三番瀬をラムサール条約登録湿地に

〜千葉県弁護士会が声明〜



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 2012年の第11回ラムサール条約締約国会議(COP11)までに三番瀬を登録湿地にすることを求める──。千葉県弁護士会がこんな声明文を国と千葉県に送りました。
 声明は、三番瀬が登録に値する高い価値を有することであることや、泥質及び砂泥質の干潟・浅海域とカキ礁からなり、生物多様性に富んでいること、ラムサール条約の国際基準をいくつも充足している、科学的見地からすれば、第一級の価値を有する湿地である、などとしています。



声 明 文




  第11回ラムサール条約締約国会議(COP11)までに
  三番瀬を登録湿地にすることを求める声明

 2012年(平成24年)5月にルーマニアで開催が予定されている、第11回ラムサール条約締約国会議(COP11)までに、国・環境省に対しては三番瀬をラムサール条約上の湿地に登録することを、千葉県に対しては国・環境省が三番瀬を同条約上の湿地として登録する手続きをなし、その保全措置をさらに進めるように積極的に働きかけることを、それぞれ求める。

 国・環境省は、本年6月、平成22年度第1回ラムサール条約湿地候補地検討会を開き、国際基準(クライテリア)に基づく候補地の選定に関する検討を開始した。当会が、三番瀬を登録湿地にすることを求める理由は、以下のとおりである。

 第1に、何よりもまず、登録に値する高い価値を有することである。三番瀬は、千葉県の船橋市、市川市、浦安市にまたがる泥質及び砂泥質の干潟・浅海域とカキ礁からなり、生物多様性に富み、航路を含めると1,800ヘクタールもの広さをもつ。これまでの調査・研究により、ラムサール条約の国際基準をいくつも充足することが明らかになっている。
 科学的見地からすれば、第一級の価値を有する湿地であることについては、全く異論をみない。千葉県における補足調査専門委員会による調査によって、生物の多様性・水質浄化機能・渡り鳥の渡来地・人間生活との結びつき等多角的側面から検討が加えられ、あらためてその重要性が明らかにされたところである。
 また、湿地のタイプからいえば現時点において登録が少ない「干潟」であること、地域的にみると東京湾という首都圏に位置していることからすれば、追加登録する意義は益々大きい。
 具体的にみると、今なお漁業が営まれており、スズキの水揚げ量は日本一を誇り、本場の本物の認証を受けた「三番瀬のり」を産する。渡り鳥では、スズガモをはじめとして多数のガン・カモが渡来するばかりか、日本への渡来数が少ないミヤコドリの半数以上が訪れるなど、かけがえのない湿地となっている。

 第2に、三番瀬の保全を求める県民の要求が、極めて強いことである。その保全を求めた署名は30万筆を超えた。現在行われているラムサール条約への登録を求める署名も、既に12万筆を超えている。そして、地元の船橋市漁業協同組合も、ラムサール条約登録に賛成する決議をあげている。

 第3に、県知事の諮問機関である三番瀬再生会議も、登録実現を求める意見書を知事に提出していることである。そして、本年6月30日に開かれた第30回会議において、「2012年に実施されるルーマニアの締約国会議における登録をめざすには、2010年度中に、関係者の合意形成を前提としての明確な意思表示を行う必要がある。そのため、2010年度中に、まずは、三番瀬全体での登録をめざすとともに、これが困難な場合は、船橋地域の登録をめざす。」ことが、22名の委員会員一致で確認された。

 1999(平成11)年12月、日弁連(日本弁護士連合会)は、三番瀬をラムサール条約上の登録湿地とすることを求める意見書を取りまとめ、公にした。また、当弁護士会においても最重要課題の一つと位置づけ、2005(平成17)年4月にはラムサール条約の登録湿地にすることを求める意見書を取りまとめたほか、公害対策・環境保全委員会を中心に数次にわたり現地調査を行うなど、三番瀬の保全と再生を目指して調査・研究を行ってきたところである。

 以上を踏まえ、当弁護士会は本年6月30日の千葉県三番瀬再生会議の全員一致の確認に、全面的に賛同する。まずは、三番瀬全域を一体のものとして登録すべきであり、その実現のために全力で取り組むべきである。そして、仮にそれが困難と判断せざるを得ない状況に立ち至った場合には、船橋市漁業協同組合が登録に賛成する決議をあげていること等から、次善の策として船橋地域だけでも先行的に登録するべきである。

 よって、当弁護士会は同会議までに国・環境省並びに千葉県に対し、冒頭に述べたとおりの措置を講ずることを求めるものである。

 2010(平成22)年9月17日

千葉県弁護士会 
会長 市川清文 










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