〜柱は「砂護岸」造成〜
千葉県自然保護連合事務局
●「砂護岸」造成などをすぐに着手予定
いよいよ三番瀬再生事業が動きはじめました。内容をみると、案の定です。
県が「三番瀬再生会議」準備会(8月31日)に報告した内容をみると、「石積み傾斜護岸+人工砂浜」(いわゆる「砂護岸」造成)と漁港建設が、三番瀬再生事業の柱となっています。県は、これら事業を「先発事業」としてすぐにでも着手する予定です〈注〉。
〈注〉 第1回「(仮称)三番瀬再生会議」準備会における県の報告をご覧ください。この事業は、よくみると、三番瀬の自然再生とはまったく関係ありません。反対に、三番瀬の自然環境に悪影響を与えるものです。
市川塩浜2丁目地先海域での「砂護岸」造成は、そこに生息している多様な生き物を埋め殺しにします。また、海域に大きく張りだしてつくられる予定の漁港建設は、海域を狭め、潮流や生態系に大きな影響を与えることが懸念されます。
県は、この事業は「緊急性が高い」として、「三番瀬再生会議」(円卓会議の後継組織)の発足前に大急ぎで進めるとしています。それも、環境調査やモニタリングなどはきちんとおこなわないで、です。これのどこが自然再生でしょうか。
●大型公共土木事業を、住民参加によって復活・実現
こうした事業を大急ぎで進めようとしているウラには、第二東京湾岸道路(第二湾岸道)があります。私たちは、「砂護岸」造成は第二湾岸道建設の布石になるとして、強く反対しました。しかし、三番瀬円卓会議は私たちの強い反対を押し切り、強引にそれを認めてしまいました。
堂本知事は「第二湾岸道は必ずつくる」「三番瀬再生計画は第二湾岸道と調和のとれたものにする」「三番瀬円卓会議は、住民参加による公共事業計画策定の新しいモデルとなる」ということを言い続けてきました。その結果がこれです。
このままでは、「環境保護運動によって行きづまった大型公共事業(第二湾岸道)を、住民参加によって復活・実現した知事」として、堂本知事の手腕は高く評価されそうです。
ちなみに、「猫実川河口域は保存されることになった」と言う人もいますが、これは甘い期待です。「三番瀬再生計画案」の「はじめに」で、円卓会議の岡島成行会長はこう書いています。
「円卓会議が積み残した仕事も数多くあります。ラムサール条約登録の問題、猫実川河口域の扱いなどです。いずれも2年間の議論でははっきりした結論が出ませんでした」
つまり、猫実川河口域を保存するかどうかは「結論がでなかった」と明言しているのです。
このままでは、三番瀬円卓会議の委員は、大型公共事業推進や三番瀬破壊に荷担したことになります。
(2004年9月)
〜ウラに第二湾岸道あり〜
★関連ホームページ
- 第1回「(仮称)三番瀬再生会議」準備会の開催結果(速報)(千葉県庁ホームページ)
★関連ページ
- 第1回「三番瀬再生会議」準備会が開かれる〜条例未制定などに批判(2004/8/31)
- “はじめに土砂投入ありき”〜投入の目的や目標が不明確(千葉県自然保護連合事務局)
- 三番瀬再生計画素案の問題点(千葉県自然保護連合事務局)
- 猫実川河口域への土砂投入をめぐって議論〜第20回三番瀬円卓会議(2)
- 三番瀬再生計画素案に79件の意見〜第20回三番瀬円卓会議(1)
- 全国自然保護連合が三番瀬再生計画素案に意見(2003/12/13)
- 三番瀬再生計画素案に対する意見書を共同提出〜37団体が賛同(2003/12/18)
- 三番瀬海域への土砂投入は事実上の埋め立て(千葉県自然保護連合事務局)
- 海域への護岸の張り出しはやめてほしい(今関一夫)
- 「広域干潟造成」「覆砂と土砂供給」の削除を要請〜県自然保護連合が海域小委に(2003/10/16)
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