三番瀬の恒久的保全を要求

〜漁業補償問題で「活かす会」が声明〜



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 三番瀬の埋め立て計画中止に伴う事前漁業補償問題で、県(企業庁)が市川市行徳漁協に計66億円の公金を支払ったことをめぐり、市民団体「三番瀬公金違法支出判決を活かす会」は(2008年)12月12日、三番瀬の恒久的保全などを求めた声明を堂本暁子知事あてに提出しました。
 声明では、この漁業補償問題は巨額の公金支出だけでは解決にならないと指摘し、ラムサール条約への登録をはじめ三番瀬の恒久的保全を明確にしてこそ抜本的に解決できるなどとしています。

 この問題は、三番瀬海域の埋め立て計画(市川二期地区)を前提として、1982年に市川市行徳漁協に融資された、いわゆる「転業準備資金」が解決されないまま宙に浮いていたものです。
 当時の県企業庁、行徳漁協、金融機関の三者合意により、金融機関から約43億円が貸し付けられ、利子については企業庁が漁協に代わり負担することになっていました。
 企業庁は98年までの利子約56億円を支払いましたが、三番瀬保護団体のメンバーなど(三番瀬公金違法支出訴訟原告団)がこれを違法とし提訴。地裁は2005年10月、三者合意の問題性を指摘しましたが、利子の肩代わりは「企業庁長の裁量内」として訴えを退けました。それ以降の未払い利子は約2億円となっています。

 千葉県企業庁は先月(11月)、東京地裁の調停委員会の提案に従って、計60億円を市川市行徳に支払いました。60億円の内訳はこうです。


 ・転業準備資金貸付分………………… 43億円
 ・その未払い利息分……………………  2億円
   (利息56億円は肩代わり済み)
 ・組合員への追加賠償分……………… 15億円


 結局、116億円(56億円+60億円)を県(企業庁)が公費支出することで「解決」を図ることになりました。埋め立てが行われなかったわけですから、本当は1円も払うべきでないものです。

 以下は、声明文の内容です。



声  明



  1.  いわゆる「三番瀬漁業補償問題」について、千葉県は行徳漁協に対し、本年11月10日頃までに60億円を支払った。
     この問題を早期に解決することの必要性自体は理解し得るにしても、また、この問題の現実的な解決をはかるために、何らかの形での公金の支出が必要性だとしても、その根拠について県民に対する十分な情報開示と説明がなされないままに、金銭的解決のみで終わりとする千葉県の態度には看過できない重大な問題があると指摘せざるを得ない。
     私達はもちろん、多くの県民は決して容認できないであろうと考える。

  2.  この問題に関して千葉県は、上記60億円のほか、既に支出済みの利子約56億円を加えると、合計約116億円を支出したことになる。
     私達は、千葉県がこれだけの巨額の公金を支出するのであれば、県民の理解を得るためには、3つの要件が充たされる必要があると一貫して主張してきた。
     すなわち、第1に、関係当事者が瑕疵ある「三者合意」を締結した責任を自覚し県民に対してあらためて謝罪すること、第2に、「三者合意」の各当事者と関係者がそれぞれの責任に応じた負担をすること、そして第3に、この公金支出が県民全体の利益となるように、三番瀬の恒久的保全を明確にすることによって「漁業補償問題」の抜本的な解決をはかることである。

  3.  私達をはじめ多くの県民は、9月県議会において堂本暁子知事らがこの問題に対してどのように説明責任を果たし、意思表明を行うかを注視してきた。
     しかし、残念ながらその結果は、到底納得し得るものではなかった。すなわち、責任の自覚と謝罪に関しては、住民訴訟の判決の中で指摘されたことについては真摯に受け止めているとの発言こそあったものの、原因の究明と責任の所在に関する具体的説明も、再発を防止するための具体的な方策も一切示されなかった。
     そのことは、新たな支出の根拠についての最小限の説明すら行われず、責任を果たすべき立場にある管理職等による応分の負担も、一切なされないまま支出された事実にも如実に示されている。
     さらに、私達が最も重視した、三番瀬の恒久的保全に向けての確かな前進も全くなく、両漁協から三番瀬の恒久的保全に向けた基本的合意を取り付ける努力すらも怠った。

  4.  今後、千葉県がこの問題に関して自主的になし得ることといえば、ラムサール条約への登録をはじめとして、三番瀬の恒久的保全に向けて大きくかつ確実に踏み出すことしかないのではないかと思われる。
     千葉県は、今こそ三番瀬の具体的な保全策と恒久的保全に至る道筋を、その時期を明示して早急に打ち出すべきである。それすら欠いたままの、無責任で曖昧なままの「幕引き」を、私達ばかりではなく多くの県民は決して容認しないであろう。今回の巨額の公金支出について、その法的相当性そのものが、再び司法の場で問われることにもなりかねない。
     私達は、以上の観点から、千葉県の三番瀬保全策を中心とした動向を、特段の関心をもって引続き注視していく。
 以上のとおり、声明する。

 2008年12月12日


三番瀬公金違法支出判決を活かす会    
共同代表 牛野くみ子(前原告団代表)
同 中丸素明(前弁護団長)
同 櫻井英博(前支援する会代表)









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