三番瀬の利用ルールづくりで県港湾課と交渉




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 三番瀬保全団体は2016年10月25日、三番瀬の利用ルールづくりを求めて県の港湾課と交渉しました。

 三番瀬の干潟や浅瀬は利用のルールがつくられていません。モーターパラグライダー、ウィンドサーフィン、水上スキー、水上バイク、カヤック、ラジコン飛行機などをどこでも自由に使用できます。危険な行為を規制している葛西臨海公園と大違いです。

 そこで、船橋市と市川市が共同で管理している区域については、9月13日に船橋市と交渉しました。その結果、早急に利用づくりを構築する旨の回答を得ました。


言い逃れに終始

 10月25日の県交渉では、船橋・市川両市が共同管理している区域以外の利用ルールづくりを求めました。
 ところが、港湾課副課長の答弁はひどいものでした。港湾法をもちだして言い逃れに終始です。
     「港湾法は、利用ルールについてまでは想定していない。基本的に海は自由使用にしている。水域の利用ルールについては当課としては考えづらい」
     「海の部分は制度上、利用ルールをつくることができない。港湾課は港湾法にもとづいて業務を遂行している。港湾区域内の海について利用調整を要望されても、当課の立場としては、制度もないのでむずかしい」
 などです。
 「利用ルールについては、三番瀬再生計画策定推進会議においてみなさんが議論していただければいい」とも言いました。三番瀬円卓会議・再生会議のような住民参加型の会議が現在も存在していると思っているのです。これにはあきれました。

 モーターパラグライダーが墜落した場合に巻き添え事故の危険性が高いことについても、まったく無責任な答弁に終始です。
     「巻き添え事故が起きた場合は、墜落事故を起こした人が責任を負うべきだ」
     「墜落したら、その人はかわいそうだけどしかたがない」
     「管理者を訴えることは自由だが、管理者が責任を問われるかどうかはわからない」
 と答えました。参加者からは、「あなた方は行政の責務を放棄している」などときびしい批判がだされました。



質問・要望書



2016年10月25日 

 千葉県知事 森田健作 様


三番瀬を守る会 会長 田久保晴孝
千葉県野鳥の会 会長 富谷健三
三番瀬を守る連絡会 代表世話人 中山敏則
千葉の干潟を守る会 代表 近藤 弘
三番瀬を守る署名ネットワーク 代表 田久保晴孝
千葉県自然保護連合 代表 牛野くみ子



三番瀬(船橋側)の利用ルールについての質問と要望

 常日頃、三番瀬の保全にご尽力くださり、感謝申し上げます。
 私たちは三番瀬を保全し後世に残すために活動している団体です。三番瀬(船橋側)の管理や利用ルールについて、下記のとおり質問と要望をさせていただきます。


1.葛南中央地区の「自然環境の保全・再生ゾーン」について
 2002(平成14)年3月に千葉港港湾計画が改訂され、葛南中央地区(三番瀬の船橋側海域)は「自然環境の保全・再生ゾーン」と位置づけられました。改訂の説明では、「三番瀬再生計画検討会議(三番瀬円卓会議)の検討結果を踏まえ、今後、関係者と協議・協力して保全・再生への取り組みを進める」とされています。
 つきましては、葛南中央地区の「自然環境の保全・再生」ではどのようなことを目標とされているか、また、具体的にどのような取り組みをされているかを教えてくださるようにお願いします。

2.三番瀬船橋側の利用ルールづくりについて
(1)三番瀬の干潟や浅瀬は利用のルールがつくられていません。三番瀬再生計画検討会議が2004年1月にまとめた「三番瀬再生計画案」は、「海域の利用自体に関するルールはほとんど無く、課題となっています」としています。その状況はいまも変わりません。
 三番瀬船橋側はいたるところで潮干狩りができます。モーターパラグライダー、ウィンドサーフィン、水上スキー、水上バイク、カヤック、ラジコン飛行機などの使用やシーバス(スズキ)釣りもできます。そのため、利用客が多いときは野鳥が干潟や浅瀬に飛来することができません。
 三番瀬は全国屈指の渡り鳥の中継地です。環境省「モニタリングサイト1000」のシギ・チドリ類渡来数では、三番瀬は毎回、上位10位以内に入っています。たとえば2014年度冬期をみると、佐賀県の大授搦、熊本県の白川河口に次いで三番瀬は3番目となっています。2015年度冬期は4番目です。三番瀬はまた、ミヤコドリが300羽以上飛来し、全国最大の渡来地になっています。スズガモは数万羽飛来します。ところが、利用客が多いときは野鳥を見ることができないのです。
 たとえば葛西臨海公園の干潟は、人が自由に立ち入りできる「西なぎさ」と、立ち入り禁止の「東なぎさ」に分けられています。そのため、利用客がいくら多くても、野鳥は「東なぎさ」に飛来することができます。それを観察することもできます。
 「三番瀬再生計画案」は、「海域は生態系や漁業の場として重要であるため、マリンレジャーなどの利用に十分な規制が必要であることも課題です」としています。また、船橋側の港湾ゾーンについて、「特に鳥類の分布やマリンレジャーの侵入に配慮する必要があります」と明記しています。
 つきましては、三番瀬の船橋側も人が立ち入りできない区域を設け、鳥が休息できる場所などを確保してくださるようお願いします。立ち入り禁止にしてほしいのは防泥柵などです。立ち入り禁止区域の設定にあたっては、三番瀬をよく利用する団体の意見も聞いてくださるようにお願いします。

(2)干潟、浅瀬、砂浜での危険な行為や遊戯は禁止してください。たとえばモーターパラグライダーは全国で墜落事故が多発しています。もしモーターパラグライダーが墜落して被害がでた場合、県や市は管理責任を問われます。
 兵庫県明石市の人工砂浜陥没で女児が生き埋めになって死亡した事故では、人工砂浜を管理している国土交通省と明石市の職員4人が業務上過失致死罪に問われ有罪となりました。禁錮1年執行猶予3年です。最高裁は「事故は予想できた」との判決を下しました。
 なんらかの事故が起きた場合、県職員が刑事責任を問われることになりかねません。そのような事態が起こらないようにしてください。

(3)船橋市と市川市が県から水域占用許可を受けている区域(東側突堤と西側突堤の間)では早急に利用ルールを構築することになりました。船橋市は、「占用許可者である千葉県、また共同管理者である市川市と明確なルールづくりの構築について協議を進めている」としています。
 千葉県三番瀬再生計画(第3次事業計画、平成26〜28年度)には、「海や浜辺の賢明な利用に向け、必要に応じて、漁業者、地域住民、利用者等の参加のもとで、利用形態に応じた新たなルールづくりのための調整等を行います」と明記されています。船橋市と市川市が水域占用許可を受けていない区域においても、県において早急に利用ルールを構築してくださるようお願いします。




要望書を三番瀬担当課長に手渡す県自然保護連合の牛野くみ子代表(右)
=2016年10月25日、千葉県庁で



三番瀬船橋側の利用ルールづくりを求めて県の港湾課など(手前左)と交渉



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