万円とその利息分の一部でした。
以下は訴状の内容です。
訴 状 |
平成23年8月10日
貸金返還請求事件
訴訟物の価格 金550,000,000円
貼用印紙額 金 1,670,000円
予納郵券額 金 6,000円
第1 請求の趣旨
1 被告は原告に対し、金550,000,000円及びこれに対する本訴状
送達の日の翌日から完済まで年5分の割合による金員を支払え
2 訴訟費用は被告の負担とする
との判決及び第1項につき仮執行の宣言を求める。
第2 請求の原因
1 当事者
(1) 千葉県企業庁
原告の代表者である千葉県企業庁長は、地方公営企業法(昭和27年
法律第292号)に基づき定められた「千葉県土地造成整備事業及び工
業用水道事業の設置等に関する条例」(昭和49年千葉県条例第3号)
により、千葉県が地方公営企業として設置した土地造成整備事業等の管
理者である。
(2) 千葉県信用漁業協同組合連合会
被告千葉県信用漁無協同組合連合会は、水産業協同組合法に基づき、
昭和25年に設立され、所属員の事業又は生活に必要な資金の貸付等の
事業を行っている。
2 原被告間の金銭消費貸借契約の成立
(1) 原告と被告とは、平成5年12月13日に市川地区漁場改善事業資金
貸付事業に関し協定書(甲3、以下「本件協定書」という。)を締結し、
これに基づき、原告は被告に対し、下記の内容により、金550,00
0,000円を貸し付ける契約をした。
ア 金額 金550,000,000円
イ 貸付日
@ 金300,000,000円については平成5年12月24日
A 金250,000,000円については平成6年3月31日
ウ 利息なし
エ 返済期限 平成9年3月31日
オ 使途 市川地区漁場改善事業資金として漁業協同組合に貸し付
ける
(2) 上記の契約に基づき、原告は被告に対し、平成5年12月24日に
金300,000,000円を、平成6年3月31日に金250,00
0,000円をそれぞれ送金し、融資を実行した。
3 返済期限の延長及び返済期限の到来
原告と被告とは、前第2項(1)記載の金銭消費貸借契約の返済期限に関し、
平成9年3月19日にこれを平成13年3月30日まで延期する旨の変更
協定書を締結し、その後さらに1年毎に返済期限を変更する旨の変更協定
書を締結してきた。
最終の変更協定書は、平成22年3月29日に締結され、その結果、本
件協定書4条による、被告の原告に対する金550,000,000円の返
済期限は、平成23年3月31日となった。
原告は、上記返済期限の到来後に被告に対し返済の請求をしたが、その
後現在に至るまで返済は行われなかった。
4 結論
以上により、原告は被告に対し、貸付金550,000,000円及び本
訴状送達の翌日から完済に至るまで、民事法定利率である年5分の割合に
よる遅延損害金の支払を請求するものである。
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