環境省が三番瀬交付金をストップ

〜ラムサール登録手続きをさぼる千葉県にしびれを切らす〜



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 千葉県に6年間にわたり出してきた三番瀬交付金(補助金)を環境省がストップ(休止)。国指定鳥獣保護区をめざした県の計画がいっこうに具体化しないため、同省がしびれを切らしたためだ──。2008年7月22日の『朝日新聞』夕刊がこう報じました。

 この交付金を出せるのは国定公園か国指定鳥獣保護区ですが、三番瀬は「保護区を目指す」ことを条件に例外的に認められてきました。6年間に千葉県に交付された額は2億2000万円におよぶそうです。


◆交付金ストップは当然の措置

 交付金ストップは当然の措置です。というのは、千葉県が三番瀬のラムサール登録を前提とした「国指定鳥獣保護区」指定のとりくみをさぼりつづけているからです。

 県はこれまで、「漁業者の同意が得られない」を保護区指定先送りの口実にしてきました。しかし今年3月、船橋漁協は臨時総会を開き、ラムサール登録に賛成する決議をあげました。
 それでも、県(堂本知事)はラムサール登録と国指定鳥獣保護区指定の先送りを表明しました。
 そこで環境省は、しびれを切らせて交付金ストップを決めたのです。

 交付金ストップは当然です。県はこれまで、2億2000万円の交付金(補助金)を無駄遣いしてきたことになります。保護区指定のとりくみをほとんどしてこなかったからです。

 三番瀬保護団体(千葉の干潟を守る会など)は千葉県に対し、国指定鳥獣保護区指定とラムサール登録申請の手続きを早急におこなうよう要請することにしています。

 以下は、記事の内容です。





《『朝日新聞』2008年7月22日夕刊》

   三番瀬交付金ストップ

     保護区指定 県計画進まず環境省

 東京湾に残る貴重な干潟と浅瀬「三番瀬」の自然再生事業として、環境省が千葉県に6年間にわたり出してきた補助金・交付金が、今年度からストップしていたことがわかった。国指定鳥獣保護区を目指した県の計画がいっこうに具体化せず、しびれを切らした同省が県に交付金の申請をしないよう求めたためだ。

 同省の自然再生事業で交付金が出せるのは国定公園か国指定鳥獣保護区で、これまでリストに入っているのは全国に13カ所ある。三番瀬は「保護区を目指す」ことを条件に、「予定地」扱いで例外的に認められてきた。

 こうした特別扱いの背景には、01年1月に当時の川口順子環境相が三番瀬を視察して「県の埋め立て計画の全面的な見直しを」と発言し、省を挙げて三番瀬の再生に取り組む決意が示された事情がある。

 同年3月には「環境派」の参院議員としてならした堂本暁子氏が千葉県知事選に出馬し、初当選。埋め立て計画の中止を決めたことを受け、同省は予定地として補助金の対象とすることにしたという。

 これまでに調査費の名目で02年度に約8000万円が補助されたのをはじめ、国庫からの支出は6年間続き、計2億2000万円。02年から04年まで住民参加で話し合われた三番瀬再生計画検討会議(円卓会議)や、04年からは三番瀬再生会議などに使われた。

 途中から制度が変わり、補助金は交付金になったが、昨年度は3000万円が交付され、再生会議の開催や再生を実現するための試験計画を検討する委員会、事前調査費用などにあてられた。

 ところが昨年、同省が県に保護区指定の方向性を確認したところ、県が「具体的にスケジュール化できない」と回答したため、同省の姿勢が変わった。

 県自然保護課によると、保護区指定に向けて漁業者ら利害関係者と06年度から9回「勉強会」を開いてきているが、漁業への影響などが壁となって保護区にする合意が得られていないという。担当者は「いつメドがつくかもわからない」と話す。

 こうした事態を受けて同省自然環境計画課は「都市近郊の自然再生は大切だが、指定のメドがたたないのに調査だけ続けても無駄になる」として交付金の休止を決めた。ただ、「環境が整えば再度交付はありうる」とする。

 国からの支援がなくなり全額を県で負担することになったため、県は再生実現化推進事業費を昨年度の1300万円から今年度は1000万円に減らすなどして進めていくという。(鶴見知子)





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