ラムサール登録申請見送り表明のワケ

 〜三番瀬に第二湾岸道路を通したい〜

公共事業と環境を考える会


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 堂本千葉県知事は2008年1月29日、三番瀬のラムサール条約登録申請見送りを表明しました。

■ラムサール登録湿地になると第二湾岸道路が造れなくなる

 堂本知事が三番瀬のラムサール早期登録を否定する理由はハッキリしています。
 それは、第二湾岸道路をなんとしてでも三番瀬に通したいからです。ラムサール条約登録湿地になると第二湾岸道路がつくれなくなるので、「ラムサール登録は時期尚早」と言い続けているわけです。

 実は、堂本知事は2001年4月の知事就任時から、「第二湾岸道路はつくる」と言い続けています。そのために、「第二湾岸道路との整合性を配慮した三番瀬再生」を推進しています。

 その内容は、「再生」という名で猫実川河口域(三番瀬の市川側海域)を埋め立てて人工干潟をつくる。その造成工事の際に沈埋(ちんまい)方式で第二湾岸道路を通す──というものです。


■利権政治にナタを振るうと知事の座を追われる

 そこで問題は、堂本知事はなぜ第二湾岸道路建設に躍起となっているのかということです。それは、できるだけ権力(知事)の座にすわっていたいから、と言われています。

 永尾俊彦氏(ルポライター)はこういう指摘をしています。
    《初当選後の軌跡をふりかえってみると、堂本知事は「環境派」として市民にいい顔をしようとする反面、財界や自民党にもいい顔をしようとしている。
     堂本知事は、「住民参加」「情報公開」を原則に円卓会議や再生会議を設置し、関係者の話し合いで公共事業を進めるという画期的な仕事をした。これは、市民に高く評価されている。
     ところが、生物多様性の大切さをよく知っているはずなのに、三番瀬の再生を擬似自然の創出にすりかえようとする人工干潟造成を主張する委員を多数選び、またラムサール条約の意義を熟知しているはずなのに、登録には消極的だ。つまり、自分の仕事に自ら限界を設けているのだ。
     それはなぜか。自民党と対決し、知事の座を追われるのを恐れているからではないか。すなわち、知事であり続けること自体が目的になっているからではないのだろうか。
     結局、千葉県の三番瀬円卓会議・再生会議の意義と限界とは、堂本知事の意義と限界であった。》(永尾俊彦『公共事業は変われるか』岩波ブックレット)
 高速道路やダムなどの巨大公共事業を推進すれば、県議会で圧倒的多数をしめる自民党との対立を回避できます。利権政治には手をつけないということです。逆に、利権政治にナタを振るうと、自民党と対立し、ひいては知事を辞めざるをえなくなります。

 全国の知事で利権政治にナタを振るったのは、田中康夫・前長野県知事(現参院議員)だけです。そのため、田中知事は保守勢力から攻撃されつづけ、ついには先の知事選で敗北を喫しました。

 昨年(2007年)11月に東京で開かれた「全国小さくても輝く自治体フォーラム」の来賓あいさつで、田中康夫氏はこんなことを述べました。
     「私は利権を作らなかったものですから、知事をクビになりました」(『住民と自治』2008年2月号)


■「知事としては公共事業を優先せざるを得ない」

 一方、堂本知事は、そのことをよく知っているため、利権にはまったく手を付けようとしません。

 道路や鉄道、大規模開発などの大型公共事業はすべて促進です。
東京外郭環状道路(外環道)、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)、東京湾口道路、成田新高速鉄道、常磐新線沿線巨大開発などの推進に躍起となっています。第二湾岸道路も同じです。

 利水・治水両面で必要性がまったくなくなった八ッ場ダム(群馬県)も積極推進の姿勢です。

 今年(2008年)1月20日付け『朝日新聞』のインタビュー記事では、「千葉県は、水道水を得るための八ッ場ダム(群馬県)など関係する他の巨大公共事業は推進の立場です」との質問に対し、こう答えています。
     「自然を守りたい気持ちは一緒でも、行政の長として運動家と同じ立場でないことはある。悩むところだ。成田空港と都心を結ぶ成田新高速鉄道の建設時も予定地に希少種のサギが生息し判断を迫られたが、知事の立場を優先した」
 要するに、「個人としては自然を守りたいが、知事としては公共事業を優先せざるを得ない」という言いぐさです。


■道路特定財源暫定税率の維持を主張し、
  自民党と国交省をバックアップ

 国会の争点となっている道路特定財源の暫定税率についても、維持を強く主張し、国会で劣勢にたつ自民党や国交省を支援しつづけています。
    《堂本知事は17日の定例記者会見で、道路特定財源の暫定税率存廃の議論について、「財源が減ってしまうと、圏央道や外環、北千葉道路などの工事が大幅に遅れて困る。なんとしてもとどめていただきたい」などと述べ、暫定税率は維持するべきとの考えを示した。》(『読売新聞』千葉版、2008.1.17)
 県政に対する自民党の要求も100パーセント受け入れています。だから、県議会ではほとんど対立がないのです。
 借金(県債残高)も、知事就任以降、雪だるま式に増やし続けています。長野県の借金を減らし続けた田中前知事とは正反対です。
 こういう事実をみれば、堂本知事がなぜ三番瀬のラムサール登録見送りや人工干潟化に躍起となっているかがわかるのではないでしょうか。

(2008年1月)










第二湾岸道路の予定ルート




県がめざす三番瀬再生





千葉市美浜区の幕張メッセ(写真右の建物)と千葉マリンスタジアム(左の建物)
の間に確保された第二湾岸道用地。ここはすでに「通称・第二湾岸道」とよばれている。
4車線の道路のほかに、4車線の拡幅用地(写真左。マリンスタジアム側)が確保されている。




幕張新都心から習志野側の方向に撮った第二湾岸道用地。




浦安市の埋め立て地にも50メートル以上の幅をもつ第二湾岸道の用地が確保されている。




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