河口部の放射能汚染土除去を早急に
〜東京湾勉強会〜
(2012年)3月19日、「東京湾勉強会」が市川公民館で開かれました。講師は小泉正行さん(東京都島嶼農林水産総合センター)。主催は「三番瀬を守る署名ネットワーク」と「千葉の干潟を守る会」です。
小泉さんは、東京湾で育った稚アユが多摩川、江戸川、荒川へ遡上している状況や、東京湾における貝類の生息状況、アマモ移植試験、放射性汚染などについて話をしてくれました。
◆富栄養化がアマモの生育を阻害
印象的だったのは、移植したアマモの生育が阻害されている要因です。
小泉氏はこんな話をしました。
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「2004年から2006年にかけて、お台場でアマモの移植実験をした。結果はすべて消滅に終わった。主な原因は富栄養化である。わずか2週間たらずで、移植株の草体(葉っぱ)の全面にフジツボやイガイ類が付着し、光を遮断する。付着生物がアマモの光合成を阻害しているということだ」
「東京都の内湾でアマモを定着させるためには、植物プランクトンや付着生物の異常発生などをおさえるための富栄養化対策(汚濁負荷の軽減)を講じることが重要である」
ところが、東京都の内湾の場合は、アマモ生育の阻害要因として富栄養化があるとのことです。
◆河口部の放射能汚染土除去を早急に
小泉さんの話でもうひとつ印象的だったのは、放射能汚染対策です。
福島第一原発事故で関東に降り注いだ放射性セシウムが土に付着して川に集められ、江戸川や海老川などの河口部にたまっています。
たとえば、江戸川河口部の行徳可動堰は、台風などの増水時に開放されます。そうすると、可動堰に堆積した汚泥が一気に三番瀬へ流れ込みます。三番瀬や東京湾は深刻な放射能汚染に見舞われる危険性が大きいのです。
小泉氏はこう話しました。
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「河口部に堆積した放射能汚染土はいまのうちに除去することが必要だ。台風や集中豪雨によって拡散してからでは、手をつけられなくなる」
こうした状況に、船橋市漁業協同組合は危機感を募らせています。東大大学院と共同で、川底の放射性セシウムの汚染実態調査に乗り出すことにしています。
講師の話に聞き入る参加者
★関連ページ
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