猫実川河口域の生物調査に参加して

杉本秀樹



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 潮が引き始めた頃に船でカキ礁に向けて出発。前日の荒天が嘘のような穏やかな晴天である。
 潮が引くのを待って調査を開始した。

 カキの周辺の泥の上にはアナジャコの巣穴が無数にあいていて、そのまわりには糸をひいたようなブドウガイの這い跡がついている。
 魚にくわしい相澤さんが網でいろいろ捕まえては解説してくれる。マハゼをはじめ、エドハゼ、ミミズハゼ、ニクハゼなど、こんなに種類があるのかと驚いた。

 ほかにギンポの稚魚も多く見られたが、特筆すべきはイシガレイの稚魚である。
 一円玉の半分くらいなのが、潮が引くにつれてカキ礁から四方八方へ逃げていく。満潮の時にはカキ礁に群れていたのであろう。

 ヒラヒラ泳いではぴたりと泥に張り付いて保護色で見えなくなる。かつて三番瀬が埋め立てられると東京湾からイシガレイが消えるといわれたが、その意味が肌身で実感できた。

 周囲の海にはカモ類、カイツブリ類、カモメ類などがたくさん浮かんでいた。三番瀬で1羽しか確認されていないミミカイツブリが今年も見られた。

 潮が満ちてくると、ミジンコなどに混じって、体長5ミリほどのシミコクラゲがたくさん滞ってくる。ミズクラゲのエフィラ幼生も見つけた。

 肉眼でも見えるケイソウ類は確認できなかったが、生き物の子供たちが育つ条件は整ってきたようだ。4月にはボラやハゼの稚魚が見られるようになり、それに合わせてコアジサシが渡ってくる。

(2006年3月)   













イシガレイの稚魚。一円玉の半分くらいなのが、潮が引くにつれてカキ礁から四方八方へ逃げていった。








糸をひいたような這い跡をつけるブドウガイ








ミミズハゼ









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