「第二湾岸道路は円卓会議などで

  議論しないほうがよい」

  〜吉田正人氏(三番瀬再生会議委員)が不可解発言〜

高木信行




 東邦大学理学部環境科学シンポジウム「三番瀬の環境再生計画」が(2006年)3月18日、市川市内で開かれました。シンポでは、細田さんが会場からこんな発言をしました。
     「第二湾岸道路が三番瀬を通る計画になっているのに、行政はこの問題の情報開示をいっさいしない。こんな大きな問題を三番瀬円卓会議や三番瀬再生会議も議論しない。これはナンセンスなことである」


■第二湾岸道路を議論しないことに賛成

 これにたいし、パネリストの吉田正人氏(江戸川大学助教授、三番瀬円卓会議・再生会議委員)がこう答えました。
     「第二湾岸道路計画は三番瀬再生計画に大きな影響を与える。しかし、円卓会議では議論しなかった。円卓会議は第二湾岸道路の問題を議論できる委員構成になっていないので、円卓会議の外で議論してほしい、ということを大槻副知事が要請したからだ」
     「私も、この判断に賛成した。というのは、護岸問題の議論だけでもかなり時間がかかるのに、そのうえ第二湾岸道路を議論したら収拾がつかなくなると考えたからだ。第二湾岸道路の問題は、円卓会議や再生会議で議論するのではなく、政治決断が必要だと思っている」
     「愛知万博検討会議の場合も、万博を開催するかどうかは別の所で決めたうえで、検討会議では万博のやり方について議論した」
     「第二湾岸道路を再生会議などで議論しないことについては異論があるかもしれない。しかし、私はそのように考えている」


■そもそもの開発の必要性を先送りした議論は、
  アリバイ作りのセレモニーになりかねない

 吉田氏のこの発言は不可解です。
 県は、第二湾岸道路の早期具体化を国に働きつづけています。第二湾岸道路は、陸上部分の用地はほぼ9割が確保されていて、三番瀬で中ぶらりんになっています。浦安市内の用地は三番瀬・猫実川河口域とぶつかるため、この道路を建設するためには、この海域をどうしても通さざるをえません。 地下方式は、コストがかかりすぎるため、猫実川河口域を高架式(又は地上式)で通したいというのが県の考えです。ですから、円卓会議や再生会議は、この猫実川河口域をどうするかが、最初から議論の焦点になっているのです。
 つまり、三番瀬問題の根底には第二湾岸道路問題があるのです。それなのに、「第二湾岸道路問題は議論すべきでない」とか「政治決断が必要」というのはどういうことでしょうか。
 たとえば、「日本生態学会ニュースレター」(2005年12月)では、こんなことが書かれているとのことです。
     「新しい知事のもとに作られた三番瀬円卓会議では、第二湾岸道路に関する議論は棚上げにされてしまった。いくら公開の市民参加でも、そもそもの開発の必要性を先送りした議論は、単なるガス抜きアリバイ作りのセレモニーになりかねない」
 まったく同感です。

(2006年3月)   






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