〜市民が2回目の三番瀬(猫実川河口域)調査。98人参加〜
●ヘドロではなく、立派な砂泥質である
「三番瀬再生計画検討会議」(通称:三番瀬円卓会議)において、「三番瀬再生計画」作成にむけた論議が進められています。「再生計画」の焦点となっているのは三番瀬の市川側(猫実川河口域)です。ここをどうみるのか、すなわち、生き物がたくさんいる海域とみるのか、それとも「死んだ海」としてみるのか、が当面の最大の論点となっています。
そこで、本当はどうなっているかを市民の手で継続調査することになり、4月28日に2回目の調査をおこないました。
今回は、底質、底生生物、潜水、鳥類、プランクトンの5つのグループに分かれて調査しました。参加者は98人です。
■ドロクダムシなどをたくさん発見
採取した泥を篩(ふるい)にかけると、甲殻類のワレカラ、ドロクダムシや、ケフサイソガニなどの底生生物がたくさん発見されました。
ドロクダムシは、砂よりも泥の中にたくさん生息します。泥質海域である猫実川河口にはドロクダムシがたくさん棲(す)んでいて、ハゼやアナゴ、スズキなどの稚魚の大事なエサとなっているのです。
海水を網ですくうと、今回もアミが多くかかりました。これも、魚の重要なエサとなっており、この海域が魚の大切な成育場となっていることを実感できました。
■硫化水素は発見されず
この海域を埋め立てて人工干潟を造成すべきと主張している人たちは、「猫実川河口域はヘドロが堆積し、死んだ海になっている」と言っています。
しかし、採泥器で海底の泥を採取して調べたところ、今回もにおいはまったくしませんでした。
また、酢酸試験紙による硫化水素計を用いて硫化水素を計測しましたが、結果は0ppmで、硫化水素はまったく検知できませんでした。
■「生物相は豊か。水もきれい」
船のエンジンが故障したため、干出地(干潟)には3人だけが小舟で渡りました。干潟の付近は水がたいへんきれいで、稚魚がたくさん泳いでいました。アナゴやイシガニなどもたくさん発見しました。
干潟に渡って調査した野崎正さんは、「船橋海浜公園前の三番瀬は砂っぽいが、猫実川河口域の干潟付近は、固いけれど泥という感じ。ハゼの稚魚の数は船橋海浜公園前より多いし、泥には無数に穴があいている。点々とアメフラシの卵もある。船橋海浜公園前よりもここの干潟付近の方が生物相は豊かな感じがした。水もきれいだった」と報告しました。
■キョウジョシギを51羽、チュウシャクシギを145羽確認
鳥類グループは、この海域で、キョウジョシギを51羽、チュウシャクシギを145羽など、たくさんの鳥を確認しました。この日確認された鳥は以下のとおりです。
カワウ(2220羽)、スズガモ(2000羽)、ユリカモメ(200羽)、ハマシギ(150羽)、チュウシャクシギ(145羽)、メダイチドリ(86羽)、キョウジョシギ(51羽)、ダイゼン(24羽)、シロチドリ(8羽)、ダイサギ(6羽)、セグロカモメ(5羽)、カルガモ(3羽)、アオサギ(2羽)、イソシギ(2羽)、オオソリハシシギ(2羽)、ハイタカ(1羽)、サシバ(1羽)、ハヤブサ(1羽)、トウネン(1羽)、キアシシギ(1羽)。
■次回調査は5月25日
〜全員で干潟(干出地)へ渡ります〜
次回の市民調査は5月25日(土)におこないます。次回は、小舟によるピストン輸送で参加者全員に干潟(干出地)へ渡ってもらい、そこで生き物などの観察をします。干潮は午前10時ですので、午前8時30分に塩浜護岸に集合となります。
はじめに調査方法などを説明。
採泥器で採取した泥を篩(ふるい)にかけ、ピンセットでつまんで底生生物などを調査。
イシガニやギンポ、ユビナガスジエビなど、干出地(洲)で発見したさまざまな生き物を観察。
体長30センチの立派なアナゴもいました。(撮影:青山 一さん)
干潟付近の浅瀬は水がたいへんきれいで、透き通っています。穴から顔を出しているのはハゼのようです。(撮影:青山 一さん)
まるでクモのような格好をしているイッカククモガニ。(撮影:青山 一さん)
アメフラシの卵塊。形状から「海素麺(ウミゾウメン)」と呼ばれています。(撮影:青山 一さん)
アミの仲間。魚にとっては絶好のエサのようで、野崎さんが自宅の熱帯魚の水槽にいれたら、あっという間に食べられてしまいました。(撮影:野崎 正さん)
干出地(干潟)で発見されたエビジャコ。(撮影:野崎 正さん)
コノハエビと思われます。腐ったアオサの中にいました。(撮影:野崎 正さん)
ユビナガスジエビ。アオサやオゴノリの中にいました。これは船橋海浜公園前にも多くいます。(撮影:野崎 正さん)
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