三番瀬漁場再生事業連絡協議会は公開に

〜「三番瀬を守る連絡会」の要請が実を結ぶ〜



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 (2012年)2月7日、第2回「三番瀬漁場再生事業連絡協議会」が船橋市漁協の会議室で開かれました。


*非公開から公開へ

 この協議会は、県が2011年度から非公開ではじめたものです。2011年5月24日に開かれた第1回協議会は非公開でした。非公開開催がわかったのは8月です。
 そこで、9団体で構成する「三番瀬を守る連絡会」は8月18日に県水産局と交渉し、2010年度までの「三番瀬漁場再生検討委員会」と同様に公開にするよう求めました。
 そのため、9月上旬に開かれる予定だった第2回会合は開けない状態になっていました。公開にするかどうかの検討や調整がつづいたからです。
 そして、ようやく公開にすることが決まり、2月7日に第2回会合が公開で開かれました。三番瀬保全団体のメンバーも傍聴しました。


*議題

 この日の議題は、平成23年度三番瀬漁場再生事業の結果と平成24年度三番瀬漁場再生事業の計画です。
 県は三番瀬漁場再生事業として、
  • 漁場の一部で覆砂
  • アオサ発生量調査
  • ノリ生長量・疾病発生状況調査
  • アサリ冬季減耗対策試験
  • 青潮(貧酸素水塊)波及予測システム開発
 などをおこなっています。
 こうした事業の今年度(平成23年度)の実施結果を県が報告し、委員から質問や意見がだされました。
 一部を紹介するとこうです。


*覆砂箇所に撒いたアサリが激減
  〜1m2あたり1737個が31個へ〜

 昨年10月1日、覆砂した場所に市川市行徳漁協が約900kgのアサリを撒(ま)きました。10月13日の調査ではそこに1737個/m2のアサリが生息していました。ところが、12月12日の調査では31個/m2に激減です。
 県は、減少の要因として、
  • 冬季波浪減耗と思われる、
  • 覆砂場所(海底)に鳥の糞が多く見られたことから、鳥類(カモ類)に捕食された可能性もある
 の2点をあげました。
 これに対し、工藤盛徳委員(東海大学海洋学部名誉教授)はこう言いました。
     「1m2あたり1737個が2カ月で31個に減ったというのは重要な問題だ。減り方が激しすぎる。しかし、報告であげられた要因は抽象的すぎる。よほど大きな要因がないと、これほどは減らない。アサリ減少の要因についてはいろいろな見方がある。鳥による捕食もあげてあるが、ほかの場所でもそんなことが起きているのか。もっと詳細に調べてほしい」
 これは的確な指摘です。「鳥類に捕食された可能性もある」という推測で済ますことではありません。


*「覆砂の経済効果を検証すべき」
  〜2012年度は山砂を購入して投入〜

 今年度(平成23年度)実施した覆砂の場所は、市川市塩浜1丁目地先の人工干潟沖の海底です。市川航路の浚渫土砂1933m3を約50cmの厚みで覆砂しました。
 ところが市川航路の浚渫は今年度で終了です。そこで、2012年度は山砂を投入する計画です。
 これについて、工藤委員がこう言いました。
     「来年度は山砂を購入して覆砂するというが、そういうことをずっと続けるのか。覆砂の経済効果はどうだったのか。漁業収益の向上につながったのかどうか。それを検証すべきだ。そのうえで、覆砂を続けるかどうかを検討してほしい」
 これは問題の核心をついています。「漁場再生事業」がほんとうに漁場改善や漁業振興に役立っているのかどうかをきちんと検証するということです。
 県は、そういう検証をしないまま、多額の税金を投入して「漁場再生」という名の公共事業を進めています。結果として、ムダな事業になる可能性も高いのです。


*「覆砂に用いる土砂の放射線量を測定すべき」

 大野一敏委員(船橋市漁協組合長)はこう発言をしました。
     「覆砂に使う土砂の放射線量を調べてほしい。台風時に行徳可動堰が開放され、そこにたまっている泥が江戸川放水路を通じて市川航路に流れ込む。放射性物質を含んだ泥が流れ込む可能性もある。いまのところ、三番瀬漁場では放射性物質は検出されていない。しかし、放射能で汚染された土砂を漁場の覆砂に使うと三番瀬漁場が汚染される。十分に注意する必要がある」
 県はこう答えました。
     「今年度は市川航路の浚渫土砂を使ったが、航路浚渫が終了したので、来年度は山砂を使う。今後は、簡易検出器を用いて覆砂に用いる土砂をチェックしたい」








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