〜市川市は貴重な三番瀬をこれ以上つぶさないでください〜
市川三番瀬を守る会
三番瀬は東京湾の奥部に残る貴重な干潟・浅瀬です。面積は1800ha。三番瀬は半分以上が埋め立てられました。市川市も埋め立てを推進してきました。
それでも、三番瀬は豊かな自然環境が残り、多種多様な生き物が生息しています。日本有数の渡り鳥の飛来地ともなっています。
田中甲・市川市長は、そのような三番瀬の一部をつぶす人工干潟造成計画を打ちだしました。工事は2025年4月から始まります。私たちは計画中止を求めています。
生き物は死滅、 維持管理費は莫大
私たちが中止を求める理由のひとつは、覆砂によって造成予定地の生き物が死滅することです。また、予定地は波の影響を受けやすい場所なので侵食が避けられません。土砂の補給が続くので、維持管理費も莫大です。
千葉県は人工干潟造成を中止
県も同じ場所で人工干潟の造成を計画し、検討を重ねましたが、2016年に白紙撤回しました。県が中止した理由は二つです。
- 三番瀬の自然環境再生への効果は限定的であり、また、多額の整備費や維持管理費を要する。
- 対象地の海域(猫実川河口域)には底生生物が多く生息しており、この区域は東京湾に残された貴重な干潟、浅海域である。
いま残っている干潟・浅瀬の保護が大事
田中市長は、人工干潟造成の目的として「手を加えることによって自然を再生していく」を強調しています。しかし、自然の生態系は人智を超えた複雑な営みです。人間の思いどおりにはなりません。干潟は、多種多様な生き物が生息するとともに、海水の浄化に大きな役割を果たしています。そのような干潟を人工的につくるのは不可能です。実際に人工干潟の成功例はないとされています。
環境省もこう述べています。
-
「人工干潟の成功例は把握していない」
「貴重な干潟や浅瀬をつぶして人工干潟をつくることの必要性は理解できない。人工干潟をつくることよりも、いま残っている干潟や浅瀬を保護することのほうが大事だ」
江戸川放水路干潟の活用を
市川市は、市民が海に触れられる場をつくるために人工干潟を造成するとしています。
しかし、市川市内にある江戸川放水路の河口域には立派な自然の干潟があります。干潮時には広大な干潟が現れます。その広さは、市が計画している人工干潟の10倍以上です。河口域の環境や生き物は海(三番瀬)とほとんど同じです。
今年(2024年)6月19日放送のNHKテレビ「首都圏ナビ:てくてく散歩」は、江戸川放水路に広がる泥干潟をとりあげました。タイトルは「千葉県市川市 江戸川放水路 干潟の自然観察」です。希少種のトビハゼやヤマトオサガニ、チゴガニ、ウミニナなどの生態を映し出し、こう紹介しました。
-
「環境省の準絶滅危惧種に指定されている貴重な魚がここには山ほどいます」
「この干潟は生き物の宝庫となっていて、地域で親しまれている自然観察のスポットとなっています」
人身事故の危険性も危惧されます
兵庫県明石市の大蔵海岸では、人工砂浜が突然陥没し、4歳の女児が生き埋めになって死亡しました。この人身事故では、人工砂浜の管理を担当していた国土交通省と明石市の職員4人が禁錮1年の有罪となりました。そのため4人とも失職です。
市川市塩浜2丁目の護岸前で人工干潟を造成したら、同じような陥没事故が危惧されます。人身事故が起きたら、たまたまそのときに管理を担当していた市職員が有罪になり失職です。そのような悲惨な事故を防ぐためにも、人工干潟造成計画は中止すべきです。
専門家が加わる外部委員会を活用してください
千葉県の人工干潟造成計画については、専門家などで構成する三番瀬専門家会議や三番瀬再生実現化試験計画等検討委員会、三番瀬評価委員会において何回も検討しました。市川市も、モニタリング調査の評価にあたっては、専門家が加わる外部委員会を活用してくださるよう要望します。
失敗したらどうするの?
今年(2024年)5月28日の記者会見で「人工干潟が失敗したらどうするのか」という質問が記者からだされた際、田中市長はこう答えました。
-
「人工干潟造成に政治生命をかけている。もし反対の人がいたら、市長選挙で対立候補として出ていただきたい」
人工干潟の成功例はありません。人間は干潟をつくれないというのが定説になっています。環境省も「人工干潟の成功例は把握していない」と述べています。
県は人工干潟計画を中止しました。市川市も中止してください。
市長選の公約を守ってください
2022年3月におこなわれた市川市長選挙の際、「市川三番瀬を守る会」は候補者に対する公開アンケートを実施しました。候補者の一人だった田中市長は、人工干潟造成についてこう回答しました。
-
「『三番瀬』の豊かな自然を体験している者として、人工干潟ではなく、自然環境を大切にした『三番瀬』の環境整備に努めたいと考えています」
市川市塩浜2丁目の階段護岸。市川市はこの護岸前で人工干潟の造成を計画している
市川市が計画した人工干潟造成のイメージ
市川市が2023年8月に発表した人工干潟造成計画の規模は幅100m×奥行き50m(0.5ha)。
事業費は、造成費だけで3億5000万円〜7億5000万円。市は、三番瀬の一部をじゃかごで囲み、
そこに航路の浚渫土砂を搬入することによって人工干潟をつくるとしている。
江戸川放水路の河口域に広がる干潟。環境や生き物は三番瀬とほとんど同じだ。
天気のいい休日は多くの市民や都民が訪れ、潮干狩りなどを楽しんでいる。
★関連ページ
- 人工干潟計画中止を要請〜市川市長へ 三番瀬7団体(2024/8/19)
- 市川市の人工干潟計画はノー〜BS-TBS「噂の!東京マガジン」で訴え(2024/7/14)
- 人工干潟造成計画に批判相次ぐ〜千葉県主催の三番瀬ミーティング(2023/11/25)
- 市川市長選候補者が「三番瀬」公開アンケートに回答〜市川三番瀬を守る会が実施(2022/3/24)
このページの頭にもどります
「人工干潟」にもどります
「主張・報告」にもどります
トップページ | 概 要 | ニュース | 主張・報告 | 行政訴訟 |
資 料 | 干潟を守る会 | 自然保護連合 | リンク集 |