せわしなく歩き回るトウネン
〜三番瀬でみられる最小の鳥〜
鈴木良雄
■180種もの野鳥を観察できる三番瀬
三番瀬ではたくさんの野鳥をみることができます。
田久保晴孝さん(三番瀬を守る会会長、千葉の干潟を守る会副代表)によれば、1992年から2005年までに180種もの野鳥が三番瀬で観察されているそうです。
三番瀬に飛来する野鳥は種類が多いので、素人にはそれらを見分けるのはたいへんです。
ところが、三番瀬観察会の案内者のみなさんは、かなり遠くにいる鳥も含め、たちどころに見分けることができます。数もすぐにかぞえられるのです。これには感心してしまいます。
■素人でも見分けやすい鳥
といっても、私のような素人でも見分けやすい鳥が何種類かいます。たとえば、つぎのような鳥です。
◇ミヤコドリ
くちばしが長くて赤い。ハデな色彩をしている。
◇ダイサギ
三番瀬では最大級の鳥で、体の色は白。くちばし、足、首が長い。
◇アオサギ
ダイサギと同じく、三番瀬では最大級。体の色が白ではなく灰色なのがダイサギと違う。足は黄色っぽい。
◇トウネン
スズメくらいの大きさで、三番瀬では最も小さい鳥。いつも干出地や水たまりをいそがしく歩き回り、表面をついばんだり、くちばしを軽く突きさしたりしている。
◇カワウ
カラスより大きく、全身が黒色。首が長い。
◇ウミネコ
「ミャーオ、ミャーオ」と猫に似た声をだす。カラスより少し大きく、背と翼上面が濃青灰色。くちばしは黄色く、先端近くに黒と赤の斑紋がある。目つきが悪い。
■汀線上をチョコ、チョコ歩きながら採餌するトウネン
10月5日の三番瀬観察会では、ミヤコドリが163羽、群れをなして干出地にいました。 その近くをトウネンがせわしなく動き回っていました。
前述のように、トウネンはスズメくらいの小さい鳥です。三番瀬で見られる鳥の中では最も小さい鳥です。
また、じっとしていることがほとんどありません。つねに忙しく歩き回りながら、餌を探したり捕ったりしていますので、すぐにわかります。
トウネンについて、田久保さんはこう紹介しています。
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《全長15cmで、スズメぐらいの最も小さいシギです。夏羽では顔から胸が赤褐色です。冬羽では灰褐色になります。シギのなかまでは一番足もくちばしも短く、黒色です。
群れをつくって汀線(ていせん)上をチョコ、チョコ歩きながらトビムシやハエの幼虫などをさかんにつついてとっています。
春の渡りは4月中旬〜5月上句で、数百羽の群れをつくります。秋の渡りは7月上旬〜10月で、8月下旬から幼鳥の群れ(数百羽)が渡来します。
ロシア極北東部の湿地で繁殖し三番瀬を中継地として東南アジアやオーストラリアの干潟で越冬します。本当に小さい体で長い旅をするものだと感心させられます。
「チュル、チュル」と細い声で鳴きます。谷津干潟では、北海道でフラッグをつけた個体が観察されています。》(田久保晴孝『干潟の学校』新日本出版社)
この日の観察会では、トウネンのすぐ4メートルくらいのところまで近寄っても逃げませんでした。おかげで、トウネンをばっちり撮影することができました。
(2008年10月)
トウネン
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