三番瀬の将来像を議論

〜三番瀬再生会議「グランドデザイン」WG〜



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 三番瀬再生会議の下部組織「グランドデザイン」ワーキンググループ(WG)の第5回会合が(2010年)5月11日に開かれました。
 出席者は次のとおりです。


◇委員
 ・吉田正人委員(江戸川大学教授)
 ・遠藤茂勝委員(日本大学教授)
 ・後藤 隆委員(公募、浦安市在住)
 ・上野菊良委員(浦安三番瀬を大切にする会)

◇事務局(県)
 ・三番瀬再生推進室 2人
 ・自然保護課    3人
 ・水産課      2人




三番瀬再生会議への報告案


 吉田委員が、第30回「三番瀬再生会議」(6月30日開催予定)への報告案を提示しました。
 空間的グランドデザイン(区域ごとのデザイン)では、焦点となっている猫実川河口域(市川市塩浜2、3丁目地先)はこうなっています。

(1)塩浜3丁目地先
     アナジャコ、カキ礁など三番瀬でも特異な生物相が見られることから、「生物多様性を保全する」ことを原則とする。
(2)塩浜2丁目地先
     「陸と海との連続性の回復による潮間帯の生物の回復」と「人と自然とのふれあいの回復」を目標とする。


ラムサール登録に船橋市漁協は賛成、市川市行徳は反対


 漁業者(船橋市漁協と市川市行徳漁協)からのヒアリング結果も文書で報告されました。
 船橋市漁協は次のように述べ、ラムサール条約登録を求めています。
     「三番瀬のアサリについては、現在でも、貝毒や水質の検査を行うとともに産地証明を発行し、品質及び評価の維持・向上には気を使っている。今後はラムサール条約登録により、三番瀬の漁獲物について、さらなるブランド化による付加価値向上を期待したい。」
 これに対し、行徳漁協はラムサール条約登録に反対です。
     「ラムサールについては、漁業者へのメリットは特に無く、規制が厳しくなることから、反対である。ただし、昔のような良い海になれば登録も考えられる。」
 三番瀬は半分以上が埋め立てられました(行徳漁協は埋め立て推進の姿勢でした)。また、三番瀬のど真ん中に大きな航路(市川航路)がつくられました。
 さらに、三番瀬に流入する河川は、昔と比べてものすごく汚れています。市川・船橋両市の下水道整備がたいへん遅れているからです。両市の下水道普及率は、全国平均を大きく下回っています。
 そのため、家庭雑排水が未処理のまま河川に流され、三番瀬に流入しているのです。とくに、市川市を流れる春木川の水質は全国ワースト1、国分川はワースト5です。船橋を流れる海老川もたいへん汚れています。それらが三番瀬にもろに流れ込んでいるのです。
 そんな状態を放置しておいて、「昔のような良い海」を取り戻せるわけがありません。これは子どもでもわかることです。市川市行徳漁協は、そういうことを知りながら、「昔のような良い海になれば登録も考えられる」と言うのです。
 ようするに、ラムサール条約登録には“なにがなんでも反対”ということです。


市川市行徳漁協は猫実川河口域の人工干潟化を要求


 市川市行徳漁協は、相変わらず猫実川河口域の人工干潟化を求めています。
     「猫実川河口域に砂を入れて干潟を創出すれば、潮の滞留も無くなり青潮対策ともなるので行って欲しい」
 一方で、行徳漁協は、同漁協が造成した人工干潟は「波あたり」(=潮の流れ)の影響により砂移動が激しすぎてアサリの稚貝が定着しないと述べています。
     「アサリは沖側にはいないが、岸壁付近には越年した大型貝もいることから、漁場でのアサリの減少は波あたりの影響が大きいと思われる。(中略)桟橋前の干潟はここ2〜3年砂移動が激しく、東へ大きく移動しているようである。また、この干潟にはアサリがいないが、これは砂移動が激しすぎて稚貝が定着できないのではないかと思われる」
 これは矛盾するものです。潮の流れが強いために稚貝が定着しないとしながら、他方では、潮の流れを強くするために猫実川河口域を人工干潟にすべき、と言っているからです。
 この点の矛盾を上野委員がつきました。しかし、ヒアリングをおこなった吉田委員や県は返答できませんでした。

◇          ◇

 報告案そのものについては十分な議論ができず、時間切れとなりました。そのため、報告案について意見があれば、メールで提出するということになりました。





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