三番瀬担当課長などと話し合い

〜人工干潟造成、ラムサール条約登録など〜




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 県自然保護連合、千葉の干潟を守る会、三番瀬を守る会など9団体で構成する「三番瀬を守る連絡会」は(2015年)6月5日、県の三番瀬担当課長などと懇談しました。4月の人事異動で、同課長など三番瀬関係職員が大幅に入れ替わったからです。県側は、小島肇三番瀬担当課長のほかに三番瀬再生推進班、自然保護課、水質保全課、漁業資源課の職員が出席しました。

 主なテーマは3点です。
  • 「三番瀬干潟的環境形成(人工干潟造成)検討業務委託報告書」の扱い
  • 三番瀬のラムサール条約登録
  • 指定廃棄物処分場の候補地選定問題


人工干潟造成検討業務委託報告書

 話し合いの中心は「干潟的環境形成(人工干潟造成)検討業務委託報告書」です。同報告書は5月下旬に県が発表しました。
 報告書は、最後の「総合評価」でこうまとめています。
    《総合評価では、「水質浄化」から「管理」の各項目を総合して定性的に評価を行うものであるが、今回検討した各案については、各項目においてその評価は一長一短であった。今回の検討においては、「干潟としての機能を有し、多様な環境を創出すること」及び「人が海に触れ合える親水機能を有すること」の2つの制約条件が整理されており、この条件のどちらに重点を置くのかが重要な判断となる。重点となる事柄を決めることにより、評価項目毎に加重配分したうえで、各案の評価をされることが必要だろう。》
 「2つの制約条件」のどちらに重点を置くかという「重要な判断」は「誰がどういう手順でおこなうのか」と質問しました。「それは決めていない」というのが課長の答えです。「現時点では、三番瀬専門家会議で議論してもらうことも考えていない」と述べました。この点について、参加者から批判が相次ぎました。


「人工干潟造成は市川市にやってもらいたい」

 課長はこんなことも言いました。
     「昨年度実施した干潟的環境形成検討業務委託は、今後の方向性を検討するための基礎資料を作成することが目的だった。人工干潟造成(干潟的環境形成)をただちに事業化するということではない。人工干潟を造成するということも決めていない」

     「人工干潟造成については、市川市と協議中だ。県としては、人工干潟造成は市川市にやってもらいたいと考えている」

     「報告書を受けて、どういう工程で人工干潟の造成を検討したり事業化したりするかということは、決めていない。だから、今後の工程表を示すことはできない」
 結局、報告書ができあがったものの、それをどうするかは何も決めていないということです。
 県は、今回はじめて「人工干潟造成は市川市にやってもらいたい」と明言しました。昨年度までと違い、なんとしてでも人工干潟を造成するという強い姿勢がみられません。意外でした。


第二湾岸道路は格下げ?

 その背景には、第二東京湾岸道路構想の「格下げ」があるのではないか──。そういう見方もされています。
 国交省関東地方整備局のホームページに掲載されている3環状9放射の道路ネットワーク構想の最新版(2015年3月29日時点)では、第二湾岸道路が忽然(こつぜん)と消えました。3環状9放射の道路ネットワークは1963年に発表されました。以来、第二湾岸道路も同ネットワーク構想図に表示されていました。

 国交省に問い合わせたところ、こんな回答でした。
    「すでに開通している3環状道路をわかりやすく表記したもので、第二湾岸道路の計画に関しては変更があったわけではない」
 しかし、変です。最新の図には3環状道路の未開通区間も表示されています。


人工干潟造成と第二湾岸道路は密接不可分

 県が市川市塩浜2、3丁目地先海域(猫実川河口域)の人工干潟造成に躍起となっていたのは、第二湾岸道路を三番瀬に通したいからでした。ですから、第二湾岸道路が「3環状9放射」から「格下げ」とか「カット」になれば、県にとっては人工干潟造成の必要性はなくなります。そこで、「人工干潟は市川市にやってもらいたい」ということを明言したのではないでしょうか。「まちづくり(再開発)とのからみで、市川市は人工干潟が必要でしょう。だから、人工干潟の造成と維持管理は市でやってほしい」ということです。
 しかし、市川市はいまのところ県の要請を拒否しているようです。「人工干潟は県につくってもらいたい」というのが市の主張です。


ラムサール条約登録

 話し合いのテーマの一つであるラムサール条約登録については、「関係者の間で意見の隔たりがある。三番瀬ミーティングで漁業者と意見交換をしてほしい」と自然保護課が答えました。これまでと同じ回答です。県が主体的になってラムサール登録を進めるという姿勢はまったくみられません。


指定廃棄物処分場

 環境省は4月24日、県内の指定廃棄物処分場建設候補地を千葉市に提示しました。候補地は東京湾に面する東京電力千葉火力発電所の敷地(千葉市中央区)です。
 指定廃棄物というのは、福島第一原発事故で付着した放射性セシウムの濃度が1kgあたり8000ベクレルを超える廃棄物のことです。
 候補地は、今後予想される首都直下型地震や東京湾北部地震によって地盤の液状化や大津波の危険性が非常に高い場所です。処分場ができると、東京湾や三番瀬は危険にさらされます。
 そこで、この問題を三番瀬担当課長や三番瀬再生推進班はどう考えているか、と質問しました。課長の答えは、「指定廃棄物処分場の問題は循環型社会推進課が対応している。三番瀬関係部局はかかわっていない」というものでした。水産局も指定廃棄物処分場問題にかかわっていないそうです。これには驚きました。漁業者は東京湾の放射能汚染や風評被害に危機感をつのらせているからです。



県の三番瀬担当課長など(こちら向き)と懇談する三番瀬保全団体のメンバー




首都圏の3環状9放射道路ネットワーク構想図
















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