〜ヘドロ流入でアサリ収穫量が3割減少〜
(2011年)9月4日午後5時、国交省江戸川河川事務所が行徳可動堰を開放しました。
可動堰は江戸川放水路の上流部分に設置されているダムです。ふだんは利水のために閉め切られていて、洪水時に開放されます。開放されると、大量の淡水や汚泥(ヘドロ)、ゴミが江戸川放水路を通じて三番瀬に一挙に流れ込みます。そのため、三番瀬の貝類やノリが壊滅的な打撃をうけます。この日の開放は、台風12号の影響で上流の水位が高くなったためです。
◆海水の濁りがひどい
翌日(5日)の三番瀬は海水がすごく濁っていました。海面は茶色や緑白色です。緑白色になっているのは、青潮(貧酸素水塊の湧昇現象)が発生したからです。行徳可動堰の開放によって大量の淡水や汚泥が流れ込み、市川航路などの底にたまっていた貧酸素水塊を湧き上がらせたといわれています。
◆波打ち際に逃げた魚をカワウの大群が襲う
そのため、魚たちがいっせいに「ふなばし三番瀬海浜公園」前の波打ち際に逃げてきました。その魚を捕まえようと、約2000羽のカワウがやってきました。また、ダイサギやアオサギも20羽くらいがやってきました。波打ち際はすごい状態になっていました。
◆「少しずつ増えていた収穫量が、再び3割ほど減ってしまった」
この可動堰開放によって、アサリの収穫量が再び3割ほど減ってしまったそうです。
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《昨年9月の青潮で大量死したアサリの収穫量が回復し始めている船橋市沖の三番瀬に、台風12号による増水で開放された江戸川の行徳可動堰(市川市)からヘドロが流れ込んでいたことが、船橋市漁協の調査でわかった。同漁協は「6月ごろから少しずつ増えていた収穫量が、ヘドロの影響で再び3割ほど減ってしまった」と悔しさをにじませている。》(『毎日新聞』千葉版、2011年9月19日)
行徳可動堰の開放によって青潮が発生。三番瀬の海面は茶色や緑白色に濁った
波打ち際に逃げてきた魚を襲うカワウとダイサギ、アオサギ
★関連ページ
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- 肝心な対策は棚上げ〜三番瀬漁場改善策(2010/12/20)
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