三番瀬市民調査

猫実川河口域の浄化能力は非常に高い

〜アナジャコ、カニ、稚魚などたくさんの生き物を発見〜




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 「三番瀬再生計画検討会議」(通称:三番瀬円卓会議)の最大の焦点となっているのは三番瀬の市川側(猫実川河口域)です。ここをどうみるのか、すなわち、生き物がたくさんいて浄化能力も高い海域とみるのか、それとも「死んだ海」や「ヘドロの海」としてみるのか、です。
 たとえば、ここをシャニムニ埋め立てようとしている市川市は、『三番瀬の再生に向けて──地元市川市の挑戦』の中で、この海域はヘドロ状になっていると強調しています
 こうしたことから、三番瀬保全団体(「千葉の干潟を守る会」など)は、プロジェクトチームをつくり、この海域の市民調査を昨年3月から月1回の割合でつづけています。
 5月17日は、底生生物の調査をおこないました。


■カニや稚魚などたくさんの生き物がいた

 猫実川河口域には、大潮のときにだけ干出する泥干潟があります。ここに小舟(ボート)で渡り、干潟をスコップで掘ったりして、どんな底生生物が生息しているかを調べました。
 ここの干潟は、船橋海浜公園前とはちがって泥質です。足がズブズブとはまりこむので、とても歩きにくいです。
 いつもそうですが、この日も干潟(干出域)の周りは海水がとてもきれいでした。透き通っていて、アナジャコの巣穴やたくさんの稚魚が泳ぎ回っているのがはっきり見えました。昨年はアオサがたくさんありましたが、今年はほとんどみられません。
 蛎殻(かきがら)が山のように堆積していて、蛎殻の下には無数のカニがいました。イシガニやケフサイソガニなどです。


■アナジャコの巣穴は1m2あたり約100も

 泥をスコップで掘ると、イトゴカイやタマシキゴカイがたくさんでてきました。1メートル四方を枠で囲んでアナジャコの穴を数えたら、約100もありました。アナジャコが死んでしまうと巣穴はすぐに埋まってしまうので、穴があるということはそこにアナジャコが生活していると考えられます。巣穴はYの字型なので、1平方メートルあたり約50匹のアナジャコがいることになります。


■猫実川河口域の水質浄化能力は非常に高い

 アナジャコは、泥質(砂泥質)の干潟・浅瀬に生息する大型のベントス(底生生物)です。その穴は最大で3m以上の深さにもなり、その浄化力はアサリの100倍以上といわれています。
 「コアサンプラー」は、「藤前干潟を守る会」(名古屋市)の小嶌さんがアナジャコを採取するために制作したものです。これを借り、アナジャコの巣穴を掘ったらアナジャコを比較的簡単に捕まえることができました。
 前回の調査で採取したアナジャコを千葉県立中央博物館の専門家(海洋生物)に調べてもらったら、次のようなコメントをいただきました。
  • 採取物はまぎれもなく普通のアナジャコである。
  • アナジャコの生息している海域がヘドロ状であるはずがない。逆に、アナジャコがたくさん生息しているということは、この海域の水質浄化能力が非常に高いことを示している。
  • アナジャコの発見は、猫実川河口域の底質環境が良くなっていることをあらわしているのではないか。


■現地を見ずに「ヘドロ状になっている」などと放言

 前述のように、三番瀬円卓会議では、この海域を残すか、それとも埋め立てて人工干潟をつくるかが最大の焦点になっています。しかし、円卓会議の委員によるここの現地調査はまだ1回もおこなわれていません。また、この海域の生物調査が行われたのに、その解析結果はいまだに提示されていません(専門家会議にだけ中間報告が提示された)。
 それをいいことに、この海域について、「生き物がいない」とか「アナジャコしかいない」「ヘドロ状になっている」などということを平気で言う委員が何人もいます。前述のように、市川市も出版本(『三番瀬の再生に向けて──地元市川市の挑戦』)の中で、この海域はヘドロ状になっていると強調しています。まさに言いたい放題ですが、これには呆れてしまいます。

 三番瀬保全団体は今後も、月1回の割合で市民調査をつづけることにしています。

(2003年5月) 













調査箇所(泥干潟)に渡るため、小舟(ボート)を組み立て。








小舟で泥干潟に渡る








泥干潟やその周辺の浅瀬にはアナジャコの巣穴が無数にあります。海水も透き通っていて、たいへんきれいです。市川市などはこんなところを「ヘドロ状になっている」と言っているのです。








1メートル四方を枠で囲んでアナジャコの穴を数えたら、約100もありました。アナジャコの巣穴はYの字型なので、1平方メートルあたり約50匹いることになります。








アナジャコの巣穴をスコップで掘って見ると、水道管のようです。写真では見にくいですが、赤い糸のようなイトゴカイもたくさんいました。イトゴカイは、昨年はあまり発見されませんでした。








「藤前干潟を守る会」(名古屋市)の小嶌さんがアナジャコを採取するために制作した「コアサンプラー」でアナジャコを採取しました。








「コアサンプラー」で巣穴をくりぬくとアナジャコを採取できます。








今回採取したアナジャコです。









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