「護岸前面に砂を付けるべき」の大合唱

〜第35回「市川海岸塩浜地区護岸整備委員会」〜



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 第35回「市川海岸塩浜地区護岸整備委員会」が(2011年)11月22日、県国際総合水泳場(習志野市)の会議室で開かれました。主な議題は、市川市塩浜2丁目護岸のバリエーション構造です。県(河川整備課)の提案をもとに議論しました。


◆砂付けしか関心がない

 県の提案は、塩浜2丁目の総延長900mの改修護岸のうち2カ所(100m区間と50m区間)で階段式の護岸をつくるというものです。
 その構造をめぐって意見が交わされました。また、「護岸の前面に砂をつけるべき」という意見が、3人の委員から強くだされました。3人は、改修護岸の前面海域に土砂を投入して人工砂浜をつくるべき、ということを何年も前から声高に主張しつづけています。


◆「砂付けを見込んだ構造に」

 これに対する県の回答はこうです。
     「護岸整備は、海岸保全区域(沖合方向に30mの幅)の中で行う。したがって、その範囲で砂付けまでやることは困難だ。改修護岸の前面海域に砂を付けることについては、干潟的環境(干出域)の形成という事業において、ほかの部署(環境政策課三番瀬再生推進室)が検討することになっている。現在、その試験をおこなっている」
 重要なのは、改修護岸の下部A.P2.1mの高さに幅2mの小段を設置し、その前面に砂を付けることがあたかも合意されたかのように扱われたことです。
 座長の遠藤茂勝委員(日本大学教授、海岸・港湾工学)はこう言いました。
     「将来、護岸の前面に砂を付けることも見込んだうえでの構造としてもらう」
 そこで、竹川未喜男さん(千葉の干潟を守る会、旧市川海岸塩浜地区護岸検討委員会委員)が傍聴席からこんな発言をしました。
     「改修護岸の下部A.P2.1mの前面海域に砂をつけるということは、旧市川海岸塩浜地区護岸検討委員会では合意になっていない。この問題は慎重に扱ってほしい」


◆委員構成が問題

 この委員会の最大の問題は、委員のなかに自然環境を重視したり、海の生態系にくわしい委員が一人もいないことです。
 昨年度までの旧市川海岸塩浜地区護岸検討委員会には、千葉の干潟を守る会の竹川さんや公募委員、さらに環境関係の専門家も加わっていました。
 ところが、今年度スタートした市川海岸塩浜地区護岸整備委員会では、そういうメンバーはすべて排除です。また、三番瀬の埋め立てを推進し、いまも人工改変(人工砂浜化)を主張している委員が多数を占めています。これでは、「改修護岸の前面に砂を入れろ!」の大合唱になることは当たり前です。


◆「生態系にも配慮」は形だけ

 「千葉県三番瀬再生計画(新事業計画)」は、市川市塩浜護岸改修事業について、「地域住民の利用や生態系にも配慮した高潮防護の護岸改修を進め」る、とか、「引き続き、護岸改修と並行して生物等のモニタリング調査を実施し、改修に伴う自然環境への影響を評価します」とうたっています。
 ところが、肝心の委員会には、生態系や自然環境にくわしい委員が一人もいません。自然環境に関心をもっている委員もいません。これでは、「生態系にも配慮」や「自然環境への影響を評価」はただの形だけです。


◆海岸法の趣旨に反している

 また、護岸改修の根拠法となっている海岸法は1999(平成11)年に改正され、防護・環境・利用が調和した海岸づくりをめざすとしています。環境関係のメンバーを排除した委員構成は、海岸法の趣旨に反するものです。







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