第二湾岸道路は渋滞解消につながらない

〜国道が渋滞しても有料道路(東関東道)はスイスイ〜

公共事業と環境を考える会



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 (2006年)4月下旬の土曜日の午後のことである。浦安から千葉に向かう湾岸道路(国道357号線)は大渋滞だった。ラジオは、「市川市高浜は6キロ渋滞」「船橋市日の出は8キロ渋滞」と報じていた。
 急いでいたので、途中から有料高速道路の東関東自動車道(東関道)に移った。そうしたらスイスイだった。まったく混んでいないのである。


■「第二湾岸道路は渋滞解消のために必要」

 このことはなにを意味しているのか。堂本知事は、習志野、船橋、市川、浦安市などの道路がひどく滞しているので第二湾岸道路をつくることが必要、と言いつづけている。
 たとえば最近も、4月6日の定例記者会見でこう述べている。
     「余りにもあそこが込んでますね。そういう渋滞を緩和するために、かつて引かれた線、計画は(三番瀬の)埋め立てをしない以上つくることは難しいということはどなたにもわかっていると思います。しかし、渋滞を緩和するための施策というのは、千葉県としては大変大事な施策です。国ともよくお話しをするのですが、何らかの形であそこの渋滞を解決していく。そうしないと、まだディズニーランドにいらっしゃる方もあれば、千葉の方で成田もどんどんいろいろ活発に動き出す、千葉が経済的にも活性化すればするほど道路の渋滞というのは緩和していかなければいけないと思っています」
 つまり、
  • 第二湾岸道路は、渋滞解消のためにどうしても必要
  • 三番瀬を埋め立てないかぎり、第二湾岸道路をつくることをむずかしい
 ──ということを言っているのである。
 しかし、第二湾岸道路は東関道と同じ有料高速道路である。しかも、東関道のすぐそばに並行してつくらる。
 ということは、第二湾岸道路をつくっても、一般道路の渋滞解消にはまったくつながらないということである。一般道路が渋滞しても東関道は渋滞していないからである。


■アクアラインは渋滞解消につながらなかった

 思えば、東京湾アクアライン(横断道路)をつくるときも、東京湾岸道路の渋滞解消が目的だった。しかし、開通するとアクアラインはガラガラである。通行料が高いからである。

 新日鉄は、アクアライン建設を強力に推進し、その建設で大儲けした。しかし、同社の君津工場のトラックは、アクララインをまったく利用していない。
 新聞はこう報じている。
     「開通から5年間の通行料金は普通車で4000円。当初の5050円よりかなり引き下げられたが、一般の高速道路と比べて割高であることに変わりはない。新日鉄君津製鉄所(君津市)の木内勝・総務部長は『活用するすべがありませんよ』とにべもない」(『朝日新聞』1997.12.16)

     「千葉県君津市にある新日鉄君津製鉄所。鋼材を載せた大型トレーラーが土煙を巻き上げ通り過ぎる。館山自動車道に乗ればアクアラインまでわずか15キロ程度。しかしトレーラーはアクアラインを横目に館山自動車道を直進し、東京方面に向かっていく」(『日本経済新聞』2000.10.21)
 これが実態である。第二湾岸道路をつくっても、アクアラインと同様に、一般道路の渋滞解消にはつながらない可能性が高い。
 ちなみに、アクアラインの通行料を800円に引き下げれば、東京湾岸の千葉側一般国道の通行量はかなり減るという試算が専門家の間でされている。


■第二湾岸道路は不要

 第二湾岸道路は不要である。建設計画が中止になれば、県としては、三番瀬の猫実川河口域を人工干潟にする(埋め立てと同じ)必要がなくなる。

(2006年5月)






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