三番瀬ラムサール条約登録で県が回答

〜回答にもならない回答〜



トップページにもどります
「ニュース」のページにもどります
「三番瀬とラムサール条約」のページにもどります



 三番瀬のラムサール登録問題で自然保護団体8団体が提出した質問・要望書にたいし、(2008年)2月28日、県が回答しました。
 内容をみると、「こんな回答しかできないの?」と言いたくなるような、回答にもならない回答です。


■質問をはぐらかす

 たとえば、「ラムサール条約登録において何が障害になっているのか」という質問については、こんな回答です。
     「環境省と連携し、利害関係人等との調整が円滑に進むよう、関係者との間で意見交換を行っているところです」
 三番瀬円卓会議が2004年1月、ラムサール登録推進を堂本知事(県)に提言してから、4年が過ぎました。しかし、登録申請の動きはまったくみられません。利害関係人との調整もほとんど進んでいません。そこで、「何が障害となっているのか」と質問したのです。

 それなのに、何が障害になっているかについて、なんら答えません。まったくのはぐらかしです。のらりくらりのお役所的対応と言っても過言ではないと思います。


■船橋側の先行登録も否定

 また、「船橋側だけでもラムサール登録の手続きを進めることは可能か」の質問に対しては、
     「環境省のラムサール条約湿地検討会において、三番瀬全体を調査・検討した結果、条約の『国際的に重要な湿地の基準』に該当していると判断されたものです」
     「ラムサール条約の登録については、三番瀬全体を一体的に捉えるべきものと考えます」
 ──との回答です。

 船橋側の漁業者はラムサール登録に理解を示し、「船橋側だけでも登録してほしい」と言っています。
    《東京湾の浅瀬・干潟「三番瀬」の保全に向け、同海域などを漁場とする船橋市漁業協同組合(大野一敏組合長)は来月(3月)15日、臨時総会を開き、「ラムサール条約への登録促進」を決議する。(中略)
     大野組合長は取材に対し、「分割が可能であれば、船橋の範囲だけでも登録してほしい。ギョーザ中毒事件で食糧自給への関心が高まっている。登録により水産物のブランド化や街の活性化も図れる」としている。》(『千葉日報』2月23日)
 要するに、三番瀬の船橋側を登録することについては、誰も反対していないということです。ですから、「船橋側だけでも……」という質問をしたのです。
 これに対し県は、環境省の検討会の判断をもちだし、「三番瀬全体を一体的に捉えるべき」と答えました。
 「だったら、三番瀬全体の登録手続きを早急に進めろ!」と言いたくなります。


■やっぱり第二湾岸道路がネライ

 要するに、県は、なんとしてでも第二湾岸道路を三番瀬に通したいために、ラムサール登録手続きを意図的にさぼっているのです。
 その証拠に、第二湾岸道路については「必要な道路」と回答しました。

 この道路は三番瀬を通る計画(構想)になっています。埋め立て地に用地が確保されていますが、三番瀬で中ぶらりんになっているのです。

 県が言う「ラムサール登録と第二湾岸道路の整合性」の内容はなにか? という質問にたいし、県はこう回答しました。
     「第二湾岸道路は本県にとっても湾岸地域の慢性的な交通混雑の解消を図るために必要な道路であると考えています」
 しかし、第二湾岸道路は有料の高速道路です。こんなものをつくっても、湾岸地域の一般道路(国道など)の交通混雑解消にはほとんど役立ちません。

 建設費が1兆円以上といわれている第二湾岸道路を造るために、貴重な干潟・浅瀬である三番瀬のラムサール登録申請をさぼる。そして、その一部を、「再生」という“まやかし言葉”を弄(ろう)し、て土砂を入れて埋めてしまう。──これが、県がネライと言われています。

 とんでもないことです。


回答書




  三番瀬のラムサール登録に関する質問及び要請書について(回答)

 2008年1月17日付けで質問及び要望のあったこのことについて、別添のとおり回答します。



【別添】


問1 三番瀬のラムサール条約登録において何が障害になっているのか

回答
  •  ラムサール条約への登録は、県や市だけの判断ではなく、地元住民などの登録への賛意を得て、最終的には国の判断で行われるものです。
     また、登録に際しては、国指定の鳥獣保護区特別保護地区に指定されていることも要件の1つとされていますが、三番瀬はまだ、指定されていません。

  •  国指定鳥獣保護区は、鳥獣保護法に基づき環境大臣が指定するもので、原則として関係地方公共団体および利害関係人の同意が得られた場合に指定を行うこととしています。

  •  県としては、環境省と連携し、利害関係人等との調整が円滑に進むよう、関係者との間で意見交換を行っているところです。
  

問2 ラムサール登録と第2湾岸道路の整合性について

回答
  •  第二湾岸道路は本県にとっても湾岸地域の慢性的な交通混雑の解消を図るために必要な道路であると考えています。

  •  県では、19年2月に「三番瀬再生計画」を作成しましたが、ラムサール条約への登録促進についてもこれに位置づけられています。
     第二湾岸道路については、この計画と整合を図って、できるだけ早期に調査・検討されるよう国に働きかけているところです。

  •  今後、この道路の事業主体が決定し、ルート・構造などを決める場合には、三番瀬再生計画を一つの制約条件として、検討されるものと考えています。


問3 船橋側だけでもラムサール登録の手続きを進めることは可能か

回答
  •  三番瀬については、環境省のラムサール条約湿地検討会において、三番瀬全体を調査・検討した結果、条約の「国際的に重要な湿地の基準」に該当していると判断されたものです。

  •  ラムサール条約の登録については、三番瀬全体を一体的に捉えるべきものと考えます。


要望1 自然保護団体との協議の場の設定について
  •  三番瀬をラムサール条約登録湿地とするためには、「国際的に重要な湿地」であることに加え、国指定鳥獣保護区特別地区に指定されるなど、国内法により保全が担保されること、地元自治体等からの登録への賛意が得られていることが必要です。

  •  現在は、ラムサール条約登録の前提要件である国指定鳥獣保護区特別保護地区の指定がされておりません。

  •  国指定鳥獣保護区特別保護地区の指定には、地元利害関係人の同意が必要であり、地元利害関係人については、土地所有者、漁業協同組合、観光協会、猟友会、自然保護団体等鳥獣保護関係者などから環境省が選定し協議するものです。

  •  県としては、環境省協議の事前段階として、利害関係人等との調整が円滑に進むよう、現在、関係者との間で意見交換を行っているところです。


要望2 韓国で今年開催されるラムサール条約締約国会議(COP10)において
     三番瀬が同条約の登録湿地となるよう、必要な手続きを進めること
 
  •  ラムサール条約への登録は、県や市だけの判断ではなく、地元利害関係人等の合意の下で、最終的には国の判断で行われるものです。

  •  県としては、利害関係人等との調整が円滑に進むよう、環境省と連携しながら、関係者との間で意見交換等を行っているところです。





★関連ページ

このページの頭に戻ります
「ニュース」のページに戻ります
「三番瀬とラムサール条約」のページに戻ります

トップページ | 概 要 | ニュース | 主張・報告 | 行政訴訟 | 資 料 |
会報 | 干潟を守る会 | 自然保護連合 | リンク集 |