海や食料資源を守ろうとしない

〜亡国の徒と化した日本の官僚〜

千葉県自然保護連合事務局

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 「みんなの力で守ろう三番瀬」と題した大集会が11月30日に船橋市市民文化ホールで開かれます。三番瀬のラムサール条約登録を目的とする集会です。
 その第1回実行委員会が(2010年)10月24日、船橋市内で開かれました。


 海や食料資源の大切さがわからない


 会議では、船橋市漁協(船橋市漁業協同組合)の大野一敏組合長の発言が印象的でした。
 大野さんはこう述べました。
     「船橋市は海(三番瀬)を擁している。しかし、先ほど『海を知らない市民もけっこう多い』という話がされた。日本は島国なのに、これは恥ずかしいことだ。世界の笑いものになるだろう。地球は水の惑星である。それなのに水に関心をもてないのなら、人間をやめたほうがいい」

     「県議会では、いまだに埋め立てによる土地造成の必要性を主張している議員が少なくない。埋め立てを阻止して三番瀬を残すためには、保全条例を制定することが必要だ。しかし、埋め立て賛成派が議会の多数を占めているため、条例はつくれない。だから、私たちの漁協は、手っ取り早い方法としてラムサール条約登録をめざしている」

     「三番瀬の環境を改善することは非常にむずかしい。東京湾全体の環境を改善することが必要だからだ」

     「つい先日、三番瀬が青潮(貧酸素水)に襲われ、アサリが9割ほど死滅した。今回の青潮は千葉市沖の千葉港中央地区から発生した。埋め立て用の海底土砂浚渫(しゅんせつ)跡地や航路には硫化水素を含んだ腐った水(=貧酸素水塊)が溜まっており、ここから青潮が発生している。また、東京湾に流れ込む川が非常に汚れていることも貧酸素化の原因となっている」

     「つまりは、東京湾や流入河川の水質を改善しないかぎり、三番瀬の環境改善はむずかしいということだ。それは、国家レベルでとりくまないとできない。じっさいに、アメリカのサンフランシスコ湾やチェサピーク湾では、国家レベルで湾や流入河川の水質浄化策が進められている。もちろん、埋め立ても禁止だ」

     「政府も自治体も、役人は勉強しない。だから、海や食料資源を守ったり確保することの大切さがわからない。これは情けないことだ。中国は尖閣列島などを虎視眈々(こしたんたん)とねらっているというのに、である。」


 千葉県の官僚は亡国の徒


 まったくそのとおりだと思います。
 船橋市漁協や自然保護団体などは、首都圏住民に大切な食料を供給している三番瀬漁場を守るため、ラムサール条約登録の運動を進めています。ところが、千葉県はまったくやる気がありません。
 というか、三番瀬に高速道路(第二湾岸道路)を通したいために、ラムサール条約登録に否定的です。ラムサール条約登録湿地になったら道路が造れなくなるからです。
 また、浦安寄りの猫実川河口域に第二湾岸道路を通すため、「三番瀬再生」という名でこの海域の人工干潟化をめざしています。

 海や食料資源の確保より道路や自己保身が大事──。これが千葉県官僚の姿勢です。まさに、亡国の徒と言うしかありません。

(2010年9月)






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