三番瀬鳥類調査報告書の再評価を再要望

〜三番瀬評価委員会に提出〜



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 千葉の干潟を守る会、三番瀬を守る会、千葉県自然保護連合の3団体は、(2009年)6月25日、三番瀬評価委員会の全委員に対し、「平成19年度三番瀬鳥類個体数経年調査報告書」を評価してほしい旨の要望書を提出しました。

 三番瀬評価委員会は、住民参加方式の「三番瀬再生会議」の下部組織です。昨年の第7回「三番瀬評価委員会」で同報告書を審議した際、望月賢二委員から次のようなきびしい批判がだされました。
     「水鳥については、補足調査からずっと見てきて思うのは、かなり変わってきていると思います。ただ、それがきちんとデータ上で洗い出されていない。そういう意味で、どこまでやっていただいたかわからないのですが、基本的に問題なのは、多分、事務局の発注のときに何を答えとして求めなければいけないかがわかっていない。それは発注上の問題と、それを落札した業者の方が、何のためにその仕事をするかという目的がわかっていない。
     特に水鳥の場合には、一般的な鳥の生態を調べるわけではなくて、三番瀬といういわゆる浅海域の場を水鳥がどう利用しているか、利用価値の問題――相対的な利用価値という意味になりますが――と、出現個体数というのは相対的な価値で決まると思いますので、それが三番瀬と周辺海域との関係の中でどう変わったかということが現れる個体数の変動、その二つを正確に分析して、変化の兆しをいかに見つけ出すかというのが多分カギになる。そこのところがわかっていないのだと思います。」(議事録より)
 ところが不思議なことに、評価委員会は報告書の内容をそのまま容認する審議結果を三番瀬再生会議に報告しました。
 3団体は今年5月1日、評価委員会の全委員に対して再評価を要望したのですが、「19年度の調査については、20年度に評価委員会で議論し再生会議に報告したところです」というそっけない回答でした。

 しかし、この報告書は事実と違う記述や根拠のない推論、インチキが多いなど、問題だらけです。それらが6月1日の自然保護課の説明会で浮き彫りになりました。そこで評価委員会に対し、再評価を求める要望書を改めて提出しました。


    《三番瀬評価委員会の委員》
                                        (◇:座長)

 ◇細川恭史 財団法人港湾空間高度化環境研究センター専務理事
       兼港湾・海域環境研究所長(海洋環境)
  宮脇 勝 千葉大学准教授(都市計画・景観)
  蓮尾純子 財団法人日本野鳥の会評議員(鳥類)
  朝倉暁生 東邦大学准教授(環境アセスメント)
  野村英明 東京大学海洋アライアンス特任研究員(水環境)
  清野聡子 東京大学大学院助教(底生生物)
  望月賢二 元千葉県立中央博物館副館長(水生生物)
  岡安章夫 東京海洋大学教授(海岸工学)
  宮田昌彦 千葉県立中央博物館自然誌・歴史研究部長(漁業)
  横山勝英 首都大学東京准教授(河川環境)



 以下は、要望書の内容です。


要 望 書



2009年6月25日 

 三番瀬評価委員会
  座長 細川恭史 様
  各  委  員  様

千葉の干潟を守る会 代表 大浜 清
三番瀬を守る会 会長 田久保晴孝
千葉県自然保護連合 代表 牛野くみ子


  「平成19年度三番瀬鳥類個体数経年調査報告書」の再評価
  について(要望)

 標記の報告書については、5月1日付けで貴委員会に対し再評価を依頼したところです。
 その後、私たちは6月1日に県自然保護課の説明会に出席しました。説明会では、さまざまな問題が浮き彫りになりました。その概要は別添のレポート(「参考資料」)をご覧ください。
 また6月22日には、別紙のとおり森田健作知事あてに質問書を提出しました。
 説明会のレポートや質問書をご覧になれば、同報告書は事実と違う記述や根拠のない推論がいかに多いかが分かっていただけると思います。
 つきましては、同報告書について再評価してくださるよう、改めてお願いします。
 なお、同報告書の問題点や疑問点をいくつかあげると下記のとおりです。


  1. 底生生物(鳥の餌)の調査をせずに、しかも何の根拠も示さずに、三番瀬は餌資源が減少していると決めつけている。

  2. 根拠を示さずに三番瀬の環境は悪化傾向にあると結論づけている。

  3. 現地をみれば一目瞭然のとおり、アオサが堆積して干潟・浅海域の底泥が無酸素状態になっている箇所はほとんどみられない(時期により、一部の浅海域がアオサに覆われることはある)。県農林水産部水産局作成の「三番瀬漁場再生検討委員会の検討状況について」にも、「平成19、20年度はアオサの発生量が少なく、20年度には事業規模の(アオサ)回収は必要ありませんでした」と記されている。ところが、報告書は「アオサが堆積し、底泥が無酸素状態になっている」と決めつけている。

  4. 県水産総合研究センターによるアオサの調査データを用いるにあたり、アオサが異常に発生した年の一時期のデータだけを恣意的に採用し、しかも、同センターのデータは「アオサの推定発生量」となっているのに、意図的に誤用して「アオサの堆積」としている。

  5. 三番瀬に飛来する水鳥のうち断トツに多いスズガモについて、「三番瀬海域を、採餌場としてもよりも、休息の場として利用している」「最大の要因は、餌資源の減少であろう」と書いている。しかし、スズガモは主に夜間に採餌している。夜間の調査をしていないのでそんなことは書けるはずがないのに、平気で決めつけている。

  6. 「出現種数は減少傾向にある」とし、1987年8月〜1997年2月の10年間の種数(188種)と単年度(2007年度)の種数(127種)の比較表を掲載している。しかし、10年間と単年度の調査結果を単純に比較するのは大間違いである。希少種は、年によって飛来したり飛来しなかったりするからである。この比較は、野鳥を知らない人をあざむくものといえる。

以上です。


【添付資料】











三番瀬調査域内のアオサ推定発生量(湿重要t)の推移
(千葉県水産総合研究センターの調査結果)


報告書は、県水産総合研究センターによるアオサの調査データを用いるにあたり、アオサが異常に発生
した年(平成17年)の一時期のデータだけを恣意的に採用し、「アオサが堆積して干潟・浅海域の底泥
が無酸素状態になっている」と決めつけている。しかも、同センターのデータは「アオサの推定発生量」
となっているのに、意図的に誤用して「アオサの堆積」としている。こんなインチキが随所でみられる。





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