県議会予算委員会で三番瀬問題の質疑

〜ふじしろ政夫県議〜



トップページにもどります
ニュースのページにもどります
「ラムサール条約」のページにもどります
「第二湾岸道路」のページにもどります


 (2013年)2月12日、2月定例千葉県議会の予算委員会でふじしろ政夫議員(市民ネット・社民・無所属)が三番瀬保全の問題をとりあげました。ラムサール条約登録、漁場改善、青潮対策、人工干潟造成、第二湾岸道路です。

 県議は、第二湾岸道路との関連で「三番瀬を埋め立てないということが県の方針と理解してよいか」となんども質しました。ところが、県(道路計画課長)は答えません。はぐらかし答弁に終始です。

 県はあいかわらず第二湾岸道路を三番瀬に通そうとしている──。それが鮮明になりました。
 県は三番瀬の人工干潟化(人工砂浜化=埋め立てと同じ)をめざしています。そして、ラムサール条約登録には消極的です。その根っこにあるのは第二湾岸道路です。


県議会予算委員会の一般質疑



ラムサール条約登録に向けてどんな努力をしてきたのか

◇ふじしろ県議
     三番瀬の保全のために望まれているラムサール条約登録について、県はこの4年間、どのような努力をしたのか。
◆自然保護課長
     これまで国と連携し、地元4市と漁業協同組合の関係者と調整をしてきた。とくに漁業協同組合の関係者に対しては、ラムサール条約登録地内で漁業活動がおこなわれている他県の状況や、また条約に登録されても通常の漁業活動には支障がないことなどについて勉強会や意見交換会などを継続的におこない、ねばり強く説明してきた。
     しかしながら、現状では、早期登録を望む声がある一方、漁場再生を優先すべきとして「登録は時期尚早」の声があるなど、地元の意見はさまざまである。
◇ふじしろ県議
     伝聞によると、浦安市長は、「うちはラムサール条約登録に反対していない」「ラムサール条約登録について、これまで県からいちども話がない」と話しているとのことだ。それは本当なのか。
◆自然保護課長
     浦安市についてはいちど意見を聞いていると思うが、基本的には賛成の方向と伺っている。そういうことから、近年は主に漁協と話し合いを続けている。


「漁場改善が先」の内容は?

◇ふじしろ県議
     行政(自治体)との間でも話し合いをしてほしい。
     漁協の方々は「ラムサール条約登録の前に漁場の改善が必要」と言っておられるようだが、どのような状態まで改善しなければならないのか。具体的に教えてほしい。
◆農林水産部長
     三番瀬の漁場を改善するためには、停滞している潮の流れや底質を改善することが必要である。そのため、水深を浅くし、潮の流れを良くするための覆砂や耕耘(こううん)などの対策にとりくんでおり、今後も、安定した漁業生産がおこなわれることを目標として漁場の改善を進めていきたい。
◇ふじしろ県議
     それを聞いているのではない。漁場が改善しなければラムサール条約登録に賛成できないと漁協が言うのは、埋め立て前の漁場環境に戻せというのか、それともアサリやノリの漁獲高をある金額までにするというのか。一体全体どこまで戻せというのか。
◆水産課長
     平成17年に、漁業関係者や海洋漁業の専門家などで構成する三番瀬漁場再生検討委員会が開かれた。(同委員会での議論にもとづき)埋め立てによって現在の地形となったあとも生産が安定していた昭和60年代のような漁場を再生することを三番瀬漁場再生の当面の目標にかかげている。


青潮対策について

◇ふじしろ県議
     東京湾には、埋め立てのために深く掘りすぎた場所がたくさんある。そこで、浅海漁場総合整備事業ということで、東京湾から発生する土砂の有効利用に関する協定にもとづき、その土砂を幕張の地先に埋め戻している。平成23年度は160万9000m3、24年度は110万m3となっている。
     東京都との約束で、1m3あたり1000円、100万m3で10億円のカネが入っている。そのうち4分の1は県の収入とのことであり、平成23年度決算では2億7000万円が千葉県に入っている。そのカネで青潮対策をどのように講じたのか。
◆水産課長
     2億7000万円は、東京湾全体の水産業の振興に幅広く活用している。その中で、青潮被害の軽減にもつながる覆砂などの漁場対策事業や貧酸素水塊対策などにとりくんでいる。
◇ふじしろ県議
     掘りすぎたところには貧酸素水塊が溜まる。だから、そこを埋め戻すというのなら、もっと多額のカネを青潮対策という形で投入すべきと思うが、どうか。
◆水産課長
     受け入れた浅海漁場総合整備事業費は、東京湾全体の水産業振興のための各種事業に活用している。引き続き、関係漁協の意見や要望をふまえて事業を実施したい。
◇ふじしろ県議
     資金の4分の3は財団法人千葉県漁業振興基金に入っている。そこの1年間の事業活動をみると、貧酸素水塊の調査に85万円、埋め戻すときの監督(監視)に1億700万円使っている。本気になって東京湾をもどそうとしているのか、と疑問に思う。


市川市が求めている人工ビーチ

◇ふじしろ県議
     市川市塩浜2丁目地先の200mを人工ビーチにしたいと市川市が要望していようだが、この人工ビーチは三番瀬の保全・再生と合致しないのではないかと思う。この点について聞きたい。
◆環境政策課長
     市川市塩浜2丁目の護岸前面における干潟の再生については、三番瀬再生計画の目標との整合性を図ることが重要である。そういう形で進めている。
◇ふじしろ県議
     県の担当課に話を聞いたさい、人工干潟は満潮時に隠れ、干潮時に出てくるものであり、人工ビーチはちがう、とのことだった。そうすると、人工ビーチは三番瀬再生計画と整合するのかどうか、お聞きしたい。
◆環境政策課長
     三番瀬再生計画では、潮がひいたときに干出域があらわれるような干潟的環境を想定している。
◇ふじしろ県議
     市川市が要望しているものとはちがうことを指摘しておきたい。


第二湾岸道路と三番瀬埋め立ての関係

◇ふじしろ県議
     第二東京湾岸道路は三番瀬再生計画に制約されるとのことだが、三番瀬はこれ以上埋め立てないということが三番瀬保全の原則であると理解してよいか。
◆道路計画課長
     第二東京湾岸道路は首都圏の骨格となる道路ネットワークとして位置づけられているものであり、本県にとっても重要な道路であると考えている。しかし、この道路は構想段階であり、事業者もルート・構造なども未定となっている。
◇ふじしろ県議
     私が聞いているのは「三番瀬はこれ以上埋め立てないのですね」ということだ。これについて答えてほしい。
◆道路計画課長
     第二湾岸道路については、現在、ルートも構造なども未定となっている。
◇ふじしろ県議
     三番瀬はこれ以上埋め立てないというのが原則になっているはずだ。それも答えられないということなのか。
◆道路計画課長
     同じ答えになるが、第二湾岸道路は現在、ルートも構造なども未定となっている。
◇ふじしろ県議
     質問に対して全然答えられないというのは、小学校よりも悪い。「三番瀬はこれ以上埋め立てない」ということが、101ha埋め立て計画を白紙撤回したとき以来の県の方針のはずだ。それをこの場で確認したいと思う。




このページの頭に戻ります
「ニュース」のページにもどります
「ラムサール条約」のページに戻ります
「第二湾岸道路」のページに戻ります

トップページ | 概 要 | ニュース | 主張・報告 | 行政訴訟 | 資 料 |
会報 | 干潟を守る会 | 房総の自然と環境 | リンク集 |