ラムサール条約登録促進と漁業

〜三番瀬を守る署名ネットがシンポ〜



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 (2008年)4月27日、「ラムサール条約登録促進と漁業」と題するシンポジウムが市川市の和洋女子大学で開かれました。主催は「三番瀬を守る署名ネットワーク」で、参加者は115人です。
 三番瀬をラムサール登録するためには漁業者の同意を得ることが重要な条件となることから、このシンポが開かれました。概要は以下のとおりです。


◇COP10(第10回締約国会議)に向けて
 〜ラムサール条約登録促進について〜
  …………環境省自然環境局野生生物課 計画係長 宮澤泰子氏 

◇農林水産業と市民が協同で進める湖の賢明な利用
  ……………NPO法人アサザプロジェクト 代表 飯島 博氏

◇東京湾での漁業
  ………………………船橋市漁業協同組合 組合長 大野一敏氏 

◇パネルディスカッション
 〜各地の湿地の現状と三番瀬〜

〈パネリスト〉
 ・渡良瀬遊水池を守る利根川流域住民協議会 代表 高松健比古氏
 ・小櫃川河口・盤洲干潟を守る連絡会  事務局長 御簾納照雄氏
 ・NPO法人アサザプロジェクト      代表 飯島  博氏
 ・三番瀬を守る署名ネットワーク      代表 田久保晴孝氏
 ・三番瀬を守る署名ネットワーク    事務局長 立花  一晃氏





◆2011年までに登録湿地を10カ所増やす

 環境省の宮澤氏は、
     「この100年間で地球上から約5割の湿地が消失したといわれている。日本も例外ではない。このまま湿地をなくなってよいのかという疑問をもつ人が増え、湿地のさまざまな役割についての研究が進み、湿地の重要性に関する認識が高まった。ラムサール条約は湿地を保全するための国際条約である」

     「わが国の登録湿地は計33カ所、約13万haとなっている。第22回条約国会議(2011年)までに新たに10カ所増やすことにしている」
 などと述べました。

 飯島氏は、「アサザプロジェクト」の活動を話しました。このプロジェクトは、市民が中心になり、霞ヶ浦(茨城県)を再生させる活動です。


◆三番瀬が消失すれば東京湾漁業は壊滅する

 大野氏は、三番瀬をラムサール登録湿地とすることに船橋市漁協が賛成したことや、漁業者にとってのラムサール登録の必要性などを話しました。
     「三番瀬には役にたたないと思われている小さな生物を含め、たくさんの生き物が生息している。これらの生物の頂点にいるのが、船橋の漁師や行徳の漁師である。それらが生態系の中に組み入れられているわけだから、たとえ小さい生物であっても殺すわけにはいかない」

     「三番瀬は東京湾の水質浄化に大きな役割を果たしているなど、三番瀬は東京湾の環境と密接にからんでいる。三番瀬が消失すれば、かつての東京湾の姿は完全に消滅する。そうなれば、東京湾の魚は半減し、三番瀬や東京湾の漁業は壊滅的になる」

    「いま、三番瀬の漁師たちが恐怖を感じているのは、ラムサール登録にものすごい関心を持っている陸(おか)の人たちがイニシアチブをとって漁師の世界がなくなってしまうのではないか、ということだ。そういうことが彼らの心配事になっている。そういう心配を取り除けば、みなさんが考えているようないい意味になっていく」

     「浦安市の埋め立て地にある東京ディズニーランド(ディズニーシー)には作り物の海がある。しかし、その隣の三番瀬には江戸時代から続くホンモノの海がある」

 大野氏の話は、ラムサール条約登録と漁業について、とても明快で説得力のあるものでした。

 パネルディスカッションでは、三番瀬がラムサール登録が進まない理由や、登録をめざす運動の課題などが活発に話し合われました。

 最後に、「国際的に重要な三番瀬、盤洲、渡良瀬遊水池、霞ヶ浦の4つの湿地を早期にラムサール条約登録湿地に加えるよう運動を強めます」などを盛り込んだアピールを採択しました。










講演を熱心に聞く参加者たち




パネルディスカッションでは、ラムサール登録運動の課題などが活発に話し合われた。




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