人工干潟は干潟ではない
〜安田八十五・関東学院大教授が講演〜
千葉の干潟を守る会、千葉県自然保護連合、三番瀬を守る会など9団体で構成する「三番瀬を守る連絡会」は(2011年)2月2日、「自然干潟と人工干潟はどう違うか」と題した講演会を開きました。講師は、関東学院大学経済学部の安田八十五(やそい)教授(環境政策)です。
◆人工干潟は、自然干潟とは似て非なるもの
安田教授は、関東学院大学のすぐ近くにある横浜市の人工砂浜「海の公園」と自然干潟「野島海岸」の生物比較調査を2002年から続けています。
生物の種類数は、「野島海岸」のほうが「海の公園」よりも2倍くらい多いという結果がでています。これは毎年同じだそうです。
そうした調査結果から得られた結論として、こう述べました。
「自然海岸の方が人工海浜に比べ生物の種類が多い」
「人工干潟は自然の干潟にかなわない」
「干潟は、人間によってつくることは決してできない」
「人工干潟は干潟とは言えず、干潟もどきと言える」
「人工干潟は、自然干潟とは似て非なるものである」
◆自然干潟を破壊して人工干潟をつくることは許されない
また、人工干潟が許容される条件として、こう言いました。
「自然干潟を破壊して人工干潟をつくることは許されない」
「過去に自然干潟などであった場所が開発などで埋め立てられた場合、干潟を復活するための『人工干潟』は推奨される」
論理がすごく明快です。
ところが三番瀬では、「三番瀬再生」とか「干潟的環境の形成」などというマヤカシ言葉で、猫実川(ねこざねがわ)河口域を「人工干潟」(=人工砂浜)にする動きが強まっています。
千葉県は昨年(2010年)12月、知事の諮問機関である住民参加組織「三番瀬再生会議」を解散しました。また、「三番瀬再生事業」のスピードアップを図ることを表明しました。それは猫実川河口域の人工砂浜化を急ぐことが目的です。
安田教授の話は、現存する自然干潟を人工砂浜に改変することの愚劣さを改めて明らかにしてくれました。
「自然干潟と人工干潟はどう違うか」と題した講演会
講師の安田八十五・関東学院大学経済学部教授(環境政策)
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