人工海浜化は実質的な新しい埋め立てに外ならず

  とても容認できません

     〜沢田文夫さんが市川市に意見書〜




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 市川市の「塩浜地区まちづくり基本計画(案)」に対し、沢田文夫さんが意見書を提出しました。
 この計画案は、三番瀬・猫実川河口域に土砂をいれて人工海浜をつくるという提案です。うたい文句は、「海辺の空間を活かしたまちづくり」「三番瀬の原風景の再生」などです。



意見書





2005年7月14日

 市川市街づくり部行徳臨海対策課 御中

沢田文夫


 企画部広報課広報紙『FORUI-i』No.50(2005年6月25日号)に掲載の「塩浜地区まちづくり基本計画(案)」を興味深く拝見いたしました。
 私は市川市民ではありませんが、三番瀬の臨海部である塩浜地区のまちづくりには大いに関心をもっておりますので、一言発言させていただきます。

 第1に、この地区は首都高速湾岸線を挟んで、市川市の誇る行徳鳥獣保護区(行徳近郊緑地)に隣接した地域ですから、この特色を活かした街づくりを考えていただきたいと思います。
 周知のように行徳鳥獣保護区と三番瀬とは、現在は埋設された細い土管で連結されているだけなので、潮の干満にともなう海水の交換は不十分で、三番瀬の後背湿地であるべき保護区の機能が十分に果たされておりません。さらに、本来は汽水域であるべき三番瀬へ淡水を導入するための水交換の機能も低下しています。
 この課題を解決するためには、まず現在の細い土管を幅広い太い開渠の水路に変更すべきだと考えます。理想的には、このほかにもう1本の水路を増設すべきと考えます。当然のことながら、この課題は行徳野鳥観察舎の意向を最大限取り入れて解決すべきです。

 第2に、この基本計画(案)では、県の作成した『三番瀬再生計画案』に記載された「護岸イメージ図」のうちの一例を見本にして、護岸プランを提案しています。しかしながら、この提案は3つの問題点を含んでいます。
  •  この案では現在の高矢板の護岸の前面に石積みを行うので、過去の埋立てで狭くなった三番瀬の海域をさらに狭めるので、容認できません。もちろん石積み護岸は高矢板の垂直護岸よりは好ましい形態ですが、そのためには現在の陸側を削って石積み護岸を作るよう要望します。

  •  市の提案では不明瞭ですが、県のイメージ図に従えば、高矢板は残したままで石積み護岸を作ることになります。いかに腐植が進んでいるとしても、高矢板を残したままでは陸と海との水循環は断ち切られていて、三番瀬の汽水化はなされず、三番瀬の干潟的環境の改善は望めません。

  •  市の提案で最大の問題点は、右積み護岸の前面に砂を入れて人工海浜を作ろうとしていることです。
     私は市川市民ではありませんが、市川市民が船橋市の海浜公園のような砂浜の海岸を熱望する気持ちは理解できます。しかしながら、砂の粒子の大きさや潮流の条件などで違うとはいえ、安定した砂浜を造成するためには1/100程度の勾配が必要とされているので、もしも5mの高さまで盛るのならば護岸から500mの沖まで砂を入れなければなりません。
     これでは実質的な新しい埋立てに外ならず、とても容認できません。とりわけ猫実川河口の海域は三番瀬ではただ一つの泥質城であって、このことが三番瀬の環境多様性と生物多様性を保つのに貢献していて、そのおかげで三番瀬の漁業も支えられているはずです。
     したがって、この海域に砂を入れることは許されないことと考えます。市川市民が砂浜を欲するならば、行徳漁協が作った「人工干潟」を活用していただきたいと思います。

 以上の見地から、これらの課題をすべて解決する最良の道は、護岸のイメージ図として市川市が採用した『三番瀬再生計画案』の112ページの「石積み傾斜堤+干出域」ではなく、同じ書類の111ページに載せられた「(市川市所有地前面)環境学習エリア」のイメージ図に基づいて、塩浜地区まちづくりを計画することであると私は考えます。
 よろしくご検討ください。
以上







『三番瀬再生計画案』(111ページ)より





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