三番瀬鳥類調査報告書で森田知事に質問書
〜3団体〜
千葉の干潟を守る会、三番瀬を守る会、千葉県自然保護連合の3団体は(2009年)6月22日、「平成19年度三番瀬鳥類個体数経年調査報告書」に関する質問書を森田知事あてに提出しました。
質 問 書 |
2009年6月22日
千葉県知事 森 田 健 作 様
千葉の干潟を守る会 代表 大浜 清
三番瀬を守る会 会長 田久保晴孝
千葉県自然保護連合 代表 牛野くみ子
「平成19年度三番瀬鳥類個体数経年調査報告書」に
関する質問について
私たちは、貴重な干潟・浅瀬「三番瀬」を次世代に残すため、その保全のために活動している団体です。
さて、県がホームページに掲載し、また三番瀬評価委員会に報告した「平成19年度三番瀬鳥類個体数経年調査報告書」について、私たちはさまざまな疑問を抱いています。
つきましては、下記のとおり質問させていただきますので、それぞれの質問について、知事の見解を7月6日までに文書で回答くださるようにお願いします。
記
- 報告書は、底生生物(鳥の餌)の調査をせずに、しかも何の根拠も示さずに三番瀬は餌資源が減少していると結論づけています(〔概要版〕21ページなど)。このように、単なる想像による非科学的な報告書を行政が発表していいのでしょうか。また、三番瀬再生事業に反映させていいのでしょうか。
- 同様に、三番瀬の環境は悪化傾向にあるとも結論づけています(〔概要版〕23ページ)。陸から望遠鏡でのぞいただけの鳥類調査で、どうしてそういうことがいえるのでしょうか。また、これは調査目的や調査内容から逸脱しているのではないでしょうか。
- アオサが堆積し、底泥が無酸素状態になっている(〔概要版〕23ページ)と書かれていますが、これは具体的にどの場所を指しているのでしょうか。
- 底泥が無酸素状態になっているかどうかは、底泥の酸化還元電位や強熱減量を測定しないとわからないはずです。そういう測定はされたのでしょうか。
なお、県が1996年から3年かけて実施した「補足調査」では、酸化還元電位や強熱減量の測定結果にもとづき、三番瀬の底泥は大部分が無酸素状態ではないという結果が示されています。また、「三番瀬市民調査の会」が2003年から続けている猫実川河口域の酸化還元電位と強熱減量の測定でも「補足調査」と同じ結果がでています。
- 県水産総合研究センターによる調査データをもちだし、アオサについて、「平成17年、三番瀬海域で7000トンの堆積があった」と記してあります(〔概要版〕23ページ)。たしかに、平成17年11月頃のアオサの推定発生量は7000トンとなっていますが、ほかの年はほとんどが1000トン以下であり、低い水準です。また、6月11日開催の第27回「三番瀬再生会議」で配布された「三番瀬漁場再生検討委員会の検討状況について」(農林水産部水産局水産部・漁業資源課作成)には、「19、20年度はアオサの発生量が少なく、20年度には事業規模の(アオサ)回収は必要ありませんでした」と記されています。
アオサが異常に発生した年の一時期のデータだけを採用するのは、恣意的ではないでしょうか。
- 上記5と関連しますが、県水産総合研究センターのデータは「アオサの推定発生量」となっているのに、報告書は「アオサの堆積」としています。これについては、6月1日開催の県自然保護課の説明会において、「校正ミス」との説明がありました。
しかし、これは「アオサが堆積し、底泥が無酸素状態になっている」ということの根拠とされていますので、「校正ミス」では済ませられないはずです。この点について、報告書を訂正されるのかどうかをお伺いします。
- スズガモについて、「近年は、採餌場としてでなく、主として休息の場として利用することが多い」(〔概要版〕9ページ)、「三番瀬はスズガモの休息地であって採餌場ではなくなっている」(〔概要版〕の小見出し)と記述されています。
しかし、スズガモは主に夜間に採餌しており、12月〜1月は昼間の採餌はほとんど見られません。受託者は夜間調査をやっていないのでこの記述は訂正すべきと思われますが、どうでしょうか。
- 〔概要版〕18ページの「表2 過去の出現種数と今期の調査での出現種数」において、1987年8月〜1997年2月の10年間の種数(188種)と前回(2001年8月〜2002年7月)の種数(144種)、今回(2007年4月〜2008年3月)の種数(127種)が掲載され、出現種数が激減しているかのようなイメージをもたせてあります。
しかし、10年間と単年度の調査結果を単純に比較するのは誤りです。希少種は、年によって飛来したり飛来しなかったりするからです。この表を掲載するのは不適当だと思いますが、どうでしょうか。
- 上記8の関連です。「2001年8月〜2002年7月に出現し、今期の調査で記録されなかった種」(26種)を見ると、もともと三番瀬では非常に珍しい鳥ばかりです。たとえば、海岸部に飛来することは極めて希な鳥(アマサギ、アマサギ、オオハクチョウ、キビタキ、ヒガラなど)、環境省レッドデータブックで「情報不足(DD)」とされている鳥(カラシラサギ)、日本では数少ない珍しい鳥(ヨーロッパトウネン)、草原・湿地林・河辺林を好む鳥(アイリスなど)などです。このような種が今回の調査でみられなかったからといって、「出現種数は減少傾向にある」と結論づけるのは行き過ぎだと思いますが、どうでしょうか。
- 報告書に調査員が明記されていないのはなぜでしょうか。
- この報告書はいったん取り下げ、担当課(自然保護課)の関係機関である生物多様性センターや県立中央博物館などの専門家に報告書の妥当性をチェックしてもらうべきと思いますが、どうでしょうか。
以上です。
★県庁の関連ホームページ
★関連ページ
- 三番瀬鳥類調査報告書の再評価を再要望〜三番瀬評価委員会に提出(2009/6/25)
- 三番瀬鳥類調査報告書のズサンさを質す〜県自然保護課の説明会(2009/6/1)
- 三番瀬鳥類調査報告書の評価を要望〜三番瀬評価委員会に提出(2009/5/1)
- 三番瀬鳥類調査報告書の説明を求める〜県自然保護課長に要望書提出(2009/4/27)
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